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激動の世界 希望ある未来(1)

2025年01月03日 10時09分28秒 | 一言

志位議長が大いに語る

 2025年新春にあたって、志位和夫中央委員会議長に、「激動の世界 希望ある未来」と題して、国際問題、理論問題を中心に聞きました。聞き手は、小木曽陽司・赤旗編集局長と西沢亨子・同次長(論説委員会責任者)。

はじめに――激動の1年を振り返って、新年の抱負を語る

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(写真)志位和夫議長の新春インタビュー。聞き手は小木曽陽司赤旗編集局長(中央)と西沢亨子同局次長(右)

 小木曽、西沢 あけましておめでとうございます。

 志位 あけましておめでとうございます。

 小木曽 議長は、昨年1月の第29回党大会いらい、「東アジア平和提言」、欧州歴訪、アジア政党国際会議への参加など旺盛な外交活動、「共産主義と自由」「自由な時間と未来社会論」の解明など、理論分野での精力的な活動、総選挙結果がつくりだした「新しい政治プロセス」を前にすすめるたたかいの提起など、党活動のさまざまな分野で先頭に立ってこられました。1年を振り返って強く感じていること、新年の抱負をまずうかがいます。

情勢の大激動のなかで、綱領と党大会決定の生命力が躍動している

 志位 まず、能登地震から1年、亡くなられた方々への深い哀悼と、被災された方々への心からのお見舞いをのべるとともに、党として復旧・復興に引き続き全力をつくす決意を申し上げます。

 「しんぶん赤旗」読者のみなさんの日ごろのご協力に心から感謝いたします。昨年10月の総選挙は悔しい後退となりましたが、教訓をしっかりと明らかにし、都議選、参院選では必ず前進に転じる決意をのべたいと思います。

 昨年を振り返っての強い実感は、一言で言いますと、情勢の大激動のなかで、党綱領と科学的社会主義、そして党大会決定の生命力が躍動しているということです。

 党大会決定では、「自民党政治の全体が末期的な状況におちいっている」とのべ、腐敗政治、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国、あらゆる面で自民党政治が出口なしの政策破綻におちいっていることを暴き出しましたが、そのことは総選挙での自公過半数割れという国民の審判によって証明されました。共産党と「赤旗」の奮闘で情勢が一歩前に大きく動きました。

 党大会決定では、東アジアの平和構築をはかる党の「外交ビジョン」をさらに発展させることを決め、4月17日、「東アジア平和提言」を発表し、この「提言」をもって、国内でも、アジアでも、欧州でも、対話と交流を行ってきましたが、どこでも私たちの「提言」が歓迎され、響き合ったことはうれしいことです。

 党大会決定では、綱領のめざす未来社会について、三つの角度から「人間の自由」が花開く社会という特徴づけを行いましたが、「共産主義と自由」について学び、語り合う運動が始まり、共感が広がりつつあります。私たちの事業の前進をかちとる新たな鉱脈を発見した思いです。

 今年を、これらの流れをさらに発展させ、平和でも暮らしでも明るい希望が見えてくる年にしていきたいと決意しているところです。

新しい指導体制の1年について

 西沢 党大会で新しい指導体制がつくられてから1年がたちました。新しい指導体制のなかで議長の役割、田村智子委員長との役割分担、議長として心がけてきたことなどもぜひお話しください。

 志位 国政の代表者は、田村委員長が担い、この1年間、新しいことに次々と挑戦し、立派な働きをしていると思います。田村さんならではの魅力が生き生きと発揮され、新鮮な期待が大きく広がっているのではないでしょうか。とてもうれしく頼もしく思っています。

 私は、議長として、党活動の全体に責任をもつということでやってきました。とくに任務分担を決めているわけではありませんが、自然体で任務分担が行われているのではないかと思います。ひきつづき持てる知恵と力をつくしていきたいと思います。

2025年の世界をどうとらえ、どう働きかけるか

ブロック対立、軍事対軍事のエスカレート――この先に決して平和は訪れない

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(写真)インタビューにこたえる志位和夫議長

 小木曽 今日、まとまってお聞きしたいのは、どうやってアジアと世界の平和をつくっていくのかという問題です。世界を見ると、ウクライナとガザでの戦乱が続き、軍事対軍事の対立が深まっています。一方で、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞などのうれしい出来事も起こりました。2025年の世界をどうとらえ、どう働きかけていくのか。

 志位 いまの世界を見ますと、たしかに深刻な逆流が強まっている、この現実から、目をそむけるわけにはいきません。ウクライナ侵略を契機として、ブロック対立、軍事対軍事の危険なエスカレートが起こっています。

 アメリカが、ユーラシア大陸の東と西で、軍事同盟強化を加速させています。東アジアで、「対中国」の軍事包囲網づくり――日米、米韓、米豪などの軍事同盟強化の動きを進め、日本はその最前線に立たされています。欧州でも、北大西洋条約機構(NATO)が欧州を覆う勢いで拡大し、大軍拡が進められています。そして、アメリカは、「統合抑止」の名のもとに、東西の同盟国を一つに結びつけようとしています。NATO軍が日本にまで来て演習し、自衛隊が欧州にまで行って演習する。“軍事同盟のグローバル化”が進められていることは、きわめて重大です。

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(写真)インタビューする小木曽陽司編集局長

 小木曽 ロシアや中国の側の動きもあります。

 志位 そうですね。ロシアがウクライナ侵略を続ける。中国が力での対抗を強化する。ここにも情勢悪化のもう一つの要因があります。ロシアと北朝鮮が昨年6月、「包括的戦略パートナーシップ条約」――相互の軍事援助の取り決めを結びました。北朝鮮軍がウクライナ戦争に投入されていることは、違法な侵略戦争への国際的加担という点でも、北東アジアの緊張を高める点でも、二重に危険な動きです。中国が東シナ海などで力による現状変更の動きを続けていることが、情勢の緊張をつくりだしていることも指摘しなければなりません。

 双方が対抗しあい、軍事対軍事の危険な悪循環をつくりだしている。この先に平和は決して訪れません。この危険と正面から立ち向かうとりくみは今年の急務です。

とうとうたる平和の本流が着実に前進している――この流れを前に進める年に

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(写真)インタビューする西沢亨子赤旗編集局次長

 西沢 石破首相などが「日本をとりまく安全保障環境は戦後最も厳しい」と繰り返すもとで、「21世紀になっても世界は真っ暗か」という声も少なくありません。

 志位 首相のそうした決まり文句に対しては、米国言いなりで自公政権が大軍拡を進めていることが、世界とアジアの安全保障環境を悪化させる片棒をかついでいる、その自覚がないのが問題だということをまず言いたいですね。

 西沢 自分自身が情勢悪化の一因だと。

 志位 そうです。そのうえで強調したいのは、「日米同盟絶対」でアメリカの方ばかり見ずに、世界に広く目を向けるならば、とうとうたる平和の本流が着実に前進している姿がはっきりと見えてくるということです。

 第一は、対話と包摂で平和をつくる、平和の地域協力の流れが発展をみせていることです。なかでもASEAN(東南アジア諸国連合)の発展の足取りは着実です。昨年10月、ラオスでASEANの首脳会議や東アジアサミット(EAS)など一連の会議が開かれましたが、EASの議長声明で「対抗ではなく対話と協力の文化を確保する」「包摂的な形で平和、安定と豊かな発展を可能にする環境を推進する」などが盛り込まれたことは注目されます。

 第二は、核兵器禁止条約が発効し、「核兵器のない世界」をつくる大きな希望となっていることです。昨年末に行われた日本被団協へのノーベル平和賞の授賞式には、ノルウェーで国をあげての祝福が寄せられました。

 第三は、ジェンダー平等など人権問題での前進がつくられ、奴隷制と植民地支配に対する歴史的清算の流れが発展していることです。この流れにどう向き合うかは、戦後80年の今年、日本の政治に鋭く問われることになるでしょう。

 今年、2025年が、世界とアジアの人々と連帯して、これらの平和の本流を前に進める年になるよう、知恵と力をつくしたいと思います。

対話と包摂で平和をつくる――「東アジア平和提言」を力にして

「外交ビジョン」から「東アジア平和提言」へ――どういう発展があったのか

 小木曽 まず平和の地域協力の流れにかかわって、議長が昨年4月17日に発表された「東アジアの平和構築への提言」についてうかがいます。日本共産党は22年1月の党旗びらきで、大軍拡に対する平和的対案として、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提唱し、実現のために力をつくしてきましたが、それをさらに発展させたのが「東アジア平和提言」ということですね。どういう発展があったのかお話しください。

 志位 「東アジア平和提言」では、この間の情勢の進展、23年12月に行った東南アジア3カ国歴訪(インドネシア、ラオス、ベトナム)の成果を踏まえて、「外交ビジョン」を大幅にバージョンアップし、「三つの柱」からくみたてました。

 第一の柱は、ASEANと協力し、ASEANインド太平洋構想(AOIP)の実現を共通の目標とし、東アジアサミット(EAS)を活用・強化して、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくことです。

 第二の柱は、北東アジアの諸問題――日中関係、台湾問題、朝鮮半島問題、歴史問題などの外交的解決をはかり、将来的に、東アジア平和共同体をめざすことです。

 第三の柱として、ガザ危機とウクライナ侵略を、国連憲章・国際法を最大の基準にして解決することを、東アジアの平和とも深くかかわる大問題として、位置づけました。

 最後に、「提言」では、東アジアの平和構築のための国民的・市民的運動を呼びかけました。各国政府・政党・市民社会の共同のとりくみを強め、草の根から平和の声を広げ、東アジアの平和構築という大事業をやりとげようという呼びかけです。

 西沢 とても包括的な内容ですが、「提言」を貫く根本的な考え方は、端的に言えばどのようなものなのでしょうか。

 志位 端的に言えば二つです。一つは、外交の可能性をとことん追求し、対話による平和構築に徹していること。もう一つは、あれこれの国を排除する論理をしりぞけ、すべての関係国を包摂して平和を創出する立場を貫いていることです。

 西沢 対話と包摂で平和をつくるということですね。

 志位 そうです。軍事に頼らない平和構想ということが肝心なところです。そして、「提言」は机上でつくったものではない。東南アジアを何度も訪問し、内外の実践と知恵に学び、練り上げてきたものだということを強調したいと思います。

欧州訪問での響き合い――「新たなブロック対立を防がなければならない」

 小木曽 「提言」は日本国内にとどまらず、世界にも発信されました。8月末から9月初めにかけての欧州歴訪(ドイツ、ベルギー、フランス)の機会にも、「提言」を紹介され、とても響き合ったというお話でした。

 志位 「東アジア平和提言」の英語版をどっさり持っていって活用しました。ローザ・ルクセンブルク財団主催のベルリン国際平和会議での発言、左翼・進歩諸党との一連の会談のなかで、「東アジア平和提言」を紹介し、ブロック政治に反対し、包摂的な平和の枠組みを発展させることこそ平和をつくる大道だと訴えました。欧州でも、ウクライナでの流血を終わらせ、平和と安定を確かなものとするためには、困難はあっても、欧州安全保障協力機構(OSCE)のようなロシアも含めて欧州のすべての国を包摂する平和の枠組みを再活性化させることが大切になってくるのではないかと話しました。

 西沢 ヨーロッパで東アジアの問題がどう受け止められましたか。

 志位 距離的には遠く離れた欧州で理解してもらえるかは、率直にいって不安もありました。しかし、驚くほど響き合うものがありました。

 まず、私たちが、欧州での軍事同盟強化と大軍拡の動きを強く心配していますと話しますと、先方からも、「憲法9条をもつ日本で大軍拡が起こっているのはなぜなのか」などの心配の声がたくさん寄せられます。私たちは、共通の危険に対峙(たいじ)している。ならば国際連帯が必要だ。これはすぐに合意になります。それでは平和の対案は何かと考えると、ブロック政治に反対し、対話によって包摂的な平和の枠組みをつくる以外にないということになります。

 ベルリンの国際会議で採択された「呼びかけ文」には、ウクライナ戦争終結のための和平交渉の呼びかけとともに、「私たちはいま行動し、新たなブロック対立を防がなければならない」という一文が修正・補強される形で新たに明記されました。

 左翼・進歩諸党との一連の会談でも、どこでも認識の一致がえられました。欧州左翼党のワルター・バイアー議長とは、ベルリンとブリュッセルで2度、会談する機会がありましたが、私が、「東アジア平和提言」の立場を話しますと、あなたがたの外交論に完全に同意します、との答えが返ってきました。さらにバイアー議長は、OSCEについて、あるべき平和秩序の中心にすえられるべきと語りました。

 小木曽 ブロック対立に大陸全体が引き裂かれている欧州でも「提言」が受け止められたということですね。

 志位 そうした対立がいかに有害かをウクライナ戦争で目の当たりにしているからこそ、ASEANが進めているような包摂的な平和の枠組みをつくることの重要性が深く理解されたのではないか。これが実感でした。

アジア政党国際会議――「東アジア平和提言」の方向が2回連続で「宣言」に

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(写真)「東アジア平和提言」を紹介しながら発言する志位議長=2024年11月22日、プノンペン(面川誠撮影)

 小木曽 昨年11月には、カンボジアのプノンペンでアジア政党国際会議(ICAPP)第12回総会が開かれました。ここでも大きな成果がありました。アジアの与党、野党が立場の違いを超えて一堂に会した国際会議で、党が主張する“対話と包摂で平和をつくる”という大方向が「プノンペン宣言」に明記されたという報告に、たいへんに感動しました。

 志位 私がとても重要と思うのは、そうした内容がICAPP総会の「宣言」に盛り込まれたのは、2022年11月にトルコ・イスタンブールで行われた総会での「宣言」につづいて2度目となったということです。

 イスタンブールでの総会で、わが党代表団は、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」の重要性を訴え、「イスタンブール宣言」には、「ブロック政治を回避し、競争よりも協力を重視する」という大方向が明記されました。

 これにつづくプノンペンでの総会でも、わが党代表団は、「東アジア平和提言」のコンセプトが「宣言」に盛り込まれるようにと奮闘しました。「プノンペン宣言」には、“対話と包摂で平和をつくる”という大方向が明記されました。「宣言」は、この大陸での大国間の対立の強まりに強い警鐘を鳴らすとともに、「対話」と「包摂性」の重視という具体的内容を踏み込んで明記しています。これは「ブロック政治の回避」を記した「イスタンブール宣言」をさらに発展させたものとなりました。

 西沢 「2度続けて」というのは、「たまたま」ではないということですね。

 志位 そうですね。偶然何かの拍子で入ったものではない。ICAPPという国際会議は、アジアで活動する政党に、与野党の区別なく、イデオロギーの違いを超えて開かれた、超党派の平和のフォーラムです。そうしたフォーラムで、2度続けて、わが党の「外交ビジョン」「東アジア平和提言」のコンセプトを反映した内容が、総会の「宣言」に盛り込まれたことは、わが党の外交方針が、アジア大陸で起こっている平和の本流と深く共鳴しあう生命力をもっていることを示すものとなったと思います。

包摂的な枠組み、非同盟・中立、核抑止と決別――ここにこそ世界の本流がある

 小木曽 お話を聞いていると、「東アジア平和提言」は、東アジア地域にとどまらず、国際的普遍性をもっているように思います。その背景には世界のどういう変化があるのでしょうか。

 志位 私は、昨年6月、「東アジア平和提言」をもって、南アフリカ大使館をたずね、ルラマ・スマッツ・ンゴニャマ大使と会談する機会がありました。「提言」を発表した4月17日の講演会に大使が参加してくれ、熱心に耳を傾けていただいたことへのお礼もかねての訪問でした。会談のなかで、大使は、「提言」について、南アフリカ政府の立場と共通点が多い、高く評価しますとのべました。ガザでのジェノサイド(集団殺害)を止めるための国際連帯、核兵器廃絶での協力を確認した会談ともなりました。

 その対話のなかで、私は、次のような世界の見方を話しました。

 「いまの世界の流れを大きく見ると、一方で、ブロック的対応を強化し、核抑止に依存し、世界の分断・対立を深刻化させる流れがありますが、他方で、包摂的な枠組みを重視し、非同盟・中立を志向し、非核地帯条約によって核抑止と決別している流れがあります。後者の潮流は、東南アジアでASEANという平和共同体の目覚ましい成功という形であらわれているとともに、ラテンアメリカ、アフリカでも困難や曲折を経ながらも発展しています。ここにこそ未来ある世界の平和の本流があると思います」

 大使は、「わが意を得たり」との表情で深くうなずき、そうした世界の見方は自分の見解とも共通するものですと応じました。

 こうした平和の本流が広がっていることの根本には、わが党綱領が解明しているように、20世紀に起こった植民地支配からの解放と、百を超える主権国家の成立という世界の構造変化の主舞台が、アジア・アフリカ・ラテンアメリカだったことがあげられます。その力が21世紀の今日、包摂的な枠組みを重視し、非同盟・中立を志向し、核抑止と決別して核兵器廃絶をめざすという流れになってあらわれているのです。

 日本共産党と、党綱領の世界論、「東アジア平和提言」は、こうした世界の平和の本流に立ったものであり、だからこそ世界と広く響き合う生命力を発揮しているのではないでしょうか。ここに確信をもち、「提言」にもとづく対話と共同を内外でさらに広げていく年にしていきたいです。

日中関係――言うべきことを言いつつ、良い方向に向かうよう、対話を続けたい

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(写真)「東アジアの平和構築への提言―ASEANと協力して」をテーマに講演する志位和夫議長=2024年4月17日、衆院第1議員会館

 小木曽 各論に入っていきます。「東アジア平和提言」は、北東アジアの諸問題の外交的解決についても具体的な提案を行っています。

 まず日中関係では、23年3月30日に発表した「提言」――「日中両国関係の前向きの打開のために」をあらためて位置づけています。「日中提言」は、日中両国政府間に、「双方は、……互いに脅威とならない」など三つの点で「共通の土台」があることを強調し、それを生かして両国関係の前向きの打開をはかることを呼びかけたものでしたが、一昨年、日中両国政府の双方から肯定的な受け止めが表明されました。昨年、中国側との話し合いはどうなっているのでしょうか。

 志位 中国共産党、中国大使館との話し合いを行っています。「東アジア平和提言」の内容を伝え、こうした意見交換は有益だとなり、続けることにしています。

 昨年6月、緒方靖夫副委員長は、中国上海の復旦大学日本研究センターの招きで訪中し、同センター主催の学術交流会で基調報告を行い、「東アジア平和提言」の内容を紹介しました。両国関係の前向きの打開のための三つの「共通の土台」を強調するとともに、尖閣諸島問題、台湾問題、歴史問題での「提言」の内容を紹介しました。

 討論では、緒方さんの報告の内容にかかわって、中国側の政策と立場が語られました。同時に、「提言」については全体として肯定的評価が語られました。司会を務めた日本研究センター所長は、「きわめて重要な提言を紹介してもらいました。尖閣と台湾については賛成しないけれども、異なる意見があっても、それを含めて対話をすることが大切です。このような交流をさらに発展させましょう」とコメントしました。

 わが党と中国の党の間には、大きな意見の違いが存在します。同時に、中国は、世界で重要な役割を担っている隣国であり、対話をとぎれなく続けていくことが大切だと思います。さまざまなレベルで、言うべきことを言いつつ、両国関係が良い方向に向かうよう、対話を続けていきたいと考えています。

 


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