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国際金融都市構想

2024年07月23日 11時37分42秒 | 一言
優遇税制で格差の拡大を招く
 新NISA(少額投資非課税制度)が今年1月から始まりました。昨年の通常国会の税制改正で大幅に拡充されたもので、岸田政権の「資産所得倍増プラン」(2022年11月)に沿ったものです。家計の預貯金を投資に誘導する「貯蓄から投資」政策の一環です。

 「倍増プラン」では、日本を世界的な金融ビジネスの拠点とする「国際金融センターの実現」も掲げられ、海外の金融業者・金融人材の誘致を進めるとしました。特に、日本の税負担は競争相手である香港、シンガポールより重いことが問題だとされ、「必要な見直しを行う」との方針が示されました。呼び込み型の減税競争による、大企業・富裕層と一般庶民との格差拡大が懸念されます。

■減税打ち出す特区
 23年12月の「資産運用立国実現プラン」では、国際金融センター実現への具体策として「金融・資産運用特区の創設」が打ち出されました。金融・資産運用業者を集めるため、手を挙げた自治体を政府が支援するものです。誘致に必要なビジネス・生活環境を整備するため都市再開発の規制緩和の手法として国家戦略特区の活用も促されています。

 東京都、大阪府・大阪市、福岡県・福岡市、北海道・札幌市の4都市が2月、「金融・資産運用特区」の提案書を政府に提出し、6月に特区として指定を受けました。4都市の提案書では政府の方針を受け、金融業者・金融人材を呼び込むための減税政策が打ち出されています。

 各自治体の独自施策として「市に初進出の金融系外国企業への市税優遇を検討」(札幌市)、さらに国への要望には「金融系外国企業への法人税(国税)の軽減」(大阪府・市)などの減税要求が並びました。

■世界の流れに逆行
 一方、世界では、格差拡大を招く税制見直しの動きが強まっています。21年には法人税の最低税率導入の国際的合意がされました。

 東京都が国際金融センターのモデルとしたのが英国のシティー(ロンドンの特別行政区)ですが、その英国では今年3月、保守党政権の下で海外富裕層を呼び込むための優遇税制を見直しました。「公正で持続可能な税制」を確立するため、外国人富裕層の海外所得への減税を大幅に縮小。その税収は、社会保障財源として国民保険料率の引き下げに活用します。今後は相続税も同様の優遇を是正する方針です。

 また海外のファンドマネジャー(資産運用の専門家)を誘致するための税制優遇を見直す動きもあります。英国では新たに政権についた労働党が選挙公約で掲げ、米国バイデン政権も同様の提案をしています。

 一方、菅義偉前政権は21年度税制改正で誘致のためのファンドマネジャー減税を実施しました。岸田文雄政権の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」(6月21日)も海外投資呼び込みのための減税の検討を盛り込んでいます。

 日本共産党の小池晃書記局長が参院財政金融委員会(5月14日)で強調したように、世界の流れは呼び込み型の減税競争ではなく格差是正のための優遇税制見直しです。世界の流れに沿った税制改革が必要です。

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