前から気になっていた、南千住にある鰻の「尾花」、 前を通るたびに多くの人が並んでいます。
梅雨空の中、11時にお店に伺います。
西の麻布飯倉「野田岩」、東の南千住「尾花」と呼ばれるほどの有名店です。
平日だというのにシャッターの前には、すでに10人の年配の方が並んでいます。
お店が開くのは、11時半。30分の行列です。
皆さんのお話しを伺っていると、人数が揃わないと案内して貰えないとのこと。
ここは、注文を聞いて鰻を割くので、一人だけ時間がズレてしまうのは客も気の毒だし、店としても迷惑だということらしいのです。
そして、予約も出来ないようです。
それと困ったことに、並んでいる間に蚊に刺されます。
開店5分前、列のうしろを見ると、最後尾は見えません。
11時25分にシャッターが上がります。
係の方から人数を聞かれます。ここで揃っていないと、後ろにまわされてしまいます。
庭には真っ赤な「お稲荷さん」の社があり、江戸前の鰻屋といった風情があります。
店の入口には大きく尾花と染め抜いた暖簾が掛かっています。
食するのが天然うなぎだと、紺地に白抜きの暖簾に「天然うなぎ」と染め抜かれています。
靴を脱いで、下足札を貰い、小机に案内されます。
大広間に小机が並び、70人分の座布団が並んでいます。
奥の右から座っていきます。すでに順番通りの座布団と小机がセットされています。
私は、左奥の窓ぎわに面する小机です。
壁があるので丁度いい背もたれがありますが、
平座りがきついので、高めの座椅子を用意してもらいます。
難を言えば、目の前がトイレに向かうのれんの前です。
順番札(下足札)を机の上に置き席に着くと、すぐに店員さんが来て注文を取りに来ます。
必ず「ウナギの料理と土産の追加は出来ません」と念を押されます。
この店は客の注文を聞いてから鰻をさばくので、出来上がりまで最低40分はかかるのです。
途中で追加をされると時間がかかり過ぎてしまうので、追加は出来ないと言うことです。
メニューはこちらになります。
昔から「うなぎをせかすのは野暮」と言うくらいで、
うなぎは割いて蒸して、タレ付けて焼いてと、手間がかかります。
うなぎを待つ間、ビールの小瓶を頼み、のんびりとうなぎを待ちます。
このひとときが至福の時間です。
ビールといっしょに出てきた箸休めは、細かく切ったお新香です。
まず最初に頼んだあては、「うざく」。うなぎの酢の物です。
うなぎの肉厚さもあり、甘めの三杯酢と良くあいます。
それともう一品、「鯉のあらい」も頼みます。
色艶もよく、つけ味噌の味が絶妙です。
鯉のあらいにあわせて、冷酒にかえます。
おっー 私の好きな銘柄「櫻正宗」です。
やはりどこの老舗にもは必ずありますね。
日本酒の燗も櫻正宗だそうです。
給仕してくれる店員さんの振る舞いも気持ちよく、実に手際が良くていい感じです。
お隣りのご老人は、70すぎでしょうか。
高めの座椅子にひとり座り、
「冷酒とうざく」でちびり、そして「燗酒とやきとり」でちびちび。
奥さんにお土産でしょうか「蒲焼と白焼」を頼んでいました。
窓ごしには、かなりの雨が打ち付けています。
私は、W杯日本戦の新聞批評を見ながら、冷酒をちびちび。
まわりに目を向けると、みなさん待ちくたびれたのか、話しも尽きたのか、宙をさ迷っています。
何もなしで40分は、きつそうです。
ちょうど冷酒のあても終わりになるころ、まわりがザワついてきました。
まずは、お盆にお新香と肝吸いが届きます。
別注の「きも吸い」には、きもと玉子豆腐があしらわれています。
そして、順番に、鰻重のご登場です。 時間を見ると、注文を取ってから約40分ほどです。
お重の蓋を開けた時の蒲焼きの色と艶の見事さに、思わず声が出てしまいます。
蒲焼に箸を入れたらなんと柔らかいこと。
どこまでが鰻で、どこからが御飯かが分からないほどです。
香ばしさが絶妙で、あっさり目のタレがよく合います。
食した時のふっくら感は、炊きたての御飯の上にのった蒲焼きと絡み合い、幸せが広がります。
30分行列して、鰻の焼き待ち40分、食してお勘定まで35分の計1時間45分。
お勘定して、下足札を渡し白のれんをくぐります。
外には10人ほど待っています。
かなりの雨が降ったようです。
草木は濡れ、石砂利も色を変え、庭先がしっとりとしています。
食べ終えて、小道を戻る時、何とも言えない満足感で一杯になります。
いつも並んでいる、東の横綱と言われる有名店。
単なるブランドだと思っていましたが、
構え、振る舞い、味など総合的にみて「待っても食べたいもの」のひとつとなりました。
いつか、麻布飯倉の「野田岩 本店」か、浅草駒形の「前川」にもふたたび伺いたいものです。
お付き合い ありがとうございました。
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