削ぎ落とす

　彼女、人生の一大決心を固めたらしい。
もう後には引けない選択。
そしてどんなに努力をしても、願いが叶う可能性は少ないと判った上での選択。



　

　何度もここに記しているけど、生きていると本当に色んなことがある。
そしてヒトは色んな想いや欲を持ち、それを削ぎ落としながら生きているように感じてならない。




　この夏、私の身の周りで色んな出来事があった。
私自身に、家族に、友人、知人。。。
人生を揺るがすような大きな変化が幾つかあって、それを直接耳にした。


　楽観できるものばかりじゃない。
けど、悲観ばかりでもない。
悲観的な出来事の中にも、楽観できる要素を含んでいる。
そうなるかどうかは、勿論今後の過ごし方にもよるのだけど。




　ヒトは身に付けている色んな価値観を削ぎ落として、年を重ねて行くんじゃないかとふと感じた。
…で、本当に生きていく上で必要なものだけが残っていくんじゃないかと。。。


　
　もう二十年近くも前になるだろうか。。。
“拾うものはあっても、捨てるものはない”という心境になったことがあった。
何も怖くはなくなった。
命が絶えることでさえ、怖くはなくなった。

　それが…子どもが生まれてから、命が絶えることが惜しくなった。
子どもと一緒に、欲が生まれた。



　『～だったらいいのになぁ。。。』
　『あの時～でなければ。。。』


　昔はよく思ったものだが、今、それは感じない。
過ぎた話や仮想の話は、したところで何も変わりはしない。
自分が虚しくなるだけだから。。。
それじゃ、現実を見て、今の自分に何ができるのかを考えた方がいい。
…私はいつもそう思う。



　日々、削ぎ落として、削ぎ落として、生きている。
気付かぬうちに、削ぎ落としている以上に、身に付けても居るのだろうけど。
時間は変わらず淡々と過ぎていく。。。