自宅への帰り道、いつも使うわけではないがたまに通る道沿いに、不気味なおばさんの家がある。
僕がその道を通る頻度など相当低いのに、しかも夜しか通らないのに、
かなりの確率で、そのおばさんが家の玄関先に出ているのに遭遇するのだ。
遭遇の頻度からして、おばさんは相当な長時間を玄関先で過ごしていると思われる。
掃除や植物の手入れをしているわけでもなく、座って一服しているわけでもなく、
ただ「いる」のである。しかも季節を問わず、年中。
家を見やれば、いつも、2階の台所と思しき場所に非常灯のような灯りが1つ点いているだけ。
あとは真っ暗。他の家族の気配もない。
その家の前には車や自転車が置かれているが、どれも微妙に敷地から路上にはみ出している。
はみ出した輪郭部分に、こまごまとした鉢植えやレンガを置き、箒を立てかけている。
どうも「境界線」を主張しているらしい。
道路のセットバックで不当に自宅の敷地が奪われた…とでもいった意識がそうさせるのだろうか。
自分の「領土」への強い拘りが、彼女を暗闇の中での立哨へと駆り立てているのだろうか。
不様な姿の「境界線」。
しかし、おばさんの正気と狂気の「境界」にこそ、なによりも危うさを感じてしまう。
僕がその道を通る頻度など相当低いのに、しかも夜しか通らないのに、
かなりの確率で、そのおばさんが家の玄関先に出ているのに遭遇するのだ。
遭遇の頻度からして、おばさんは相当な長時間を玄関先で過ごしていると思われる。
掃除や植物の手入れをしているわけでもなく、座って一服しているわけでもなく、
ただ「いる」のである。しかも季節を問わず、年中。
家を見やれば、いつも、2階の台所と思しき場所に非常灯のような灯りが1つ点いているだけ。
あとは真っ暗。他の家族の気配もない。
その家の前には車や自転車が置かれているが、どれも微妙に敷地から路上にはみ出している。
はみ出した輪郭部分に、こまごまとした鉢植えやレンガを置き、箒を立てかけている。
どうも「境界線」を主張しているらしい。
道路のセットバックで不当に自宅の敷地が奪われた…とでもいった意識がそうさせるのだろうか。
自分の「領土」への強い拘りが、彼女を暗闇の中での立哨へと駆り立てているのだろうか。
不様な姿の「境界線」。
しかし、おばさんの正気と狂気の「境界」にこそ、なによりも危うさを感じてしまう。