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寮管理人の呟き

台湾への旅(その4)


空港内で換金を済ませてから面白い土産を探したが眼鏡に叶うものは見つからず買い物は諦めた。待ちぼうけをくらった台湾人ガイドはむくれ顔である。飛行機が1時間遅れた上にカモの観光客がなかなか集まらないためだ。

ガイドはKABAちゃんを老け顔にした感じの女性だった。それで彼女をKABAと呼ぶことにした。初めての海外旅行で手間取った港町出身の老人2人組がやって来たのは予定集合時刻の2時間後。相当頭に血が上っていたKABAは早く大型バスに乗るように急かした。

車内でまずガイドが自己紹介をしてから「これまでに台湾に来たことのある人!正直に手をあげて下さい」と話しかけた。ツアー客およそ30人のうち私を含めた数人が名乗りをあげた。「何回目ですか?」と馴れ馴れしく尋ねるのでぶっきらぼうに「今回で2度目だ」と答えて窓の方に首を向けた。

小うるさいガイドの話をすべて聞き流し、雨で霞む思い出深い台北の街をぼんやりと眺めた。私が初めて台北の地を踏んだのは1995年、東京の地下鉄でサリン事件が発生する数日前のことである。

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