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若手組合員の要求から出発

2025年01月01日 17時29分41秒 | 一言

JMITU日本ロール支部

奨学金返済の支援制度実現

 高学費と奨学金返済が若者の人生に重くのしかかるなか、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)日本ロール支部は、若手組合員の要求から出発し、奨学金返済を支援する社内制度を実現しました。今年から、従業員に代わって会社が奨学金を直接返済する代理返還制度の実施へと前進します。(田代正則)


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(写真)奨学金返済支援で前進する(前列右から)川田さん、岡本さんとJMITU日本ロール支部の人たち=東京都江戸川区

 日本ロール支部が奨学金問題に取り組みはじめたのは2019年。春闘が一段落し、労働条件改善を求める秋闘の議論をしているときでした。

 JMITUの産別統一要求のなかに、“奨学金返還の支援を会社に求める”とあることに目が留まりました。

 当時組合に加入して1年の岡本祐太郎さん(30)は、要求への意見を聞かれて、「自分も奨学金を返しています」と答えました。日本学生支援機構から有利子の第2種奨学金を約340万円借りていました。

 支部委員長の川田泰志さんは、「私も高校の学費を奨学金に頼り、返済に十数年かかり苦労した」と回想。支部で職場の若手労働者からアンケートを集めることにしました。組合未加入者も含めて回答が集まり、半数以上が奨学金返済の支援を求めていました。

 同年の秋闘で会社に要求を提出。前向きの回答はなかったものの、経営陣のひとりが「私も奨学金返済には苦労した。共感できる」と打ち明けました。

 岡本さんは、「自分だけの要求ではない」と実感。川田委員長も「労使で一致できる」と手ごたえを感じ、求人募集で会社が魅力的にみえると、ねばり強く交渉を続けました。

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(写真)組合事務所で会社の回答書を示す岡本さん

 20年春闘では、大幅賃上げと奨学金返済の支援を求めてストライキを実施。ついに会社は、無利子の第1種奨学金について毎月1万6000円ずつ支給し10年で全額返済を支援する制度をつくりました。

 その後も支援対象の拡大を会社に要求し、22年1月から、第2種奨学金にも返済手当が支給されるようになりました。

 岡本さんは23年8月、支部の書記長に選ばれ、要求実現の先頭に立っています。

若者が働き続けられる職場に

「労働者の声集めれば必ず」

粘り強く行動 賃上げ実現

 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)日本ロール支部に岡本祐太郎さんが加入したのは、2018年、入社1年で上司からパワハラを受けたことがきっかけでした。

 職場では支部委員長の川田泰志さんから、野球観戦が好きだという共通の話題でよく話しかけられていました。岡本さんの異変を察した川田さんから「組合に入れよ」と誘われ、加入します。以来、パワハラはぴたりと止まりました。

恩返しできた

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(写真)会社もホームページで奨学金返済支援をアピール

 奨学金の返済支援制度を実現して、「母に恩返しができた」と振り返ります。

 岡本さんは自分の賃金だけで生活しながら、奨学金を返すのが難しく、母親がパート労働で奨学金返済を援助していました。「就職した後まで親に頼っているのは申し訳ないと思っていました」

 自分の生活を自分でまかなえる賃金に引き上げる闘いにも力が入ります。

 書記長として初めて臨んだ24年の春闘。初回回答は月額8500円(約3%)でした。前年初回を2000円上回ったものの、物価高騰のなか生活改善には至りません。

 川田委員長から、「春闘アンケートを目標までやり切ろう。労働者の声を集めれば、必ず1万円の賃上げは実現できる」と励まされ、粘り強くアンケートを呼びかけ続けました。

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(写真)JMITU日本ロール支部のストライキで掛け声をかける岡本さん(左端)=2020年3月5日、東京都江戸川区

 6回のストライキを実施し、地域の他の職場支部と相互にスト集会の支援参加者を送りあいました。

 会社から3回の上積み回答を引き出し、ついに1万円の賃上げを実現。「目標をやり切れば本当に賃上げできるんだ」と感激しました。

 奨学金返済支援にも前進がありました。手当支給に代わって、会社が日本学生支援機構に直接送金する代理返還制度の実施を検討すると回答がありました。

双方メリット

 代理返還制度は、労働者にとっては、手当で支給されるより、所得税が軽減されるメリットがあります。会社にとっても代理返還分を損金算入でき、法人税軽減につながります。

 支部は労使がともにメリットがあると提案し、24年の秋闘で、会社は制度実施に向け学生支援機構に申し込み中だと回答しました。

 会社は増員、人材確保に力を入れており、採用情報には「奨学金返済支援制度」もアピールしています。

 岡本さんは、「高卒で入社する人もいます。高校奨学金にも制度を拡大するなど、奨学金返済に苦労する労働者全員が活用できる制度にしたい」と語ります。

 日本ロールは、かつて映画「ドレイ工場」(1968年、山本薩夫総監督)のモデルとなり、劣悪な労働環境の代表とされていました。JMITUの粘り強い闘いが世代をつなぎ、若者が働き続けられる職場へと前進を続けています。


 企業等の奨学金代理返還制度 日本学生支援機構から貸与された奨学金について、企業などが従業員に代わって返済する制度。従来から従業員への手当支給などで支援する企業がありましたが、2021年4月からは、企業が機構に直接送金できる仕組みがつくられました。労働者も企業も税負担軽減などのメリットがあります。


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