トップ写真は羽裏です。
前記事のコメントで「ことはじめ」のことがありまして…。
「正月事始」、つまり「この日からお正月を迎える準備を始める日、です。
12月13日が多いようですが、8日というところもあるようです。
では、なんでこの日?という雑談です。
まず12月13日、という日は、実は江戸時代の暦で決められた日です。
ご存知のように当時は太陰暦ですから、毎年暦は変わりました。
それを決めていたのが幕府の天文方ですが、当然今の近代的な天文学ではなく、
陰陽五行など易学も組み入れたもの。
昨日書きました「高島暦」には、干支だとか六曜(六輝ともいいます。大安とか仏滅など)だとか、
細かくいてありますが、その中に「二十八宿」というのがあります。
皆さんもご存知の「青龍・玄武・朱雀・白虎」これは天の赤道上の東西南北を守る神獣です。
天をまず4つの方角にわけ、それぞれの間をさらに7つに分ける、これで二十八宿です。
覚えていないので、暦引っ張り出して調べました。
例えば東は「角(かく)・亢(こう)・てい(字がありません。低のイをとったもの)」
西は「奎(けい)・婁(ろう)・胃(い)…」なにしろ昔の字ばかりなので、探すのタイヘン…。
で、この南の方角の二番目が「鬼」で「き」と読みます。
この一つ一つが、毎日順を追ってあてはめられてかわっていくわけですが、
ひとつひとつに「婚礼はいい」とか「普請はだめ」とか「断わりごとにいい」とか「乗馬はじめにいい」とか…。
そりゃもういろいろ細かくあるわけです。で、この「鬼」の日は、婚礼以外なんでも大吉、の日なのですね。
昔は、木を切るのもやたら切ってはいけないとか、井戸替えも日を選ぶとか、
いろいろ縁起を気にしましたから、全部大吉、なら火の周りのこと、水の周りのこと、床下から天井まで、
どこをいじってもかまわないこの日が、年末大掃除と、正月準備にはちょうどよかったわけです。
昔の暦は、むりやり月日の数を合わせていましたから、毎年12月13日を「鬼」にしていたわけです。
ちなみに今の暦で言うと、今年12月の「鬼宿」は、21日です。
さて、コメントのお返事にも書きましたが、江戸市中では、この13日にあわせて、
町中で「すす払い用」の笹竹を切ったものを売り歩きました。
今でも古い神社仏閣のすす払いは、長い竹の先の笹っぱを使ってやってますね。
あれのちょっと短いのをかついで売ります。一家のあるじがこれを買うのが倣いでした。
このお話で、以前からおいでのお客様、どっかで聞いた話し…それがトップの写真ですね。
説明すると長くなりますので、詳細は記事をお読みいただきたいのですが、
要するにこれは「大高源五」という赤穂浪士の一人が、笹竹売りに身をやつしているところです。
このとき俳句の師匠に会って、一句詠むのですが、師匠から見るとたいした句ではない…
しかしあとになってこれが「討ち入り前夜の気持ちを表した句」であるとわかる…というお話です。
討ち入りは12月14日…はい、前日13日、事始の日に、竹を売っていた…のですね。
暦がわかればこその、脚本であったわけで。
太陽暦になって、昔の暦とのズレがでてしまい、お盆も新暦だ旧暦だとややこしいことになりましたが、
季節の節目のしきたりとか、しつらいとか…そういうことのいくつかは、残していきたいものだと思います。
最近は結婚式や法事も大安とか仏滅とかよりも、土日かどうかが優先です。
さすがに「友引」の葬儀はいまだにありませんが。
それにしても着物をおろすのにいい日だとか、池を掘るのにいい日だとか…全部守るとたいへん…
でも、平安時代は、暦ですべて暮らしていました。
内容は後年のものと違うとは思いますが、髪を洗う日とか、誰にも会わない日とか…そりゃもう大変だったようです。
髪を洗うにいい日にと、洗髪してカゼひいて肺炎起こしてなくなった、
などという記述ものこっているのだそうですけれど、そういう時は「日ごろの行いが悪いから」だの、
「別の日に○○を守らなかったから」なんていわれたのでしょうか。
事始の日といわれても、何にもまとまらない私ですが、とりあえず「歳末」という言葉が目に付く時期。
もたついてないで動きましょーぞ。
父などは、何か新しいものを下ろして使う日なども
暦を気にしています。
私はそこまでやりませんが、やっぱり家や土をいじるとか、
水関係とかは、突発的なことでなければ、
暦を見ますよね。親のまねっこしていますわ。
私も、なんやかやと理由を考えついては、
月半ばでいいか、とか…終わる気がしません。
暦はを買うのはもう習慣になっています。
見るだけで「守って」ませんわ。ムリムリ!
事はしませんが、大事な事を決めるのは
やはり暦で細かな所まで気になって見るので
必要なものです。
掃除をする・・・前に片付けしなくては 等と
考えるだけで 過ぎてしまう時間
昔は厚い暦を買って読んで楽しんでいましたが
そのうち 薄い暦を買う様になり
今や 買わずに 大安や仏滅などが書かれたカレンダーを購入するのみとなってしまいました。
読んでいるだけは楽しいのですが 守ろうとすると大変ですものね。