
色無地「海老茶」が仕上がって、呉服屋さんからお預かり。ほんとにいい色です。
壽光織、さすがの光沢です。
昨日くるはずだった友人は、予定がまたまた変更、色無地は我が家でお嫁入りの日を待っています。
さて、その色無地のことについて、仕立て前に友人と呉服屋さんが、我が家で「ごたいめ~ん」をしたとき、
呉服屋さんが「紋はどうします?」と聞きました。
友人は、今回は、取り急ぎ『お宮参り』用であること。嫁がせた娘の付き添いなので、脇役の脇役、
そういうことなので、今回は「とりあえず紋はつけなくていいです」といいました。
呉服屋さんも「それなら付けなくてもいいわね」と。
必要になったら縫い紋ならいつでも入れられるから言ってね、とも。
紋というものは「便利なもの」で「やっかいなもの」です。つけてしまうとほいほいと着られない。
ついてないと略礼装にはそのまま着るのはちょっと…になる…。
私が冗談で「いよいよになったら、アイロンでぺたっとさ」と、手でペターンと貼るしぐさをしたら、
なんか今のは直径10センチくらいありそうだった…と大笑い。
実際、いよいよのときは貼り紋もありますが、付けるなら最初からよく考えて付けたほうがいいわけです。
縫い紋は染め紋より格が下がりますから、その色無地は、これから先どんなときに着るのか…と、
よく考えて付けたほうがいいわけですね。
呉服屋さんは、さりげなく「訪問着はあるのね」とか、友人のたんすの中身を確認…。
友人は古いものがあるのだけれど、もう一枚いるなぁと。
これから先、お婿さんの兄弟もいることだし、色無地も訪問着もいろいろ着る機会が多くなる予定だそうです。
お母様から譲られたものなども思い描いて、今回の色無地はいずれ縫い紋を入れる予定…で、
あとはもう少したったら訪問着を、ということで決着しました。
友人は割りと着物のことがわかる人なので、たまたまみつけた呉服屋さんで色無地を見ていたところ、
「紋を入れれば、なんにでも着られますよ」と言われたそうで、いれりゃいいってもんじゃないわよね…と。
わかっている人は、どういう紋をいくつ入れたら、どんなときに着られる、というようなことは、
だいたいカン働きもできるものなのですが、何も知らない人が呉服屋さんにそういわれると、
「なんにでも着られるんだー」となってしまう。友人は「娘にちゃんと教えておかなくちゃ」と言ってました。
今度は娘さんの「留袖」を承り中…結婚のときにとりあえず持たせたらしいのですが、ジミだった…と。
留袖のジミハデって難しいんですよね。
友人は、私と同じ一人っ子なのですが、ご主人に兄弟がいて、アチラのご両親も同じ…。お婿さんの兄弟も。
姪だの甥だのが、まだまだこれから…なのよと。そりゃ留袖、訪問着はいりますわね。
友人が言うには以前ある結婚式で、身内の数人の留袖が貸衣装だったのだそうですが、
正絹で、借りるのにいい料金したのに、ぺらぺらで色も安っぽく見えて…と。
これ、以前にも書いたのですが…
身内が多いと、結婚式の回数も多くなります。記念写真で「親族一同」というのを撮りますね。
あのとき、洋服、例えばカラーフォーマルであれ、スーツであれ…コサージュくらい替えたって、
いつも同じドレスだとハデで目立つデザインであればあるほど「この人、これしかないのね」といわれる。
ところが、留袖でいつも同じ柄だと「この人、貸衣装じゃないんだ」といわれる。
これは呉服屋さんが教えてくれたこと。なるほどね、です。
お金持ちなら留袖でさえ何枚ももつのかもですが…。
今はどうなのかわかりませんが、私のころはまだ、嫁入りのたんすには「一通り」というものが入ってました。
着物はちょうど40~50歳くらいから、ものによってハデ、が出てきます。
今、私の色無地の一枚は、母が着ていた「元」薄い水色。そのままの色でほしかったのに、
自分にはもうあまり用がないから、と、いつの間にかローズピンクに染め替えられて、私のところにきました。
ちといたずらお絵かき、
左が元の色、実際にはもっと薄かったです。右が染め替えて私のところにきたとき。
水色なら当時30歳くらいですけど、いけたでしょ。右のローズピンクは、写真ではよくわかりませんが、
水流の地もようが大きいので、よけいに今の私にはハデめです。
いやぁもうそろそろ、着られない…かといって、何度も染め替えれば絹が弱ります。
元々母に、次に染め替えるときはじゅばんにすればいい、と言われていたもの。
水流の地紋があるので、筏流しとか、柳に猪牙とか、そんな感じの柄で赤いのを染めてもらいましょうかねぇ。
元々がしっかりした綸子やちりめんだと、そうやってじゅばんにすると、しなっとして着易いです。
母の染め替えの果てのじゅばんがありますが、もうやわらかくてやわらかくて…。
かといってすぐに破れるほどの弱りはきていませんし、こういうことができるのがうれしいですね。
街着として楽しんで着るものは自由が身上ですが、
礼装関係はしっかり計画立てたほうが、あとあとまで重宝します。
ところで、私が「留袖着るようだなぁ」と思う身内は、あと一人。
私の留袖はギリギリ限度50歳半ばだよ、と言っておいたのですが、いまだ嫁に行かず…。
こうなったら、もしものときにはピンクのフリフリドレス、レンタルして着ちゃるっ。
私の結婚式の日、祖母が選んだ貸衣装の留袖は、いかがですかと並べられた中で最も派手なものでした。
母はちょっと笑ってしまいそうだったと申しましたが、私は微笑ましくてちょっと笑ったことを今も嬉しく覚えています。
留袖をはじめとして、着物には服より思い出が多い気がします。
幸せな思い出が多いように、作る人々の想いが伝わって行くのでしょうか? (*^_^*)
義姉が1着、私が1着、姑が2着持っているので、「とっかえひっかえ違うのが着れるじゃない」なんて言っていた事もありましたっけ。
紋は難しいですね。無ければ困るし、あればTPOを選ぶしで。 そうそう、娘の色無地には「お茶会用に」と、姑が藤の花紋を入れていました。娘は大喜び♪ 花紋というのも、おしゃれでいいですよね(^^)
それにしても、よい海老茶色ですね~♪ ワインレッドは華やかで落ち着いていて、本当に素敵です。
留袖のジミハデは難しいですね。
確かに赤い色が入っているとハデで若向きといわれますが、
柄の大きさにもよるし…。
私のは赤がはいっているけれど、柄がおとなしい…。
それでも限度ってものが…です。
おっしゃるとおり、着物って思い出がたくさんありますねぇ。
着物は洋服より長く着られるからでしょうね。
獅子ですか、そりゃ荘厳でしょう。いいですねぇ。
花紋や花丸紋は、家名も関係ないし、女性にとっては
アクセサリー感覚で楽しめるもの。いいものですね。
無地の振袖に大きな花紋ひとつ、というのを
写真で見たことがありますが、華やかでステキでした。
この海老茶はほんとにいい色で、着物にしたら一段と
つやめいています。
少しは出目になるかと思ったら、長く着られそうな感じで、
つい「アタチもホチイ」…こらこら、です。
なるほど紋を入れるのと入れないのとはよくよく考えないといけないのですね。
何んとなくこう、と思っていたことが実はそういうことだったかと知りました。
ありがとうございました。
色無地は、柄がない分、やはり訪問着や留袖の中に入ると、
どうしてもさびしい印象になってしまうんですよね。
だから結婚式などではなく、入卒式とか、ちょっとしたお祝い事程度が
とても便利なんですよ。
紋はたとえば色無地に五つつけたら、紋なしの訪問着より
格があがりますから、やたらつけたら着られない…。
なので一つ紋が一番使い勝手がよくて、頻度も多くなるというわけです。
ややこしいことなんですよね。