きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

人となり

2024年08月15日 | ヘルスリテラシー
突然ですが、あなたは旅行を計画するとき、AとBのうち、どちらの思いのほうが優先されますか?

A)世界遺産に登録されているようなすばらしい景勝地を観たい!
B)伝統工芸や人々と触れ合える旅がしたい!

医者にも色々な人がいますが、外科系の医師はA、内科系の医師はBを選ぶ人が多いかもしれません。
もちろん人それぞれで、一概にはいえませんが・・・

私は内科医で、だんぜんBタイプです。

ちょっと乱暴な言い方になりますが、外科医は「病変」を診て治療に取り組み、内科医は「病人」を診ているという言い方をすることがあります。
そのことを旅の目的に例えると、景勝地観光好きか、人や現地の生活に興味があるかに分けられるというわけです。


患者さんの「人となり」を知らないままに、単に病気だけを治療しようとすると、病変は無くなったけれど、患者さんは幸せになっていない、むしろ治療前よりも不幸せな状況に・・・なんていうことが、実は少なからず起こりえます。

「人となり」とは、キャラクター、性格、気質、人格などと言い換えることができますが、がんや根治困難な慢性病を患った場合や、高齢の方の病気の治療に関わる医療現場にいると、その方がこれまでどんな人生を送って来たのか、人生においてどんなことを大切に思っているのか、どんな人生観を持ちながら生活しているのかなど、その人の広い人間性を考慮して、倫理的配慮が重要になるといった場面に多く遭遇し、議論になることがあります。

いえ、むしろ、そういうことを議論しようとする視点を持つこと、議論できる場があることが重要なのです。

「人となり」というのは基本的に他者からの視点で判断されるものとされていますが、自分の性格やどんなことを大切に思っているのか、どんな人生を送りたいと常々思っているかなど、自分自身について時々考えてみると、大きな決断をしなければいけないような時に答えを得るヒントになるかもしれません。
簡単なことじゃありませんけどね・・・











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