ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

緞子の羽裏再び…

2007-10-29 14:55:05 | 着物・古布
緞子については、先日の「ゾウさん羽裏」でお話ししましたので省略です。
こちらの羽裏は「竜・色紙・中啓(お公家さんの持つ半分位開いた扇子)」、
私のような「ヘンなモノ好き」の人間にとっては、
そういっちゃなんですが、そーんなに面白いとは思えない羽裏です。
そんなこといっちゃ、羽裏さんに失礼ですが…。
今日は「図柄」ではなく「質」のお話し。

こちらにもう一枚、同じ緞子の羽裏、柄はたぶん「宮島」、
なんか鳥居のカッコを見ると『箱根』みたいな気もしますが、
鳥居の向こうに灯篭が並んでいるのは宮島かなぁと。もしかしたら「架空」、
ま、それはともかくこんな柄。


   


輝きがあるもんで、どうしてもなんかきたなーく写っててすみません。
で「質」の話しなのですが、この羽裏どちらも感触にそれほどの差はありません。
厚みもまぁまぁ同じ感じです。でも違うところがあります。
こちら部分写真、



 


もうおわかりですね、絵の線の細かさと粗さ。
上は中啓の要のあたりから中の模様から、とても細かく、描いたようです。
鳥居のほうは線がまっすぐじゃなくてキコキコと段がついてます。
灯篭なんて、けっこういい加減で、今にも倒れそう…?
もちろんこういうものは、手織りではなく「ジャガード織機」で
それこそジャガジャガと織るわけですが、そのときの元の図柄の細かさ…ですね。
今パソコンに画像を取り込むように、「ここはこの糸」と、
機械が指示を出して織るのがジャガードですが、それが粗いわけです。
こういうところも価格に反映されるのではないかと思っています。

私はもっぱら「柄」で選んでいますが、もしこういうものを
着るために選ぶとしたら、わぁかっこいい柄ぁ…だけでなく、
こんなところもよく見ると言いと思います。
ただし…ですねぇ、これがまたおもしろいところなんですが、
いい羽裏がついているから、表もいいかというと、そうじゃないときもあります。
この羽織もそうなのですが、この二枚で「いい羽織」は「鳥居」のほうです。
つまり、その羽織を作るヒトの思い…「やっぱ裏に凝らなきゃ」だったり、
「表地はいいものにして、その分裏はちょっと落とすか…」だったり…。
もちろん「どっちもいい」ってのが一番なんですけどね。
以前ご紹介したものですが、今のところ私の手持ちでは両方「良品」の一枚です。
「くらげに乗った猿」…。この羽裏については こちらの記事をどうぞ。


    


殿方よ、着物を着てくだされぇ…。
こーゆーシャレたのを裏につけて、さりげなーく懐手なんぞして、
日本の男はかっこいいんだというところを、見せてほしいよーん。 

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5 コメント

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着物を着れない男 (Tatehiko)
2007-10-29 19:14:53
どれ~んとしたものしか来た事がない者が、高尚な着物の話を読んでいます。
(お前・・・わかっているのか?と自問しつつ・・・)
絵柄に生地に着物と言うのは、それぞれの趣向を凝らして着ているものだなぁ~と感心しています。
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Unknown (陽花)
2007-10-29 20:54:24
遠目ではあまり目立たないけれど
アップの写真だと本当にギザギザが
結構出ていますね~
以前、西陣帯が出来るまでの工程を
お聞きしたのですが、図案、紋意匠図、
紋彫、・・・綜絖はジャガードの指示に
基づいて経糸を引き上げる装置と伺ったの
ですが、どこかの指示があいまいだったのかも
知れませんね~。
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Unknown (とんぼ)
2007-10-30 11:18:38
Tatehiko様
100年前はみんな着物…です。
今の時代、着物は特別なものになってますけれど、
もっと気楽に、ぐずぐずくしゃくしゃで、
普段にきていただきたいものです。
あったかいんですよ、着物って。


陽花様
今もし、手織りでこんなの織ったら、
たとえたいしたことのない図柄でも、
ものすごーく高くなるでしょうねぇ。
機織も、やってみたい…と、こればっかし!
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Unknown (青め猫)
2007-10-30 14:06:36
一目瞭然ですね。
断然、海月にのっかったお猿さんが、カッコええです。
それにしても、海月の柄は着物で初めて見ました。
女物ばかり見ているためでしょうか。
男物の柄は奇抜で面白いです。
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Unknown (とんぼ)
2007-10-31 10:12:30
青め猫様
おおざっぱな言い方ですが、
表の美しさは「女物」、
裏や隠れたところのおもしろさは「男物」ですね。
私も羽裏に男物を使ったりして楽しんでいます。
今はなかなかないんですが…。
男物のモス襦袢の帯なんておもしろいですよ。
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