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 ファミコン版の「プロ野球ファミリースタジアム」をプレイしたので、引き続き、ゲームブックの「プロ野球ファミリースタジアム ナムコスターズの挑戦」(井上尚美、立花統治、RECCA社・著/双葉文庫)をプレイしました。




 ナムコスターズに解散の危機!? 親会社が倒産しちゃった。で、あまりの弱体ぶりに引き受け手なし!! エース兼監督のぴぴ以下全選手、路頭に迷うおか!?
 いやいや捨てる神あれば拾う神あり……なんと、新オーナー出現!? ただし、メジャーリーガーズと対戦し、これに勝てば、という条件つきだ。
 さあ~て実力差は巨象とアリンコ、どうする? バッカ野郎、やるっきゃないぜっ!! ぴぴは必勝を期し試合に挑む。さあ、ぴっかり球場は興奮絶頂!!


双葉文庫「プロ野球ファミリースタジアム ナムコスターズの挑戦」表紙折り返しより




 解散の危機に瀕したナムコスターズが、球団存続のためにメジャーリーガーズに挑む、というのが本書のメインストーリーです。
 元々ナムコスターズの親会社だったものの、倒産してしまったのはカモン食品。あれ? ナムコじゃないの? カモン食品って、何か元ネタがあるのかなぁ?
 そして新たなオーナー候補として名乗りを上げたのが奈夢古氏。奈夢古氏がオーナーだからナムコスターズなんじゃなくて、初めにナムコスターズありきなのか。
 今まであんまり考えたことなかったけど、「阪神(企業名)タイガース(愛称)」と同じように、「ナムコ(企業名)スターズ(愛称)」ではなくて、「ゴールデンイーグルス(愛称)」と同じようにひとつながりの言葉として「ナムコスターズ(愛称)」なんですかね。だとすると、正式には「カモン(企業名)ナムコスターズ(愛称)」だったりしたんでしょうか。だとすると、正式に奈夢古氏がオーナーになると、「奈夢古ナムコスターズ」とかになる?

 で、このストーリーを読んでファミスタに詳しい方はお気づきかと思いますが、実は本書は「プロ野球ファミリースタジアム」をゲームブック化したものではありません。本書の初版は1988年3月の発行で、1987年12月に発売されたファミスタシリーズの2作目である「プロ野球ファミリースタジアム'87」のゲームブック化です。1作目にはメジャーリーガーズは登場せず、2作目からの登場なんですよね。
 そのことには読み始めてすぐに気づきましたが、あんまり細かいことは気にしないことにしましょう。

 そんなわけで、巻末に記されているナムコスターズとメジャーリーガーズのメンバー表は’87のものと一致しています。ちょっと違うのは、ファミコン版でナムコスターズの8番に入っているのは「さんまの名探偵」の「さんま」なんですけど、実在の人物の名前なので使えなかったのか、本書では「たんま」になっているという点です。
 あとは、ゲームシステム的な問題だと思いますけど、ファミコン版では代打の4人目は「かにかに」ですが、選手交代で控えが足りなくなるためか、名もなき「二軍選手」が入っています。別に「かにかに」を残しても問題なかったような気もしますけどね。



 本書は大きく2部に分かれています。
 まず、メジャーリーガーズの情報を集め、それに基づいて試合に向けて特訓をする「奮闘特訓篇」。そして実際にメジャーリーガーズと対戦する「激烈試合篇」です。

 チェックシートはちょっと多めです。
 単純な数値の記録としては、ざっくりとした監督の能力を表す監督ポイントと、ざっくりとしたチームの戦力を表す戦力ポイント、そして現在使用できる資金を表す所持金があります。
 ファミコン冒険ゲームブックではおなじみの記号も、「奮闘特訓篇」で使用するAからZまでの26個と、「激烈試合篇」で使用する、あいうえお~なにぬねの、までの25個があります。
 あとは、野球ならではのものですが、スコアシートと、ナムコスターズのメンバー表、控え選手のチェック表となっています。

 「奮闘特訓篇」では、まず他球団からの助っ人を雇い入れます。資金は4億円。選手により金額にバラつきはありますが、一人当たり3000万円~1億円程度支払う必要があります。本文でもぴぴがツッコミを入れていますが、一試合の参加料にしては高すぎませんかね?
 それと同時に、4億円の資金をポンと出す奈夢古氏も何者なのかっていう話になるんですけどね。ナムコスターズの実力を測るのなら、他球団から助っ人を入れる意味もないはずだし、単純に1試合の興行としてこの試合を考えていたりするんですかね。
 でも、仮に観客一人当たりの入場料が1万円だとしても、ぴっかり球場は収容人数3万人なので、1万円×3万人=3億円。メジャーリーガーズを呼ぶためにも金はかかるだろうし、諸経費もそれなりにかかります。球場内の物販を考慮しても、ちょっとペイできそうにありません。となると、本気でナムコスターズを買ったうえで、話題作りをしてチームのPRにつなげたいとか考えているんでしょうかね。
 ちなみに、「さんま」が「たんま」になったのと同じ理由だと思いますけど、助っ人選手も実在の選手名を使うのに問題があったのか、「落合」→「押合」とか、「清原」→「清馬」とか、ちょっともじった名前になっています。それならそれで「おみあい」とか「きよすく」とかのファミスタっぽい名前を使えばいいじゃんと思いましたが、ファミコン版では’87までは実名で、’88からもじった名前になっているので、本書が発売された時点では「おみあい」も「きよすく」も存在していないんですよね。
 選手を揃えた後は、関係者を巡ってメジャーリーガーズの情報収集、そして特訓となります。
 元々ナムコスターズは万年最下位の弱小チーム。ここでしっかりとチーム作りをしておかないと、メジャーリーガーズには太刀打ちすることはできませんよ。

 そしていよいよ本番の「激烈試合篇」。
 スタメンはナムコスターズの面々ですが、展開に応じて助っ人を投入。「奮闘特訓篇」で入手した情報やアイテムが活きてくる場面も出てきます。
 「激烈試合篇」で多用されるのが声援カードによるチェックです。ページを開くと右上に応援団のメンバーが書かれていて、効果が高い順に「団長」、「旗持ち」、「団員」、「チアガール」、「野次馬」の5種類があります。試合のポイントポイントでこれをチェックして、より効果の高い応援が得られれば、それだけ良い結果が得られることになります。
 果たしてメジャーリーガーズを打ち倒し、ナムコスターを存続させることはできるのでしょうか?



 とりあえず最初の1回は普通にガチでプレイしてみました。

 「奮闘特訓篇」ではやれることは大体やれたと思います。ただ、どの助っ人を呼ぶべきか、とか、入手できるアイテムや情報なども2つのうちどちらか一つだけを選ばなくてはならない場面もあるのですが、特に選択基準もないので適当に選んでいたところ、どうもあまり良い選択もできなかったようです。

 「激烈試合篇」でも、正直なところ選手起用の判断基準がほとんどないので、どうしても選択が適当になってしまうんですよね。思ったように采配を振るおうにも、ゲームブックなので特定の場面で特定の行動しかとれないし。試合中、助っ人の「○○」を使うなら、みたいな選択が出てきたら、とりあえず使っちゃうしかないじゃないですか。終盤のチャンスまで温存しようと思っても、そんなシーンがあるかどうか見当がつきませんしね。
 結果、あまり得点できない内にずるずると失点を重ね、8-4で敗戦。敢え無く、ナムコスターズは解散となってしまいました。采配の問題もあるかもしれませんが、声援カードのチェックもあまり振るいませんでした。
 あと、せっかく助っ人に呼んだ高橋慶彦をモデルにした「良彦」を使う場面がありませんでした。どこかで代走とかに使えるかと思ったんだけどなぁ。

 2回目は最初の反省を踏まえ、「奮闘特訓篇」では活躍してくれそうな助っ人を入れたり、入手しておかなくてはならない情報を入手したりして、多分1回目よりはうまく運べただろうと思います。特訓時に、やり方をあえて変えてみたら失敗したっぽい点もありましたけどね。
 「激烈試合篇」では乱数の要素がキツかったので、声援カードのチェックは2回引いて良い方の結果を使うルールにしました。それでもたまに失敗はあるのですが、まあ大体の判定には成功。なんとか6-4で勝利を収めることができました。
 まあ、またもや「良彦」の出番はなかったのですが。おっかしいなぁ。

 2回目は半分ズルしながらでしたけど、一通りプレイしてみて思ったのは、やっぱり野球とゲームブックってあんまり相性よくないんじゃね? ということです。

 主人公がプレイヤーではなく監督だったというところは良かったと思います(ぴぴはプレイングマネージャーなので、登板するシーンもありますけど)。ただ、采配を振るっても、結果は声援カードチェックにゆだねられるケースが多いです。采配の良し悪しで成功率は変わってきますけど(団長か旗持ちなら成功、だったのが、団長、旗持ち、団員で成功になる、とか)、結局、最後は運しだいということになります。野球は確率のゲームだから、それ自体はある意味正しいのですが、果たしてゲームブックとしてはどうなのか。
 これが普通の野球であれば、投手がどんな球を投げるのか、打者はどんな球を待つのか、そして投手がその球を投げ切れるか、打者はそれにどう対処するのかといった、ゲームでは確率で処理される部分が見どころになるわけですけど、そこがカードを引いての成否判定となると、ちょっと味気なく感じました(細かいところですけど、声援カードが団長なら成功で、チアガールだったら失敗というのも、応援してくれる人にも失礼じゃないですかね。野次馬で失敗というのはまだしも)。

 監督ゲームとしてみた場合でも、必ずしも存分に采配を振るえるわけでもありません。このメンバーならああして、こうして、と思う部分もありますけど、結局選択肢にない行動をとることができないのがゲームブックの悲しさ。いろいろな要素を考慮したうえで手を打ったのなら、その結果うまくいったとしても失敗したとしてもまだ納得できますが、必ずしもそうではないですからね。
 これが、例えば「ドカベン」のゲームブック化とかだったなら、最初から登場人物のキャラクター性が確立されているので、同じようなアプローチでも楽しめる作品になっていたかもしれません。でも「ファミスタ」の場合、キャラクター自体の知名度はそれなりにありますけど、性格などが設定されているわけではないので、采配の判断基準にはなりにくいですし、ストーリーが盛り上がるわけでもありません。



 描写するのは試合の流れのポイントポイントに絞り、端折るところは端折りつつ、実際の試合を頑張ってシミュレートする。野球のゲームブック化ということに関して言えば、結構頑張っているとは思うんですよ。ただ、やっぱりその実装の仕方としては、物足りない部分も多かったと思います。
 じゃあどうすれば良かったかと言われても、ちょっとアイディアがあるわけじゃないんですけど……。ここからさらに実際の野球に近づけようとするなら、データ量を増やしてシミュレーションゲーム的な感じにするしかなさそうですけど、ゲームブックの枠組みの中ではこれ以上システムを複雑にするわけにもいきません。かといって、これ以上抽象化しても、多分作りたかった作品とは違うものになっていたでしょう。

 巻末の文章によれば、「野球の試合をゲームブック化したい、実際に読者自身がぴっかり球場のグラウンドで試合をしているような気分を味わえるような!」とありますので、まさにその想いのままに突き進んだ作品だったと思います。これがダンジョンに潜ってドラゴンを倒すとかいうストーリーなら、そこまで違和感も覚えないのかもしれません。でも、野球というよく知られているスポーツが題材だったので、隔靴掻痒な感じとなってしまいました(特にめんどくさい野球ファンとしては)。
 もっとも、あんまり野球にこだわらない人なら、そこまで気にならないのかもしれませんけどね。


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