きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ライフワーク

2024年09月11日 | 禁煙治療
現在は、以前のようにガンガン・バリバリに禁煙外来で患者さんを診ているわけではありません。

理由は色々あるのですが、とにかく今は主治医から依頼された通院・入院患者さんに対してのみ、禁煙治療を行っています。

禁煙治療を依頼してくる医師は、禁煙の重要性をちゃんと理解してくれています。

けれどもなかには、「えっ?!病気なんだから禁煙して当たり前でしょ。自分の意思でタバコくらいやめられるでしょ!」という考えの医師や看護師もまだまだ多いのも現実です。

癌や脳梗塞といったタバコと関連付けやすい病気と診断されて、そのショックだけで、パタッとタバコをやめてしまう人もいます。

けれども、基本的に「喫煙はニコチンによる依存症という病気」であり、「喫煙者は依存症にさいなまれている患者」で、意思の力だけでタバコをやめるのは容易なことではありません。
ですから、そういう認識を広く知ってもらうために、これまで様々な啓蒙・教育活動も行ってきました。


禁煙治療のプロフェッショナルと公言している私ですが、でも実は「私もまだまだ未熟モノやねえ・・・」と反省することがあります。

癌と診断されて放射線治療と抗がん剤治療を受けていて、禁煙治療も同時並行で行っている患者さんがいるのですが、1か月間ニコチンパッチを使って禁煙できていたのに、ここにきてまた喫煙を始めてしまっているようなのです。

正直、ガックリです。
なんで?!!!という怒りの気持ちも湧いてきます。

まあおそらく、家に吸い残しがあったに違いありません。
禁煙を始める際に、必ず吸い残しや灰皿を処分するように指導していますが、約束を守ってくれない人がいるのです。
禁煙治療がうまくいかない原因のダントツ1位は、「手元のタバコグッズを処分しないまま禁煙を始める」です。

ひょっとしたら、がんの治療がつらくて、そのつらさに対処しきれず、ついまたタバコに手がいってしまったのかもしれません。
そのへんのところは、患者さんの話をよく聞いてあげないといけません。


昔はこの仕事に一生懸命すぎて、「なんで吸っちゃったのよ~!」と叫びながら夢から目覚めたことも何度かありました。

長年専門家としてさまざまな経験を積んできていますが、いまだに依存症は病気である、相手は患者である、ということを一瞬忘れかけて、患者さんを怒りたくなるときがあると気づかされると、この病気の奥深さというか、底知れない恐ろしさを再認識するのです。

さて、「また吸っちゃってる。やめられない」という患者さんに、どんなふうに声をかけましょうかね・・・

まずは、こちらが冷静になることが大事。

難しい病気なんだから、すんなりいかなくて当たり前だし、想定範囲内です。

おもしろい仕事に出会えて、私の人生ラッキーです!












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