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 以前プレイした「The Attack on Pearl Harbor」が面白かったので、同シリーズで他にも面白そうなものがないかと物色していたところ発見したのが、“You Choose Books; Warriors”と銘打たれたシリーズです。これは世界各地の戦士をテーマとした作品群で、Gladiator、Knight、Ninja、Samurai、Viking の5冊がラインナップされています。
 Amazon で検索したら、どれも600円台とお手ごろな価格だったので、5冊全部をまとめて購入してみました。その中で、まずはもっとも興味深かった、「Life as a Samurai」(Matt Doeden著)をプレイしてみました。




You are a samurai warrior in medieval Japan. As one of the most feared and respected warriors in history, you are an expert fighter. You wield powerful weapons without fear. And above all else, you follow a strict code of honor, defending it even to the death. Will you

・Fight in the Gempei wars in the 1100s
・Stand behind your leader, Nobunaga, as he faces attack in 1560
・Search for enlightenment as a wandering ronin in the 1600s

Experience the exciting, dangerous world of a highly trained warrior. YOU CHOOSE what you'll do next. The choices you make could lead you to fame, riches, or even to death.

Matt Doeden, 「Life as a Samurai」(Capstone press)裏表紙より




 本書には、時代の異なる3つのシナリオが入っています。
 まず最初は、源平の合戦、特に一ノ谷の戦いと、壇ノ浦の戦いにスポットを当てた、「The Gempei War」。2番目は、織田信長の配下として今川義元の大軍に挑む、「The Rise of Nobunaga」。そして3番目は、戦いの場を求めて島原の乱に身を投じる浪人の姿を追った、「The Quest of the Ronin」です。

 偵察に出るか守りを固めるか、正面からぶつかるか背後に回りこむか、突撃するか退却するかなど、戦場において主人公がどう行動するのかを選択していくという形式で話は進んでいきます。「The Attack on Pearl Harbor」と同様に、主人公の行動によって主人公自身の運命は大きく変化していきますが、歴史が変わるようなことはなく、戦の大勢は史実通りに展開します。
 どれも有名な戦いをテーマとしていますし、特に「The Gempei War」と「The Rise of Nobunaga」の二つについては、日本人でしたらいわゆるTrue End に至るルートを辿るのは、初見でも容易でしょう。しかし本書の醍醐味は、正解ルートを探すゲーム的な側面よりも、戦に参加した者たちが辿るさまざまな運命を追体験するという点にあります。歴史上のターニングポイントに立ち合うこととなった人々が、いかに活躍するか、あるいはいかなる最期を遂げるのか。当事者的視点で、なおかつ、一つの戦を多角的に見ることができるという点が、本書の特色だと思います。

 特に印象深かったシナリオは、島原の乱を取り上げた「The Quest of the Ronin」です。このお話、初めは日本におけるキリスト教の弾圧などがメインになっていると思ったのですが、さにあらず。乱世の世から泰平の世に移り変わろうとしている時代にあって、最後の大いくさとなった島原の乱を舞台として、あくまでも侍として、いくさ人としての生き様にこだわった浪人にスポットが当てられています。誰かが起こした戦に巻き込まれるような形で戦うのではなく、自ら望んで戦場に赴いているわけですね。
 実のところ島原の乱は、参加人数や戦死者はやたら多いものの、一ノ谷の戦いや桶狭間の戦いのような派手さはあまりありません。しかし、どちらかというと戦自体がクローズアップされがちな「The Gempei War」と「The Rise of Nobunaga」に対して、「The Quest of the Ronin」では戦そのものより個人の生き様によりウエイトが置かれているわけで、「Life as a Samurai」というタイトルにふさわしい、本書の白眉だと思います。

 外国人の描くサムライということで、初めは怖いもの見たさといった部分の期待が大きかったのですが、歴史的な事実の学習に加えて、戦の雰囲気やディテールも堪能できる、充実した内容となっています。ゲーム的な側面は大したことはありませんが、歴史考証も(私もそんなに詳しいわけではありませんけど)しっかりしていますし、サムライとは何かを学習するための入門テキストとしては、なかなか良いのではないでしょうか。
 こうなると、シリーズの他作品がどうなっているのかも気になりますね。Ninja はともかく、Gladiator やKnight、Viking など、なんとなく知っていそうで、その実あまり正確に知っているわけでもありませんので、楽しみながら新たに学ぶところも多そうです。



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