きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ワクチンに期待すること、期待しないこと

2021年01月29日 | CORONA
世界各地で新型コロナウィルスに対するワクチンの承認や接種が始まっています。
先進国だけでなく、低所得国にもきちんと行き渡るようにしなくては、パンデミックからは抜け出せません。

ワクチンの有効性は、実薬とプラセボ(偽薬)との比較試験で発症率を評価します。
例えば、100人にワクチン、100人にプラセボを接種したとします。
ワクチンを接種したグループで10人が発症し、プラセボ接種群で20人が発症したとすると、有効性は50%となります。 

現在承認が進んでいる新型コロナウィルスに対するワクチンは、いずれも2回接種することになっています。
2回接種した場合の効果は90%以上と報告されていますので、言い換えればワクチンを打つと発症リスクが、10分の1になるということです。
研究では重症化を予防する効果も認められました。 

インフルエンザワクチンの予防効果は50%程度ですから、新型コロナウィルスに対するワクチンにはかなり期待してよいでしょう。

けれども、接種後、免疫効果が得られるまでには数週間を要します。
もちろん、打てば感染しなくなるというのは大きな誤解です。
ワクチンに期待できることは、あくまでも「無症状~軽症ですむようにする」です。

ですから、ワクチン接種後も周囲の人にうつしてしまうリスクは持ち続けるわけです。


そうして、ワクチン接種をしても、少なくとも10人にひとりは感染してつらい思いをし、幸い回復しても後遺症に苦しんだりするかもしれません。


ワクチンによって得られた免疫効果はどのくらい続くのかとか、変異したウィルスへも効果があるのか、など、現時点ではまだよくわかっていないこともいくつかありますから、これらの疑問への明確な答えは研究が進むのを待つ必要があります。

いずれにしても、まだしばらくは誰もがマスクを着用し、密を回避し、こまめに手洗いをするといった予防対策をしっかりと続ける必要があります。

先はまだ見えません。

コロナ以前にはあたりまえのことだったのに・・・
早く元通りの生活を・・・

そんなふうに囚われ続けているのは精神的によくありません。

いろいろな局面で新しい様式を取り入れ、受け入れていったほうが、私たちに幸せをもたらしてくれるのではないでしょうか?






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