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 「源平討魔伝」、「源平討魔伝 巻ノ弐」とプレイしてきたので次はファミコン版に行きたかったのですが、あいにくファミコンは所有していませんのでそれは不可能。そこで久しぶりにゲームブックを掘り起こし、双葉文庫の「源平討魔伝 神異妖魔界の変」をプレイしました。

 これ以降、「源平討魔伝 神異妖魔界の変」のネタバレが多少含まれています。ご注意ください。



 黄泉の国よりよみがえりし平家の怨霊、影清。その剣の技と妖術の力により、にっくき源頼朝を討つため、今、神異妖魔界に立つ。行く手に立ちふさがるのは、西海道、南海道、山陽道、山陰道、畿内、北陸道、東山道、東海道の8つのエリア。合計52ヶ国を舞台に、妖魔対影清の想像を絶する呪術合戦が始まるのだ!
 頼朝は、現世より妖魔調伏の法を唱える。影清に迫る危機!? さあ、三種の神器を手に入れ、怨と妖の力をたくわえ、鎌倉へと急げ! はたして、見事頼朝を呪い殺すことができるか否か、その運命の鍵を握るのは、きみだ。


双葉文庫「源平討魔伝 神異妖魔界の変」裏表紙より



 原作では魔族を操る頼朝に脅威を感じた天帝が安駄婆に命じて影清をあの世から呼び戻すのですが、本書では頼朝への怨みの念から影清が自発的に立ち上がったということになっています。また現世の日本を舞台としていた原作とは異なり、地獄と現世との間に広がる神異妖魔界が舞台となっています。「源平討魔伝 巻ノ弐」の舞台である魔界日本とはまた異なる世界のようですね。魔界にもいろいろあるんだなぁ。
 神異妖魔界は現世の日本と同じく、西海道、南海道、山陽道、山陰道、畿内、北陸道、東山道、東海道に分かれています。各エリアは計52の小国に分かれており、各国を巡って三種の神器を集め、頼朝を倒すための妖魔の力を得なくてはなりません。
 チェックシートにあるのは、怨力、妖力、怨札の各パラメータと、所有アイテム、術を使うための呪符、神異妖魔界における称号、そして“い”、“ろ”、“は”から“ん”までの48の行動記号です。行動記号が異常に多いのですが、そのほとんどはどの国を訪れたのかに費やされています。アイテムも呪符も入手する数はそれほど多くないですし、欄の数から受ける印象ほど煩雑ではありませんね。

 で、とりあえずプレイ。まずは8つのエリアのどこへ行くかを選択し、そのエリアの主に会うためにさらにエリア内の各国を回ったりします。神異妖魔界には全部で52ヶ国あるのですが、総パラグラフ数は523ということで、ひとつひとつの国のボリュームはそれほどある訳ではありません。全ての国を回らなくてはならないわけではありませんし、そもそも行くことができない国もあったりもしますけどね。
 とりあえず重要なのは、怨力と妖力。物事が上手く運べばこれらの値が上昇し、失敗すれば減少してしまうといった感じです。怨力と妖力が高ければ、序盤はすんなり進むんじゃないでしょうか。中盤から終盤にかけては、妖術や呪符の使い方がポイントになってきます。
 私は割合とんとん拍子に進みまして、頼朝の所まで到達したのですが、必要な呪符が一枚足りずに敗北ということになりました。まあその呪符を取り損ねた場所はわかっているので、やり直しはせずに、クリアした気になってエピローグまで読んでしまいました。

 ちゃんとクリアしていないのに何ですが、難易度はそれほど高くはありませんね。行動の選択などにあまり指針が無く、運の要素が強いような気もしたのですが、なんとなく自然だと思われるものを選択していけば上手くいくことが多かったように思います。原作の知識はそれほど役には立ちませんが、各エリアをどういう順番で巡ればよいのかは、ある程度原作を遵守した方が良いかもしれません。明らかな順番違いは事前に警告が為されますので、原作の知識が無くてもそう酷い事態にはならないと思います。
 それはそれとして、怨力が○○以上なら、とか、○○を持っていれば、とか、○○にチェックがあれば、とか、その時々の状態やフラグで行き先が決定してしまう選択肢が多いので、ただ読み進めるだけになってしまうシーンも多かったです。また、次に行くエリアや国の選択でも、選択肢自体は多くても、どれを選んでも大して変わらなかったり、警告が入って事実上選べなかったりで、選択する楽しみがオミットされていると感じられるところもありました。やはりゲームブックの肝は行動を選択することですから、そういった意味では物足りなさも感じましたね。

 各国に割り当てられたパラグラフが少ないためか、ひとつひとつのイベントがちょっと薄いかなぁという印象も受けましたが、国の数が多いのであまり煩雑にならず、かえって良かったのかもしれません。あまり単調にならないように、エリアごとに国の回り方が違ったり、場合によってはエリア全体でひとつのイベントが起こったりするなど、バリエーションを増やす工夫も凝らされていましたしね。
 あとがきによれば著者が原作(アーケード版ですけど)のファンらしく、原作の持つ雰囲気は頑張って再現していたと思います。安駄婆もいい感じにウザかったですしね。一部の敵はかなり厄介で、本気で倒そうとするとかなり消耗してしまうことになるものそれっぽかったです。それでいて最後の頼朝戦が随分あっさりとしているんですけど、これもある意味原作どおりですかね(ファミコン版の頼朝はそんなにあっさりとはしていないと思いますが)。そういえば、ファミコン版準拠なためか、ダジャレの国は存在しませんでした。まあ、たとえアーケード版準拠だったとしても、ダジャレの国を入れるのは大変そうですけどね。
 
 まとめますと、そこそこ雰囲気があり、源平討魔伝らしさは再現できていたと思います。しかしゲームブックとしてみた場合には、大量の行動記号やアイテムによって展開をコントロールしている分、まとまってはいますがダイナミズムに欠けてしまったような気がします。ちょっともったいなかったですね。



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