情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

弁護士増員数削減との読売報道は誤報?~日弁連選挙がらみか?…盛り上がってきましたね

2010-01-06 20:12:36 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 日弁連会長選挙が始まる前日の1月5日、読売新聞は夕刊1面で【司法試験「年3000人合格目標」見直し】というタイトルで、【政府は、司法試験の年間合格者を「2010年ごろに3000人に増やす」という計画を下方修正する方向で見直す方針を固めた。無理に実現を目指せば、法曹界の質が低下しかねないためだ。法務、文部科学両省が今春にも有識者会議を設置し、適正な合格者数の検討を始める予定だ】などという記事を掲載した。第2社会面に「司法の質 低下懸念」という解説記事まで掲載する念の入れようだったが、この記事が誤報であるというメールが日弁連執行部から流されたようだ。(http://osaka.yomiuri.co.jp/university/topics/20100106-OYO8T00491.htm)

 このブログの直前の記事(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/a422ff3b899cccb41079960da5c4addf)で書いたとおり、日弁連会長選挙でのテーマが弁護士増員問題であると見られているなか、今回の読売の記事からは、きな臭さを感じないわけにはいかない。読売がどこで情報をとったのかは分からないが、日弁連選挙とまったく関係なく流された情報だとはタイミング的に考えがたい、と思いませんか

 いずれにせよ、今後の大変な盛り上がりを予感させる「誤報」騒動だ。


 なお、この記事、実は、以上の日弁連選挙がらみの面白さだけが問題なのではない。 

 あいもかわらず、有識者会議での結論を政府が事前に決めつけているような記事なんだよね~。これって有識者会議が単なる政府のダミーだっていうようなもんじゃない。古い自民党政権時代の考え方…。民主党政権に代わってからはこういうことはしないでもらいたい。もし、政府が自分の考えを持っており、それで政策を進めようと考えているなら、もう有識者会議など不要。国会で充実した議論をすればいい。自分の考えに自信がなく、有識者の見解を聞きたいのであれば、内部で有識者から聞き取りをすればいい。自分の考えがまとまらないときに初めて、有識者会議に諮問をして検討してもらえばいいわけだ。

 民主党が果たすべき役割は、そういう自民党が続けてきた悪弊をなくすことであり、マスメディアはそういうところに注目をするべきだ。自ら、悪弊を前提とした予測記事を書くなんてもうやめてほしいね。


※冒頭の画像は、現日弁連会長の新年のあいさつ。来年の顔は果たして?
http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/kaityou_aisatsu/kaityou_aisatsu2008.html


【PR】






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。

「日弁連:会長選きょう公示 法曹人口問題が争点に 主流派VS著名弁護士」(毎日新聞)

2010-01-06 11:32:04 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 今日、日弁連の会長選挙が公示された。これまでも、執行部派と反執行部派の選挙戦が繰り広げられてきており、徐々に執行部派が追い詰められていたが(※関連記事の一番上、参照)、今回は、執行部派の対抗馬としてあの宇都宮健児弁護士が立候補することになるから、まさに先が読めない展開となっている。これまでの下馬評では、宇都宮弁護士が地方を抑え、東京では執行部派の山本剛嗣弁護士が強いという。日弁連の会長選挙は、単純多数ではなく、総合1位と都道府県単位(東京、北海道は例外で複数)の各弁護士会の3分の1で1位の両方の条件をクリアしないといけないこともあり、まったく、読めない状況だ。そこで、なんと、再投票の日程まですでに組み込まれているという。

 投開票日は、2月5日。全国約2万7000人の弁護士はどのような判断を下すのだろうか、非常に注目される。

 以前にも書いたが、近年、弁護士増員をしたことによって、浮動票が増えているうえ、増えすぎたことに対する不満があるため、浮動票はどちらかというと宇都宮弁護士に流れがちだろう。このあたり、特に若手が多い東京での票がカギを握っていると思う。

 毎日新聞も、【6日公示の日本弁護士連合会の会長選が、かつてない盛り上がりをみせている。立候補するのは、現執行部の路線を継承する前副会長の山本剛嗣(たけじ)氏(65)と、多重債務問題への取り組みで知名度の高い宇都宮健児氏(63)。従来は主流派の事前調整で擁立された候補の信任投票の様相だったが、今回は激戦模様。法曹人口問題への対応が最大の争点で、若手弁護士の支持取り込みもカギだ。】と指摘している。

 毎日新聞は山本弁護士について、

【これまでは大規模弁護士会の主流派が調整し、東京の3弁護士会や大阪弁護士会の会長経験者を「統一候補」として擁立するのが通例。その流れで今回は元東京弁護士会会長の山本氏が推された】

と紹介する一方、

宇都宮弁護士については、

【「政権交代など政治・社会情勢が変化する中、市民のための日弁連をつくる好機」と挑む。東京弁護士会所属でオウム真理教犯罪被害者支援機構の理事長を務め、08年末の「年越し派遣村」で名誉村長になった。】

と紹介したうえ、争点は、増員問題と指摘している。

 増員に歯止めをかける点では同じだが、山本弁護士については、

【日弁連は09年3月「今後数年間の合格者数は現状の年2100~2200人を目安に」とペースダウンを提言した。 山本氏はこの提言作りにかかわり、会長選にも同様方針で臨む。09年の合格者数2043人を当面の目安とする」と強調】、

 宇都宮弁護士については、

【「合格者数を1500~1000人に減らすべきだとの一部弁護士会の決議に耳を傾け、現状より合格者を減らす」と現執行部との違いを鮮明にしている】という。

 この弁護士の数の問題については、弁護士会の役割がどこまで市民に伝わるかが社会的な理解を得る上で重要なポイントだと個人的には考えている。



【関連記事】
「日弁連会長選挙がチェンジ~村選挙からの脱却なるか?…でもネットで流さないのは?」(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/58177169891bad09487ad882dde97176)

「弁護士に押し寄せる世襲の波~司法修習生への給付制度廃止に賛成、それとも反対?」(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/a4bf47bc73783134ebc2e9570ff2d656)

「日弁連が会長選挙でインターネット選挙運動を禁止~えっ(絶句…)」(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/8c0d10e96906a73a1e785d2e18fa86c7)



【PR】






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。