写真、兵十とごん。「童話ごんぎつね、ハリウッドで映画化」。虚構(きょこう)新聞からだけどw
前回はこちら。「ものがたり」には、登場人物の視点(してん)から書かれている部分があり、そこから気持ちの変化がわかります。登場人物の「セリフ」「心のなかで思ったこと」「視点によって変わることば」をさがしてみましょう。
その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床(とこ)についていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。それで兵十がはりきり網(あみ)をもち出したんだ。ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」
ここは、ごんの視点からお葬式を見て、想像(そうぞう)したことです。「気持ちの変化」には、ある出来事を経験(けいけん)して、それまで考えてもみなかったことに気づく変化があります。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助(かすけ)の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神さまだ、神さまが、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」
ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。おれが、栗(くり)や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ。
いたずらしてあやまるつもりの栗やまつたけが、神様のしわざと思われてしまいました。ごんの視点ですね。兵十に気持ちが伝わらなくて「引き合わない」とがっかりしています。それなのに…
そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。そして、兵十にうたれてしまいます。兵十の視点からは、ただのいたずらぎつねだからです。
イロニー・アイロニー[ironie(独)・irony(英)]
ほんとうの考えやしたいこととは反対のことばや行動によって、ほんとうの考えを表現(ひょうげん)しようとすること。
村のようすやひとが気になるのにいたずらをしてきらわれたり、神様のしわざと思われるのは引き合わないと思いながら裏口からこっそり栗をおきにいったり…だれにでも、そんなこともあるよね。
ここから、書かれてはいないごんの気持ちが想像できそうです。ごんがほんとうにしたかったことはなんでしょうか?
前回の本文のなかに、ごんの視点で「兵十はかけよって来ました。」とあります。たおれたごんは兵十を見ています。ごんがほんとうにしたかったことは、かなったと思いますよ。
兵十の視点では、苦(にが)い経験になりますね…
続きます。(塾長)
前回はこちら。「ものがたり」には、登場人物の視点(してん)から書かれている部分があり、そこから気持ちの変化がわかります。登場人物の「セリフ」「心のなかで思ったこと」「視点によって変わることば」をさがしてみましょう。
その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床(とこ)についていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。それで兵十がはりきり網(あみ)をもち出したんだ。ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」
ここは、ごんの視点からお葬式を見て、想像(そうぞう)したことです。「気持ちの変化」には、ある出来事を経験(けいけん)して、それまで考えてもみなかったことに気づく変化があります。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助(かすけ)の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神さまだ、神さまが、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」
ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。おれが、栗(くり)や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ。
いたずらしてあやまるつもりの栗やまつたけが、神様のしわざと思われてしまいました。ごんの視点ですね。兵十に気持ちが伝わらなくて「引き合わない」とがっかりしています。それなのに…
そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。そして、兵十にうたれてしまいます。兵十の視点からは、ただのいたずらぎつねだからです。
イロニー・アイロニー[ironie(独)・irony(英)]
ほんとうの考えやしたいこととは反対のことばや行動によって、ほんとうの考えを表現(ひょうげん)しようとすること。
村のようすやひとが気になるのにいたずらをしてきらわれたり、神様のしわざと思われるのは引き合わないと思いながら裏口からこっそり栗をおきにいったり…だれにでも、そんなこともあるよね。
ここから、書かれてはいないごんの気持ちが想像できそうです。ごんがほんとうにしたかったことはなんでしょうか?
前回の本文のなかに、ごんの視点で「兵十はかけよって来ました。」とあります。たおれたごんは兵十を見ています。ごんがほんとうにしたかったことは、かなったと思いますよ。
兵十の視点では、苦(にが)い経験になりますね…
続きます。(塾長)