7月7日、午前1時ーーー主計長・藤原治主計大尉より、最後の盃を上げるための日本酒が配られ、飯盒のふたにそそいで、全員で乾杯をした。
歩行不能の重傷者には、枕元に手榴弾と水がおかれ、我らゆくものはこれら残留者に対し、岡本軍医長の号令のもと全員の敬礼で無言の別れを告げたが、死を目前にひかえた厳粛な雰囲気の中では誰もが手を合わせ、あるいは祈りを捧げていたであろう。
午前1時30分---入口に近い者より順じゅんに洞窟をでる。
暗闇の中を4~5人ずつ、静かに集合地点に向かって進んで行ったが、途中、時折ちかくに砲弾が落下しては炸裂していた。
午前3時ーーー総攻撃部隊全員が、指定された第二飛行場の滑走路に集合した。
総攻撃指揮官上田猛虎中佐は、用意された壇上にのぼると、命令を下した。
「これより総攻撃を敢行、突撃する。ここに、これまでの全員の奮闘を感謝する。第一分隊より分隊順に進撃せよ!」
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)
歩行不能の重傷者には、枕元に手榴弾と水がおかれ、我らゆくものはこれら残留者に対し、岡本軍医長の号令のもと全員の敬礼で無言の別れを告げたが、死を目前にひかえた厳粛な雰囲気の中では誰もが手を合わせ、あるいは祈りを捧げていたであろう。
午前1時30分---入口に近い者より順じゅんに洞窟をでる。
暗闇の中を4~5人ずつ、静かに集合地点に向かって進んで行ったが、途中、時折ちかくに砲弾が落下しては炸裂していた。
午前3時ーーー総攻撃部隊全員が、指定された第二飛行場の滑走路に集合した。
総攻撃指揮官上田猛虎中佐は、用意された壇上にのぼると、命令を下した。
「これより総攻撃を敢行、突撃する。ここに、これまでの全員の奮闘を感謝する。第一分隊より分隊順に進撃せよ!」
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)