情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

市民メディアの試み「News of Japanese People」~ご意見募集中

2006-08-07 19:41:47 | インターネットとメディア
市民メディアの試みはいろいろなところで行われていますが,私も仲間たちとNews of Japanese People (←クリック)というHPを作成しようと模索してます。テスト版が立ち上がりましたので,ご紹介します。もしよろしければ,ご覧のうえ,どのような内容にすれば,魅力のあるページになるか,どのような内容を盛り込む必要があるか,どんなご意見でも構いませんので,お聞かせ下さい。また,こんなことを考えているのがいるが,どう思うか,という形ででも,この試みをご紹介頂ければ幸いです。


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実刑1年2月のはずが,「1年6月」~判決書誤記のまま確定

2006-08-07 17:35:22 | 適正手続(裁判員・可視化など)
読売によると,【恐喝未遂罪に問われた大阪市内の男性(59)に対し、大阪地裁の裁判官(54)が懲役1年2月の実刑を言い渡しながら、判決書の主文に同1年6月と誤記し、誤ったまま最高裁で確定していたことがわかった。 】という。

どうしてこういうことが起きたのかというと,刑事事件の判決は,言い渡しの際には作成されていなくてもいいからだ。上記読売にも,【裁判官は2004年7月、男性に対し、知人が金を貸した相手に包丁を見せるなどして返済を迫ったとして、同罪で懲役1年2月(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した後、判決書の主文の量刑を「懲役1年6月」と誤って記載した。】とあるとおり。

これに対し,民事事件では,判決言い渡しの際には,判決書は作成されており,言い渡し後直ちに,受領することができる。

なぜ,刑事事件で言い渡し時に作成されていなくてもいいかというと,これは判決までの時間も問題だと思われる。刑事事件の判決がずるずると遅れると大変な人権侵害にもなりうるため,とりあえず,言い渡しをするシステムとしたのでしょう。

現に民事事件の場合,判決書が作成されていないことを理由にずるずる言い渡し日が延びることもある。これまでの経験では4回くらい延期されたことがある。

ついでに,民事と刑事のもう一つの大きな違いは,刑事の手続が行われる日は「公判」というのに対し,民事の手続が行われる日は,「口頭弁論」と言います。

ジャーナリストのなかにも,このあたりを混同している人がいて,実際に,誌面に反映されたりする。気をつけましょう!



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NHKがデジ墾の議事録をようやく掲載~こんなに的を射た議論をすぐに掲載しないのはなぜ?

2006-08-05 01:37:48 | インターネットとメディア
6月19日に最終報告書(ここ参照←クリック)を発表した「デジタル時代のNHK懇談会」の4月から6月にかけての議事録が,報告から1ヶ月半近く過ぎた今になってようやく,掲載された。政治的圧力からいかに自立するかという興味深く,本質的な議論がされているのに,報告書が発表されてから時間をおいて掲載するのは注目させたくないからか? とも思ってしまう。以下一部引用します。


■■第14回議事録←クリックしてから14回を選んで下さい■■

梶原委員  個々にはそういう執行責任となりますが、経営全体のポリシーの問題であれば、ポリシーに対して誰かが責任を負わないといけないということです。国営放送的な感覚と視聴者がガバナーという感覚とミックスされてしまっている。例えば、受信料というものを、罰則を加えて義務化していくと、体質的にも、性格的にも国営放送的になります。長谷部代行がおっしゃったBBCの発想ですと、視聴者に責任を負うことになると内部的な責任体制になる。そのところが歴史的な経緯もあるのでしょうが、曖昧模糊としているから、一体、経営委員会とはどういう存在なのか。誰から経営を負託されているのか。国からNHKの経営を負託されているのか。視聴者のほうから負託されているのか。その辺が曖昧なものですから、経営委員会をどうするかという前に基本論をはっきりしないといけない。
 国は税金は出したくない、なるべく受信料で賄えといいながら、発言権は留保したいということになります。いよいよ不明確になってしまう。この場では我々の意見というのは、NHKが、どういう方向を目指すべきなのか。国営放送的な方向なのか、BBCのように、お金を出してもらっている視聴者に責任を負うという方向を目指すべきなのか。
 一番大事なところを明確にしないと、枝葉末節だけ弄っても責任体制が不明確になるばかりですから、どういう方向でいくのかはっきりしないと経営委員会をどうするということも考えが出てこないと思います。

辻井座長  そこはどうも合意は取れているように思うのですが、国営、官営というのか、国(官)と公(パブリック)と民というように3つを考えたときに、公でいくべきだということは、だいたい合意が取れているように思っているのですが。

梶原委員  ガバナーというのは誰が。

辻井座長  それは最終的には視聴者ですが。それを国会が承認をするということになっているので、国会というのは国民の代表で、視聴者イコール国民ということで、三段論法でいっているところに無理があるわけです。三段論法ではそうなるのですが、本当は三段論法ではない。時の政権によっていろいろな政治家が出てくることになると、政治との距離が問題になるわけです。

梶原委員  国会が視聴者を代弁しているのは、かなりのフィクションだと思います。むしろ国営放送的な感覚で国会議員の先生方は考えている。

辻井座長  だからどうやって視聴者を代表できる機関を作れるかということで、いい案であれば書きたいということです。

梶原委員  デジタル時代という意味ですが、これはガバナンスにも関係してくると思います。それぞれ受信者の身元、本人確認さえできれば経営について常時意見を聞くことができるわけです。大量処理も十分可能ですから、前から繰り返して言っていますが、視聴者と直結するパイプを経営の責任者が持つということが大事ではないか。フィクションで視聴者を国会議員が代弁していることが諸悪の根源と思います。

辻井座長  それはそうなのですが、それに代わるいいアイデアがあればということで、デジタルという技術を使うというのがあります。それを経営委員会のもとにおいてというのはあります。私もこの10年くらい第三世代の電子投票というのを、任意の端末から投票できる。これはなかなか総務省も定義していない、いろいろな問題があって、政治家も喜ばないのです。
 さっき技術では簡単にできるけどというのはそうではないのです。技術も問題が残っていますが、それ以上に政治家が喜ばないとかいろいろ問題があるのです。アンケート調査くらいならできるだろう。つまり本当の衆議院の選挙、参議院の選挙は無理です。まだだいぶ先になるのです。

■■引用終了■■




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道警VS道新の名誉毀損訴訟に,大谷昭宏,宮崎学両助っ人乱入~21日第1回弁論予定,見逃す手はない

2006-08-03 23:23:38 | メディア(知るための手段のあり方)
道警(北海道県警)の裏金疑惑を追及していた道新(北海道新聞)が,白旗を揚げてしまったために,警察側がかさにかかり,元道警総務部長が「警察幹部を逮捕せよ」(旬報社)と「追及・北海道警『裏金』疑惑」(講談社)の記述について,名誉毀損で道新を訴えたことはここ(←クリック)でお伝えしたとおりだが,この訴訟に,ジャーナリストの大谷昭宏氏(61)と作家の宮崎学氏(60)が,被告側の補助参加人としての訴訟参加したという(道新←クリック)。

両氏は,「警察幹部を逮捕せよ」(←クリック)について、記者二人との共著者。内容の責任は全員にあるとして,乱入した。しかし,力強い助っ人になることは間違いない。今後は,この裁判に全国区的焦点があたり,改めて警察の裏金問題が騒がれることになるはずだ。道警はかさにかかったことを反省することになるだろう。

注目の第一回口頭弁論は8月21日に開かれる予定だという。

道民の皆さん,傍聴席を埋め尽くし,提訴を後悔させよう!




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映画「日本の青空」2006年秋撮影開始~みんなで出し合い製作委員になりませんか

2006-08-03 22:54:28 | メディア(知るための手段のあり方)
映像の力は大きい。映像を通して,場所を越え,時間を越えて,様々な体験をすることができる。憲法9条ができたときのこと,そのことを現実に体験した人は少なくなっている。9条改悪が叫ばれるいまこそ,9条が生まれたときのことを多くの知ってもらう必要があると思う。映画「日本の青空」(←クリック)に,映像の力を通して多くの方に9条を再評価してもらいたいと願っています。

この映画は,【戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の憲法草案に影響を与えたと言われる民間の「憲法研究会」の中心人物だった元静岡大学教授の憲法学者、鈴木安蔵氏(1904~83)を主人公に、日本国憲法の誕生を描く】(朝日)ものです。

鈴木氏の経歴は,

1904年 福島県小高町生まれ
相馬中学校、第二高等学校文化甲類を経て京都帝国大学文学部哲学科に入学。その後社会の矛盾に対抗するため経済学が必要との考えから経済学部に転部。
1926年の治安維持法違反第一号「学連事件」で検挙され自主退学。以後、憲法学、政治学の研究に従事。
民衆の立場に立つ憲法学を成立させる。
1937年 衆議院憲政史編纂委員
1945年 「憲法研究会」案の『憲法草案要綱』を起草
1946年 憲法普及会理事
1952年 静岡大学教授
 その後 愛知大学教授 立正大学教授
1962年 日本民主法律家協会・憲法委員会委員長
1983年 8月7日逝去(享年79歳)

です。

■■以下上記朝日新聞を引用■■
映画は「ガキ大将行進曲」「アイ・ラヴ・ピース」などの代表作品で知られる大沢監督らが中心となり、昨春から構想が練られた。出版社に勤める22歳の女性社員が、鈴木安蔵についての取材を上司から命じられるところからストーリーが始まる。安蔵の娘に出会った女性は戦時下での憲法学者の苦労や日本国憲法の誕生経緯を知る。


 制作の過程で、大沢監督は東京に在住する鈴木氏の娘に会い、鈴木氏の日記帳も見せてもらい、参考にした。大沢監督は「『憲法改悪』論議がさかんな今、平和憲法がどうやって生まれたのかを洗い直し、見る人に再評価してもらいたい。若い人にも興味を持ってもらいたい」と話す。


 11月から撮影開始の予定で、支援する会は今年いっぱい、制作への協力券を発行し、協力団体や個人に支援を呼びかけていく。一口10万円(1枚千円が100枚)。支援者は購入した協力券で映画を鑑賞できる。撮影現場の見学や、出演者や監督との交流会も開く予定。問い合わせ先はシネマ・ワン(054・208・2474)、静岡教育映画社(054・251・4330)。
■■引用終了■■




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東京大空襲の被害者が謝罪を求めて集団提訴~NHKで4日放送

2006-08-03 20:13:13 | 有事法制関連
戦争は,「国益」を追求する手段だとされる。では,その「国益」とは何なのか?太平洋戦争末期,敗戦する可能性が大きくなったにもかかわらず,戦争を継続し,戦場で兵士が死亡しただけでなく,多くの市民が死亡した。確かに殺害したのは米軍だが,「国益追及」という目的から考えれば意味もないまま戦争を継続し,その結果,「国益追求」という目的からは意味もなく死亡した多くの市民に対し,戦争を継続した政府は責任を追うのではないか。

近く,東京大空襲の遺族が日本の政府を相手に訴訟を起こす。8月4日,その訴訟を紹介する番組がNHKで放送される。

19:30~の特報首都圏「戦後61年 東京大空襲 遺族の訴え」。(←クリック)

■内容は,

昭和20年3月10日の東京大空襲で被災し、肉親を失った遺族たちが、終戦から61年になる今年、国を相手に裁判の準備を進めている。なぜ今裁判なのか、そして何を求めているのか。平均年齢74歳と高齢の遺族たちで作る原告団は、空襲の犠牲者は国から何ら補償を受けられず、また、空襲当時の被害実態の調査さえきちんと行われないままになってきたとして、国に空襲犠牲者の戦後処理を放置してきたことへの謝罪を求め、空襲犠牲者の全国的な実態調査を国に求めようとしている。裁判という場を通して、今一度、戦争の悲惨さと愚かさを訴えたいと原告団に加わった遺族たちもいる。遺族一人一人が記した陳述書を集めるなど提訴に向けて準備を進める東京大空襲遺族会の動きとともに、戦後61年になる今も癒えぬ遺族の人たちの思いに迫る。

というもの。

ぜひ,ご覧のうえ,訴訟にも足をお運び下さい。




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弁護士会誌で,弁護士会について太平洋戦争指導者並と批判!

2006-08-02 21:45:03 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
第二東京弁護士会が発行している会誌「二弁フロンティア」8月号に,現在の弁護士会の運営方法を太平洋戦争の指導者並の無計画さだと批判する記事が掲載されている。

この記事は,法テラスにスタッフとして勤務する弁護士が少ないことをテーマにして書かれたもの。

弁護士会の状況について,「日弁連で実際に活動しておられる会員の方々は,自らの業務を犠牲にして身を粉にして活動しておられるに違いない。無償で犠牲的な活動をされている数多の会員の個人的な姿勢には頭が下がる思いである」と分析しつつ,「しかし,その必死の努力は本当に成果に結びつくものなのかどうかは,個人への賞賛とは別に冷徹に数字に基づいて検証されなければならない」と指摘している。

そして,「よく,『現場はよくやっている』という,組織の長の発言を耳にする。しかし,組織の長たる者の役割は,そのような発言で共同体のメンバーの体面を保ち心情的に労苦を慰撫することだけではない。最も重要な役割は,現場がよくやっていながら成果が出ていない原因を究明し,具体的な対策を実行することにより,個人の必死の努力を成果に結びつく力に変えていくことではないのだろうか。」と批判したうえ,「かつて,太平洋戦争において,我が国の指導者層が,戦争目的(=戦略)や国全体の生産力・軍事的能力等の数字の分析を疎かにした結果,将兵を含む数多の国民の命を犠牲にした構図は,レベルこそ違えど,まだまだ我が国の組織に根深く残されている」と手厳しく述べている。

確かに,日弁連執行部は,法務省が弁護士大増員を求めてきたときに,それだけの需要があるか否かの数字の裏付けのないままに,のうのうと受け入れた。競争原理がそのまま弁護士業界に導入されたら,カネにならない人権活動,弁護士会活動を行う弁護士は死滅する…。そんな簡単なことがなぜ分からなかったのか。

せめて,人権活動,弁護士会活動をこなすための資金的な手当を確保するようなシステム,例えば,税金を納める代わりに市民団体に寄付をすることが選択できるようなシステムや人権活動をするために必要な資金を基金として確保し継続的に税金を出させるシステムなどを,弁護士大量増員と引き替えにするなどのことができなかったのか…。

そして今,法テラス(←クリック)という公的な法的支援組織が動き始めようとしているが,その導入によって,真に求められている弱者への法的支援の拡充が実現されるのだろうか。きちんとしたシステム(依頼者の収入の最高限度の設定など)がないままに導入されると,かえって,限られたパイの奪い合いとなり,さらに,市民派弁護士が力を失うことになるだけではないのか?

もちろん,先日指摘したとおり(ここ参照←クリック),刑事の分野に法テラスが進出しようとしていることの問題点も大きい。法テラスは,【法務大臣が、一定の期間において支援センターが達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を定め、支援センターに指示する。 支援センターは、上記指示を受けて、中期目標を達成するための計画(中期計画)を作成し、法務大臣の認可を受ける。法務大臣は、中期目標期間の終了時において、組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。中期目標の策定、中期計画の認可、中期目標期間終了時の検討、業務方法書の認可等に当たっては、最高裁判所の意見を聴くものとする。】などのように法務大臣の指示の下におかれるのだから…。

もちろん,起訴される前に弁護士をつける制度を実現することになるのは幸いだが,弁護士の報酬は弁護士が本来必要な徹底した弁護活動を行った場合についてきちんとカバーできるようなものとしては設定されていないし,派遣される弁護士の名簿を弁護士会ではなく,法テラスが管理することになるため,反政府運動を行うような輩には,元検事などが派遣される恐れもある…。

日弁連の目的とは何だろうか?司法は,多数派原理(民主主義)によって,侵害される少数者の人権を保障するために存在しているのであるから,政府と対抗関係にあるのは当然である。日弁連の執行部には,この関係を冷静に捉えつつ,司法改革に臨む姿勢が求められていると思うのだが…。





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橋本勝の政治漫画再生計画-第31回-

2006-08-02 14:16:06 | 橋本勝の政治漫画再生計画
ニッポンは脳内自由もない国に

【橋本さんのコメント】
「君が代」のピアノ伴奏を拒否する先生は許さない,歌わない生徒は許されない
「日の丸」に起立しない先生も生徒も許されない
国旗と国歌に対しては,それぞれの人の心の問題とは言わせない
国民の心の自由を奪ってこそ
国家は成立するのだから



◆ヤメ蚊:確かに小泉は自分には靖国を参拝する自由があると話している。それなのに,なぜ,先生や生徒には起立しない自由が認められないのか…



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元CIA工作員が米副大統領らを提訴~身元漏えいの賠償を求める

2006-08-01 18:38:29 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
旧聞に属するが,西日本新聞によると,【米中央情報局(CIA)工作員名漏えい事件で、身元を明かされた元工作員のバレリー・ウィルソンさんと夫のジョセフ・ウィルソン元ガボン大使は13日、漏えいを指示したとされるチェイニー副大統領らを相手取り、損害賠償などを求めて首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。】という。

この件は,情報源の秘匿の関係で何度か触れてきたが(ここなど←参照),そもそもは,【元大使夫妻は、イラクの旧フセイン政権によるウラン購入疑惑を調査した元大使が同疑惑を歪曲(わいきょく)された情報だとして戦争計画を進めていたブッシュ政権を批判したため、副大統領らが報復のため妻の身元を報道機関に漏らした】という典型的な権力による報復,意趣返しという単純な事件だ。

この問題が発覚した後,特別検察官のパトリック・フィツジェラルドが捜査にあたったが,「チェイニー副大統領は、犯罪には関与していない」と表明し,刑事事件としては広がりを見せなかった。

結局,【司法当局はリビー氏を偽証罪などで起訴したものの、ローブ氏の訴追を見送った。肝心の機密漏えい罪では誰も訴追されていない。】

今回,【訴えられたのは副大統領、ローブ大統領次席補佐官、リビー元副大統領首席補佐官のほか、事件に関与したとみられる政府、政界関係者10人。】で,【元大使夫妻は副大統領らの違法行為によって損害を被ったとして、被告に金額を特定しない賠償や懲罰を請求した。】という。

最初に工作員の氏名を報道した【保守系コラムニストのノバク氏は12日の米紙ワシントン・ポストに寄稿し、情報源がローブ氏、ハーローCIA報道担当官(当時)、政府高官の3人だったことを明らかにしている。】

しかし,副大統領相手に提訴というのが凄い。日本で同じような状況にあった場合,政府高官を相手に訴訟を提起することができるだろうか…。

違いは,どこにあるのだろうか。2大政党制だから,野党がバックアップしてくれるのだろうか…。

こういうところが,アメリカの底力のように思えるのは,隣の芝生だからだろうか…。




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50万円あったら,弁護人は自分で探せ!~これは酷すぎる…

2006-08-01 03:21:51 | 適正手続(裁判員・可視化など)
DANZOさんのご指摘で,【資力の乏しい容疑者に国が弁護人をつける「国選弁護」制度で、法務省は「資力」の基準額を50万円にする方針を固めた】(ここ←クリック)というニュースを見た。これにはあきれるほかない!

これは新たに設けられる起訴前からの国選弁護制度(これまでは扶助協会が費用を出す形で対処してきた)において,【現金や預貯金の合計が50万円以上になる場合、国選ではなく、まずは私選弁護人を弁護士会に選任してもらうよう申し出ることが本人に義務づけられる。】というもので,【基準額50万円の設定について、法務省は(1)平均世帯の1カ月の必要生計費は約25万円(2)刑事事件を受任した私選弁護人の平均着手金は約25万円――としたうえで、「50万円以上あれば、私選弁護人に着手金を払ったうえでひとまず生活できる」と説明している。 】というのだ。

いいっすか,弁護士費用が50万円あっても,被害者がいれば示談で数十万くらいは別途必要になります!反省したことを示すために寄付したりもする。

そもそも,50万円の資産しかない者にその50万円を弁護士費用として支払わせたならば,社会復帰してからの生活が維持できないではないか。

容疑者=犯罪者ではない!国家権力による恣意的な誤認逮捕のケースだってある!だからこそ,これまで国選弁護(起訴後)では,資力要件は緩和して運用されてきたわけだ。

被害者の権利が叫ばれる裏で,適正手続がどんどん侵害されていくことについて,怒りを禁じ得ません。




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テレビ局と新聞の系列化にノーを突きつけましょう~総務省の調査研究会が意見募集中

2006-08-01 03:03:24 | メディア(知るための手段のあり方)
日本では,新聞とテレビの両方を支配することが比較的簡単に認められていることはこれまでにも何度か指摘してきました。総務省令「放送局の開設の根本的基準」(←クリック)の9条3項で,テレビ局,AMラジオ局,新聞の三事業を経営・支配することを原則禁止しているものの,「ただし、当該放送対象地域において、他に一般放送事業者、新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者がある場合であつて、その局が開設されることにより、その一の者(その一の者が支配する者を含む。)がニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれがないときは、この限りでない。」という例外,すなわち,ほかにニュースを配信するテレビ局があれば問題なしという大幅な例外を設け,結局,三事業支配禁止の原則をまったく意味のないものとしています。

これがテレビ局と新聞の系列化につながり,テレビ放送というドル箱が免許制度であることを通じて,テレビ局のみならず新聞までもが政府の圧力をもろに受けるシステムとなっており,新聞の権力監視作用が大幅に弱まっている実態があるわけです。

この点,英米では,新聞社がテレビ局を所有することは原則,禁止されています。

今回,総務省の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」が取りまとめ案を発表し,それに対する意見を受け付けています(ここ参照←クリック)。

この取りまとめ案(←クリック)では,上述の総務省令での【「独占的頒布を行うこととなるおそれ」の有無について、その基準を明確にすることが望ましい】としている。

そのうえで,【例えば、地域における購読シェアが50%を超える新聞社によるテレビジョン放送とAM放送(又はFM放送)の同時支配は「独占的頒布を行うこととなるおそれ」があるとした上で、これに該当する事業者から反論がある場合には透明性が確保された一定の手続により是非を判断する方法などが考えられ、今後、必要な措置を検討することが適当】というような例を挙げている。

しかし,50%を超える新聞社なんて,地元地方紙以外にはありえないから,結局大手テレビ局と大手新聞社のクロスオーナーシップ問題には手つかずとなる。

確かに現状を踏まえれば,この程度のものしかできないかも知れないし,そもそも,この研究会がテレビの集中排除原則を緩和する方向を示すことを目的としているものだから,期待する方が無理かも知れない。

とはいえ,今回の意見聴取は,総務省に対し,多くの市民がクロスオーナーシップに懸念を抱いているということを分からせるチャンスです。

もし,同じ問題意識をお持ちでしたら,8月31日までに意見をまとめて提出して下さい。夏休みの宿題ってことでいかがでしょうか?!

日本のメディアに権力監視機能を回復させるために是非!!





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