雑居空間
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 青梅丘陵のハイキングコースを歩いた後、まだ時間にも体力にも余裕があったので、ついでに近くにある城跡もめぐってきました。



 青梅駅から東に少々進んだ山沿いに、勝沼城跡があります。そういえば、前回の青梅丘陵の記事では、辛垣城跡には行ったものの、山登りメインだったのであまり辛垣城については語っていませんでしたが、勝沼城と辛垣城は関連の深い城なのです。

 鎌倉時代よりこの地を支配していた三田氏は、勝沼城を居城としていました。三田氏は元々は山内上杉氏の家臣でしたが、北条氏の台頭に伴い北条氏に従います。しかし上杉謙信の関東遠征に呼応して、今度は上杉方に付いて北条と戦います。
 謙信が越後に撤収すると、上杉方についていた多くの武将はまた北条氏に戻るのですが、三田氏はそうせずに北条と敵対し続けます。そしてより防御力の高い辛垣城を築き、そちらへと移っていきました。
 しかしそんな三田氏を北条氏も放置はせず、北条氏照によって辛垣城は攻め落とされ、勝沼城も落城します(辛垣の戦い)。当主の三田綱秀は、太田資正の岩槻城まで逃げ延びますが、その翌年、資正が息子の氏資に裏切られて岩槻城は北条側に落ち、綱秀も自害します。家臣と共に逃げた息子たちもじきに亡くなり、三田氏は滅亡したのでありました。
 ちなみに、本当にそうなのかははっきりしないようですが、駅名にもなっている「軍畑」という地名は、この辛垣の戦いの舞台となったから、という説もあるようです。

 と、ここまで書いておいて何なのですが、実は勝沼城には行かず、スルーしてしまいました。勝沼城跡は現在光明寺というお寺の裏山に当たるんですけど、調べてみたら墓地の横を通っていくとかあって、行くのがちょっと面倒くさくなったんですよね。
 後で調べてみるとかなり明瞭な遺構が残っているらしいので、機会があれば訪れてみたいと思います。

 そんなわけで、勝沼城はお寺越しに下から見上げるだけで、藤橋城跡に向かいました。



 勝沼城から東へ3kmほどのところに藤橋城跡はあります。



 藤橋城は北条氏照に仕えた平山越前守虎吉の居城だそうです。



 現在は藤橋城址公園となっています。
 足を踏み入れると、それほど広くもない空間に東屋があり、落ち着いた雰囲気の公園になっています。



 公園の北側には神社跡の石碑が建てられています。



 ぱっと見はそれほど城っぽくないのですが、西側には土塁あり、そこから下に降りることができます。ここが腰曲輪ですかね?



 腰曲輪から公園の北西角へ。そこから公園を見上げるとそこそこの高低差があり、城っぽさが感じられます。



 城の北側には田園地帯が広がっています。



 最後に、土塁の上から公園を眺めて。

 公園の南から東側は住宅地になっており遺構の全貌はよくわかりませんけど、公園の西側から北西側かけて城跡の雰囲気が残されています。
 マイナー城跡を巡っていると、単に石碑が立っているだけだったり、そもそも何も残っていなかったりするところも多い中、これだけ遺構が残されていると充分楽しめますね。



 藤橋城からさらに東へ2.5kmほど進むと、今井城跡があります。



 住宅地のただなかに突然森が現れるので、ちょっと驚きます。



 城跡の北側に着いたのですが、こっちは裏側。なんかガードレールの向こう側に道っぽいものがあり、そこから入れそうだったのですが、一応正規のルートを探して、南側へと回り込みます。



 南側もやっぱり森。





 南側には、ちゃんとした入り口がありました。よかったー、これで安心して城攻めができますよ。



 ただ、ちゃんと看板があった割には、中はそれほど整備されていませんでした。



 木は生え放題、木の枝もそこいらに散乱し、ついでにクモの巣も張り放題です。



 ただし、遺構はかなりしっかりと残っています。
 入り口を進むと一旦北の端まで移動します。そこには明確な曲輪と、その周囲に大きな堀切が残っています。



 案内板もないし橋もないので、堀切を上り下りして進んでいかないといけませんが、これこそまさに城攻めの醍醐味です。



 一番奥というか、南に戻って入り口の崖の上になるんですけど、ここが本丸でしょうか。



 ただ、なんか潰れたお社っぽいものがあるんですけど……。一応、小さい方は現役なんでしょうか? そっちも屋根に穴が開いているけど……。



 東側には土塀が伸びています。
 この土塀の先に道があって、結局、入ってきたところではなく、来る途中で見えた道から脱出しました。

 この今井城、思っていたよりもはっきりとした遺構が残っていて、かなり楽しめました。住宅地の真ん中なのに、こんなに手つかずのまま残されているとは。
 ただ、ほとんど整備されていなかったのがちょっともったいないですね。ここ、きちんと整備したらそれなりに人も呼べるような気もしますが……。



 正直、藤橋城も今井城も、山登りのおまけみたいな感じでそれほど期待していなかったのですが、案外遺構がよく残っていて面白かったですね。特に今井城で空堀を見た時には、かなりテンションが上がりましたよ。思わぬ掘り出し物でした。



 最後はJR八高線の金子駅でフィニッシュ。青梅駅からおよそ7.5㎞。さすがにちょいと疲れました。



 金子駅に近隣のハイキングコースが紹介されていました。ここに紹介されている加治丘陵は、軽い足慣らしのために近いうちに歩いてこようかと思っています。


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