goo blog サービス終了のお知らせ 

時の喫茶店

趣味は歴史そして哲学 自然の中に溶け込んでいく心を追い求めたい

邪魔者は消せ

2014-11-17 18:28:21 | 日記
イギリスの名画の題名だ。
男たちが銀行強盗を行うが、そのなかの若者が弾丸で重傷を負ってしまう。
女は、祖母の言うことを聞かないで、彼のところに行こうとする。
けれどもドーヴァー海峡を渡る汽船の汽笛の音が港で無情に聞こえる。
二人を包囲し迫り来るスコットランドヤード(ロンドン警視庁のこと)の警官たちと犬。

女は、夜空にむけて空砲を二発発射し、つづいてスコットランドヤードの弾丸に倒れる。


なにが邪魔者なのかはわからない。題名のつけかたが第三の男のようにわからない。

けれどもまごうことないイギリスの名画である。

後半にでてくる教会の牧師は、彼をなんとか救おうとして、信仰を男を売ろうとして情報をもつ鳥飼に与える。

女は男の居場所を知って、祖母のことばを聞かずに部屋をでていく。

祖母は、写真を指さす。
そこには美しい若い女性の肖像が。
そしてその若く美しい女性が男に身を捧げ滅びるまでの祖母の姿だったこと。

単純なストーリーのなかに、この映画の感想を誰かが語ったように後半、クリスマス・キャロルを思わせる。

この映画をみたときの感動はすごい。

だが、今、この映画のことを思うと、かつての自分は若い男女のこころに共感したのだが、今はなにか牧師のような気持ちにどこかなっている。
「あなたに信仰をあたえよう」
「信仰て、そんなに高価なものなのですか」
鳥飼のこの言葉は、しかしどこか鳥飼がすべてを悟っているような印象をあたえる。
ひょっとするとこの鳥飼は聖者なのではなかろうか。

若い男と夢中になって恋をする女性の気持ちはわからない。

ながい大学および研究室、さらには放浪生活で、そんな感情はいつのまにかどっかに行ってしまった。
そのような感情がいらないとは思わない。
ただ自分にはそのような能力も機会もなかったというだけだ。

ただ今の年齢になると、牧師や鳥飼のこころはわかるようになってくる。

クリスマスキャロルというのはスクールジーに対する拷問のような映画だが。

牧師は神とのとりなしをする姿。

しかし、鳥飼はそのものが実は神である。

いつのまにか自分たちが失ってしまった、自分たちが子供の時の感傷。

みんなで静かに祝いましょう。

誰もいない自分もひとりで静かに祝います。

メリークリスマス