寮管理人の呟き

若かりし頃

悪名高き高校を卒業後、一年半の間、広島市内で生活した。下宿には私を含めて三人いた。私達は理系学部かつ貧乏人ということで、すぐに仲良くなった。現役合格は私だけで、二人はなにかにつけてガキ扱いした。

その下宿で『酒盛りをしよう』と言い出したのは工学部の〝ヤンキー(見た目)〟であった。ビールまではよかったが、彼の買った安いウォッカは大不評であった。酔いが回って『歓楽街へ出かけよう』と今度は総合科学部の〝柔道黒帯〟が提案した。

平和大通りを横断し、初めてネオン街を歩いた時の興奮は忘れられない。客引きに冷やかされて私はおどおどするばかりであった。この様子を見て、浪人組は大笑いしていた。結局、金のない若者は酔いざましに散歩しただけなのだ。写真は現在の薬研堀界隈。

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