二つほど、最近の弁護士会のあり方に異議を唱えたい。一つめは、日弁連が若手弁護士の弁護士会費を2年間限り月額7000円(合計16万8000円)減額する決定をしたことだ。まったく、ナンセンスな話だ。
通常、弁護士会費は合計で月額4万円前後だ。普通の事務所に就職できた弁護士にはこのうちの月額7000円の負担を免除されるか否かはそんなに関心のあることではないだろうし、逆に就職できなかった人については月額7000円減ったからってそれで負担感が軽くなるわけではない。解決策になっていないのだ。
要は弁護士が増えすぎて弁護士間の格差が広がろうとしているわけだから、格差を解消する必要がある。そのためには、収入に応じて弁護士会費全額の支払を一定期間猶予するとか、一定期間特別な貸付制度を設けるとか、そういう工夫が必要だろう。
そもそも、若手の頃は弁護団の後で先輩と一緒に食事に行けば、先輩は1年目は支払わなくていいとか言ってくれていた。その金額は記憶では月額7000円を超えていたように思う。自分も機会があれば、若手にそのように接しているつもりだ。
年間約3000人が新人弁護士になるのだから、約6000人について月額7000円減額するとすると、月額4200万円の予算を組むことになる。それだけの予算を組むなら、むしろ、遅れているリーガルエイドの必要性を市民に訴えて、必要な部分(法的サービスへのアクセスが困難な低収入者など)への公的負担の拡大を実現するような活動費にするとか、ほかに使う途があるはずだ。
日弁連は新人の声をきちんとくみ上げて必要な措置をとるべきだ。そもそも、弁護士増員を安易に認めてしまった中坊路線に誤りがあるのであり、当時の執行部が自腹を切って月額7000円の減額をするというなら、まだしも、そこへの反省及び増員からの方針転換もなく、7000円でお茶を濁そうとする態度には憤りを感じる。
第2に、弁護士会の多摩支部の会館の移転問題だ。現在、多摩支部は、東京地裁八王子支部の向かいにある。しかし、平成21年4月に、同支部が、立川に移転することとなったために、会館を新たに設ける必要が生じてきた。そこで、東京の3つの弁護士会の執行部は、現在の会館を売却処分した上で、立川にある某ビルの2分の1を借りてしまおうという案を策定した。
しかし、これに対し、肝心の多摩支部が支部長名で異議を唱えてきたのだという。理由は、①多摩支部会員の要望と違う、②決定過程に多摩支部を関与させなかった、③某ビルの2分の1では狭すぎる、④現在の八王子会館を売却する必要はないというものらしい。
確かに、最終的な結論はどうであれ、多摩支部への説明と意見聴取手続を行うことなく、支部会館移設問題を決定するのはかなりおかしい。ある弁護士は、「ここはミャンマーか!」と突っ込みを入れているが、もっともな話だ。
この移転問題は東京の3つの弁護士会の総会で議論されることになるはずだが、そこで当事者の声を十分に聞いた上での決定がなされるよう期待したい。
今回の二つの問題は、前者は格差社会、後者は地方切り捨てという現代社会の問題を象徴する論点にかかわるものだ。これらに対し、弁護士会が「勝者」「都会の人」の感覚で、方針を決定することをなすことは、今後の弁護士会のあり方にも重大な影響を与えるのではないだろうか?要注目だ。
※イラストは、http://www.nichibenren.or.jp/ja/kids/bengoshi/print.htmlより。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしていましたが(あまり実行できなかったが…)、辞任したので中止します(ここ←クリック)。
通常、弁護士会費は合計で月額4万円前後だ。普通の事務所に就職できた弁護士にはこのうちの月額7000円の負担を免除されるか否かはそんなに関心のあることではないだろうし、逆に就職できなかった人については月額7000円減ったからってそれで負担感が軽くなるわけではない。解決策になっていないのだ。
要は弁護士が増えすぎて弁護士間の格差が広がろうとしているわけだから、格差を解消する必要がある。そのためには、収入に応じて弁護士会費全額の支払を一定期間猶予するとか、一定期間特別な貸付制度を設けるとか、そういう工夫が必要だろう。
そもそも、若手の頃は弁護団の後で先輩と一緒に食事に行けば、先輩は1年目は支払わなくていいとか言ってくれていた。その金額は記憶では月額7000円を超えていたように思う。自分も機会があれば、若手にそのように接しているつもりだ。
年間約3000人が新人弁護士になるのだから、約6000人について月額7000円減額するとすると、月額4200万円の予算を組むことになる。それだけの予算を組むなら、むしろ、遅れているリーガルエイドの必要性を市民に訴えて、必要な部分(法的サービスへのアクセスが困難な低収入者など)への公的負担の拡大を実現するような活動費にするとか、ほかに使う途があるはずだ。
日弁連は新人の声をきちんとくみ上げて必要な措置をとるべきだ。そもそも、弁護士増員を安易に認めてしまった中坊路線に誤りがあるのであり、当時の執行部が自腹を切って月額7000円の減額をするというなら、まだしも、そこへの反省及び増員からの方針転換もなく、7000円でお茶を濁そうとする態度には憤りを感じる。
第2に、弁護士会の多摩支部の会館の移転問題だ。現在、多摩支部は、東京地裁八王子支部の向かいにある。しかし、平成21年4月に、同支部が、立川に移転することとなったために、会館を新たに設ける必要が生じてきた。そこで、東京の3つの弁護士会の執行部は、現在の会館を売却処分した上で、立川にある某ビルの2分の1を借りてしまおうという案を策定した。
しかし、これに対し、肝心の多摩支部が支部長名で異議を唱えてきたのだという。理由は、①多摩支部会員の要望と違う、②決定過程に多摩支部を関与させなかった、③某ビルの2分の1では狭すぎる、④現在の八王子会館を売却する必要はないというものらしい。
確かに、最終的な結論はどうであれ、多摩支部への説明と意見聴取手続を行うことなく、支部会館移設問題を決定するのはかなりおかしい。ある弁護士は、「ここはミャンマーか!」と突っ込みを入れているが、もっともな話だ。
この移転問題は東京の3つの弁護士会の総会で議論されることになるはずだが、そこで当事者の声を十分に聞いた上での決定がなされるよう期待したい。
今回の二つの問題は、前者は格差社会、後者は地方切り捨てという現代社会の問題を象徴する論点にかかわるものだ。これらに対し、弁護士会が「勝者」「都会の人」の感覚で、方針を決定することをなすことは、今後の弁護士会のあり方にも重大な影響を与えるのではないだろうか?要注目だ。
※イラストは、http://www.nichibenren.or.jp/ja/kids/bengoshi/print.htmlより。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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