神戸で弟と落ち合い、用事の帰り六甲山の北側山麓に位置する、
日本三銘泉(有馬・草津・下呂)・日本三古泉(有馬・白浜・道後)の両方に名を連ねる歴史ある名湯、有馬温泉に向かいます。
『銘泉ひとり旅 下呂温泉回顧録』はこちらからです。
兄弟ふたりきりで旅をするのは、初めてでしょうか。
50なかば過ぎのふたり旅を書き綴ります。
新神戸から北神急行に乗って谷上駅へ、神戸電鉄に乗換て有馬口駅で降ります。
まわりを見渡すと深い山あいです。ここで、また有馬線に乗換て終点の有馬温泉駅に到着です。
新神戸から30分の近さです。
有馬川のねね橋のたもとの「ねね像」を左に見ながら、太閤通りへ。
この温泉街は、至る所に太閤さん(豊臣秀吉)のゆかりの名があります。
とりあえず、今日の宿「上大坊」へ向かいます。
歴史のある宿が建ち並ぶ有馬温泉街です。
湯本坂を登ると、「宿 上大坊」に到着です。
荷を置き、浴衣に着替え温泉街を散策します。
七つの源泉のひとつ「有明泉源」です。
温泉街のお店の軒先に、太閤さんのひょうたんが至る所で目につきます。
ここの「御所泉源」は、塩分と鉄分が多く、塩分濃度が日本一らしいです。
「金泉」と呼ばれて茶色っぽいお湯だそうです。
早速、塩分が強い茶色の湯「金の湯」に向かいます。
あれれれ~ なんと今日は定休日です。残念です。
しかし宿の湯が金湯なのを思い出しました、帰ってから入ることにしましょ。
もう一つの湯「銀の湯」を目指して、温泉街をぶらりしていると
「招きだこ」や「ありまサイダー」が売られています。
あれ、こんな所にアウトドアの「モンベル」があります。
私も弟もキャンプ道具はモンベル製品が多く、お気に入りのブランドです。
隣には「グリル六甲」、2階はスイスのロッジ風の「ホテルモルゲンロート」。
お話しを聞くと、六甲の山を登るためのハイカーの為のホテルだということです。
モンベルと有馬温泉をコラボした手拭いをふたりで買い求めます。
お目当ての「銀の湯」に浸かります。
お湯は無色透明な湯と呼ばれる炭酸泉、ラジウム泉です。
ひと汗流し、「ねがい坂」をそぞろ歩きます。
温泉街を一望できる場所にやってきました。大型の高級ホテルが並んでいます。
日も暮れてきました、宿の夕食は頼んでいないので温泉街を探してみます。
見わたすと食事が出来るお店が開いていません。
おみやげ屋さんに聞くと、今日は定休日のお店が多いとのこと。
困りました、温泉街を登ったり下ったり、開いていると思って入ってみると予約で満室。あちゃ~
途方に暮れていると、路地の奥にほのかな明かりが、「ピリピリ ピッピ !」
長年の感がはたらきます。
おもては飾り気もなく目立ちませんが暖かそうなお店「misono」。
お店が呼んでいます。
ご夫婦で営んでいるお店です。
カウンターには先客がひとり、心地よいBGMが流れています。
メニューを見るとベルギー産ビールが50種類以上あります。
お店は、「misono カレーうどんとベルギービール」、
ディナー時はベルギービール・ダイニングとなります。
ベルギービールをいただき、おつまみは「自家製 三田牛のコンビーフユッケ仕立て」、
なぜか二人の出身地の「自家製からし蓮根」、「明石産のタコ穴子ハモの天ぷら」の瀬戸内産海産物を中心に旬の食材を用いた創作料理が続きます。
「いや~ 当たりです。
理は美味しいし、御主人も気さくな方です。
また来たくなるお店 これぞ旅の醍醐味です。」
カウンターごしに話していると、
「宿 上大坊」の湯は超一級の湯ですよ~ と御主人が言われます。
話しを聞くと、『金泉』の湯を加水・加温を一切していない掛け流しとのこと。
温度は、98℃あるのでトイをつたい、冷ましながら、しずくが湯船にポタポタ落ちているそうです。
御主人と蕎麦談義で盛り上がっていると、隣のお客さんが、
ここのカレーうどんは旨いよな~ と聞こえてきます。
弟がすぐに反応して聞き返します。
ランチ限定のカレーうどんを出しているとのこと、3日間じっくりと煮込んだスープに饂飩は手打ち!
旨そうだ。
聞けば聞くほど旨そうです。
私と弟は今日食べられないかと飲んだ勢いで食い下がります、御主人は首を横に振ります。残念 !
次回有馬温泉に訪れたら、絶対に来るからねと御主人に約束する。弟と私。
温泉街の闇も増し、
わたしと弟は、高級ウヰスキー「竹鶴」をロックのタブルで貰い、
酔いも増していきます。
半世紀生きたふたりにも、長い熟成を経て得られる、まろやかで深いコクが出るか、
温泉街の坂道をふたり揺れながら、宿に帰りつきます。
翌朝、トイのしずくが落ちる湯船に向かいます。
更衣室を出て階段を降りて行くと、歴史ただよう天井が高い浴室です。
湯量が少ない「金泉」ゆえ、また加水をしていないゆえ に浴槽は小さめです。
金泉の湯を桶にすくってみました。赤茶色した高塩分の湯です、
間違っても顔を洗ったり、傷口があると しみること しみること。
タオルも染まってしまいます。
これぞ定番の朝定食を食べて、宿をあとにします。
坂を下り有馬温泉駅へ。
有馬口駅へ向かう電車が待っています。
帰りは新神戸まで早くついた感があります。
わずか30分でこの泉質に入れるとは、羨ましい限りです。
弟は、私の荷を取り上げて、キャリーバックに載せて運んでくれます。
ふたりしかいない兄弟、いつまでも健康で長生きしたいものです。
また、旅に行くのを楽しみに、新幹線の新神戸駅で西と東に分かれます。
有馬温泉のお付き合い ありがとう御座いました。