台湾北東部の町「九分」を訪れる（前編）

広い駐車場に大型バスが停まった。台湾島の北東部に位置する「九分」に着いたのだ。

「道が細くなるのでここからは歩きですよ」

ガイドの言葉を聞いた港町出身の年寄が呟く。

「益々腹が減るのぅ。朝あんだけ食うたのにもう胃がグーグー鳴いとるが。昼飯はさぞかし旨かろうな」


７０を過ぎた老人の食欲には笑ったが、実は私もかなり空腹を覚えていた。まずは「霞海城隍廟」を見物する。派手な装飾は日光東照宮を彷彿させる。私は長い坂を見上げてため息をついた。