リレー・フォー・ライフというイベントが毎年開催されています。
今年はオンライン開催のようですが、寄付とともに、ルミナリエ用のペーパーバッグにイラストを描きました。
普段からよく絵を描いているというわけではないのですが、時々「芸術は爆発だ!」とばかりに、スイッチが入ります。
私は「がんサバイバー」という言葉があまり好きではありません。
これまで呼吸器内科医としてずっと向き合ってきたのは、完治ができず、月単位の時間経過で亡くなってしまう進行肺がんの患者さんばかりでした。
ですから、がんが治った人というイメージを持ちやすいサバイバーという言葉にはアレルギー反応のようなものがあり、他にも色々と思うところあって、このイベントとは少し距離を置いている私なのですが、ルミナリエでの参加だけは続けています。
実際は、がんサバイバーとは、がんと診断されたばかりの方や、治療中や経過観察中の方なども含む、すべての「がん体験者」のことをそう呼んでいるのだそうです。
近年は抗がん剤の開発が進んで、進行がんの方も長期生存できるようになりました。
ところが、それにともなって、多くの患者さんが副作用による苦しみや再発への恐れを抱きながら生活しており、周囲との接し方に悩んだり、離職してしまう人も少なくありません。
やっと医療現場でも、がん治療そのものだけでなく、がん患者さんを取り巻く様々な問題を認識し、解決にむかって取り組んでいくようになってきています。
物事は結果の良し悪しで評価するのではなく、仮にゴールを設定するならば、そこへ至るプロセスそのものを大切にしたいと常々思っています。
このプロセスを重要とする考え方を、私は禁煙治療を通して学びました。
これは、がんにもあてはまります。
ゴールすることばかりを考えていると、途中で大切なものを見失ってしまうかもしれません。
ゴールのテープを切ったあと、どうしていいかわからず、途方にくれてしまうかもしれません。
ゴールというのは、後から振り返って見るものなのかもしれない・・・などと、水玉を描きながら考えました。