きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

まずはギャップを埋めましょう

2021年07月27日 | CORONA
日本人は、悪いニュースを伝えるときなどは相手を思いやるがゆえに、言葉を濁したり、オブラートにくるんだ言い方をしがちなので、肝心なことが伝わらず、誤解を生じてしまうことがあるので気をつけなければいけません。

また、主観的な言葉を使いすぎるのも誤解のもとです。

たとえば、ワクチンの副反応について、「2回目のほうがひどいって聞きましたけど、ほんとうですか?」とよく聞かれますが、一言で「ひどい」といっても、人によって受けとめ方は様々です。
なので、「ひどいとは、具体的にどんなことを想像して心配なさっているのですか?」というふうに聞き返したうえで、説明するようにしています。


一般の方と医療者では、新型コロナウィルスに感染したときの病状の重さの理解にかなりギャップがあると聞きました。


「軽症」というと、普通に日常生活が送れる程度というイメージをもっている方が多いかもしれません。
けれども、発熱やだるさ、からだの痛み、食欲不振、嘔気、下痢、脱水などがあれば、動くのがとても億劫になるでしょう。
通常、数日間続きます。

「中等症」というのは肺炎を合併している状態で、これまで経験したことがないような咳や息苦しさが出現します。
すぐ疲れてしまうので、歩くのが難しくなります。

呼吸というのは普段意識することがありませんから、咳や息ぎれといった呼吸器症状は不安を伴いやすく、精神的ストレスがあります。

入院して酸素吸入や点滴が必要となり、医療者の助けを借りつつ、1日中ベッドですごすことになります。

中等症は数時間~数日で状態が悪化するかもしれない不安定さを持っています。
医療者は気を抜かずに頻回に病状を把握しなければならず、処置や介助で患者と接する時間も増え、人手が必要になります。


「重症」は「瀕死」と言い換えてもいいでしょう。

点滴や呼吸補助装置に繋がれた患者さん一人に対して、何人もの専門医療スタッフが感染のリスクを負いながら関わらなければなりません。

でも、人工呼吸器等に繋がれた本人の意識はもうありません。
二度と目が覚めないかもしれません。

そして医療者は、「死んでしまう可能性がある」と家族に説明しておかなければならないのです。

医療崩壊する前に、知っておいていただきたい事実です。
ちょっとしたギャップでも、つまづくと痛い目にあいますから・・・

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