2014年5月、学生時代のアルバムや教科書を整理していると
「山に登りて」の絵本カレンダーを見つけました。
中をめくると、可愛らしい主人公が描かれた絵本です。
作者は、小柄でいつもニコニコしている「尾崎明子さん」おざきめいこさん
熊本工業高校インテリア科時代の同級生、ブラスバンド所属。
上京し、絵本作家を目指しています。
愛きょうがある主人公。
読み終わったあと、なんとも言えない空気感があります。
山路を 登りながら こう考えた。
私が この山を 登りきったとき
そこで
違う私に 変われるような気がする。
その時 空を飛んでいた 1羽のワシが降りてきて こういいました
『あんたは 山頂についたとき 大きなイヌワシになるんだ』
そう告げると バサバサという羽音とともに 飛んでいってしまいました。
イヌワシになった 私は
大空に黒いつばさを広げて
どこまでも はてしなく 飛び回ることだろう
なんと すばらしいことか わたしの胸は高鳴った。
ハッと気づくと 目の前にキングコングがあらわれて こういいました
『おまえは 山の頂で 巨大な怪獣に変身するんだ』
言いおわると 大きな胸をゴッホゴッホとたたきながら いってしまいました。
怪獣に変身した わたしの
強くたくましい姿に
大空の雲さえも 恐れおののくことだろう。
次にあらわれたのは 真っ赤な ランドセルでした
『あなたは 山の頂上で ひとつのかばんに替わるのよ』
そういうと 口をパクパク言わせながら 行ってしまいました。
カバンになった 私は
ケモノに追われた 小さな生き物たちを
私の中で 守ってやるんだ。
こうして山を登ってゆく 私の前に
色んな物が あらわれ
消えてゆきました。
そして私は
とうとう 頂上にたどりついたのです。
「 ……… 」
しかし 私は 私のままでした
ガッカリして 少しホッとしました
そこで 私は 深呼吸をひとつすると。
力いっぱい山をけって
おもいきり高く とびあがりました。
「 ……… 」
それから
少し 疲れたわたしは
水をひと口飲むと。
ゆっくりと 山を下って ゆきました。
あれから30年。 変わらない笑顔で描いていることでしょう。
昭和59年5月24日 故尾崎明子さんに贈る