暮らし優先へ 大本正してこそ
高額療養費制度の改悪など国民生活と命を脅かす2025年度予算案が、大軍拡と大企業へのバラマキに一切手をつけないまま、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で衆院を通過しました。
物価高や実質賃金の低下を招きながら打開策も示せない自民党への厳しい審判がくだされ、与党単独では予算案を衆院通過できない状況でした。ところが、予算案はきわめて部分的な「修正」だけで衆院を通過しました。
“予算への賛成を条件に、与党からどれだけ譲歩を引き出せるか”という駆け引きばかりが前面に押し出されたためです。部分的な「修正」と引き換えに予算案に賛成し、自民党政治の延命に手を貸すことは、総選挙で示された民意を裏切るものです。
■軍拡・大企業優遇
予算は本来、それぞれの負担能力に応じて税金や社会保険料を徴収し、それを財源に社会保障給付などをおこなうことで、国民みんなが安心して暮らせるようにするためにつくられます。
ところが、今回の予算案は、大企業・富裕層への優遇税制を拡大する一方、消費税などで生活困窮者からも容赦なく税を取り立てる税制を前提としています。さらに、半導体メーカー・ラピダスへの巨額の税金投入や異常な伸びを示す軍事費の計上など、大企業と大軍拡へのバラマキとなっています。
日本共産党は予算案の抜本的な組み替え案を発表。田村智子委員長は「大軍拡と大企業へのバラマキという二つの放漫財政の結果、財政危機が深刻さを増している。ここにメスを入れれば消費税減税、暮らしの予算を大幅に増やす積極財政は可能だ」と訴えました。
暮らし優先の予算案へと修正させるためには、野党がまとまって国民の切実な願いの実現を与党に迫る必要があります。
■党利優先の弊害
しかし、国民民主党や維新は与党との個別・密室協議で、自らの「看板政策」の実現を迫ることに終始しました。こうした個別・密室協議では、物価高で苦しむ国民生活全体をどうよくするかという議論がまったく見えませんでした。
国民民主は、いわゆる「年収の壁」見直しを求めました。しかし、与党との協議はこじれるだけでまとまらず、国民民主は与党案に反対。維新が賛成したことで与党案が可決されました。
一方、維新は高校授業料無償化や社会保険料引き下げを主張しました。しかし、維新と与党の合意は、国民医療費の最低年4兆円削減を求めるなど、医療崩壊を招く重大な問題をはらんでいます。
国民民主と維新が自身の「看板政策」アピールのための党利党略を優先し、自民党が予算案を通過させるため国民民主と維新をてんびんにかけて利用した結果、国民置き去りの弊害があらわになったといえます。
各党の予算案への態度を国民は見ています。参院では、予算審議を通じて、国民の将来不安を解消するための国のあり方を根本から議論する必要があります。
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