ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

旅もラストスパート?

2008-04-27 17:30:20 | 着物・古布
どこのイナカ?実はこれ「新横浜」のホームから写したものです。
反対側は、もう高層ビルが立ち並び、高級ホテルやショッピング街、
駅前には大きなロータリー、すぐ脇には6車線道路と、
大都会の様相なんですが、反対側ってこんななんですよー。のどかじゃあ。

さて、昨日の続きです。
いいものとの出会いがあって、ウキウキるんるんで、残りのお店をのぞきました。
もちろん、ほかにほしいと思ったものもありましたが、
予算のこともあって、買い物はここまで、あとは見るだけのお楽しみです。
ほぼフルコース回りまして、時間制限もあり、次の目的地「西陣」です。
コメントを下さるてっちゃん様のところへも、
時間があったら寄せていただきたいとは思っていたのですが、
家のこともあり三日目は早くに京都を発たねばなりませんでした。
そんな状況でしたので、距離を考えて候補五箇所から二箇所に絞りました。
まず行ったのは「織成館」、ここに飾ってある「能装束」と、
日本各地の織物が並んでいるとのことで、それをじっくり見たかったのです。
京都へはけっこう行ってますが、何度行っても分かりにくいのが
「西陣」です。まるで迷路ですがな…。
今回も、地図をちゃんと頭にいれていったのに、途中で道を一本間違えました。
おかげで一回り余分に回って、益々時間がなくなりました。

織成館というのは西陣の帯屋「渡文」の初代店主の自宅と店舗を
改造したものだそうです。梁とか柱とか、ぴかぴかの床とか天窓や坪庭など、
京都の裕福な町家の特色をそのまま残しています。
玄関をはいったところにすぐ能装束が飾られていました。
つやつやの階段をあがると、様々な織の反物の実物が一反ずつ並んで飾られ、
カンタンな説明がついています。結城や会津木綿など、耳になじみのあるものから
初めて聞く織物まで、イロイロ並んでいまして写真もOKです。
私は「和紙織の布」を初めて触りました。

そのコーナーを抜けて入った次の部屋、受付で預けた荷物の中に
うっかりデジカメを入れてきてしまったので、ケータイで写しました。
粗くてすみません、それにしても広い…。


    


一番ハジにこんなディスプレイがありました。
糸車と「杼」ですね。


        


別の部屋に上がる階段でみつけたもの


        


「関守石」、留石とも言われますが、お茶室へ続く庭の道で、
二股に分かれているところなど、ここから先ははいらないでね、
或いはこっちじゃなくてそっちです、の案内のための石、
これが置いてあったら、もう一方の道を行けば、
おのずとお茶室にどりつけるというわけです。
こういった何かを展示している場所などで、一般客が入れないところには
「立ち入り禁止」なんてぇ看板があるものですが、
こういうのを見てしまうと、看板は味気ないですね。

自分の見たかった織物のみ見学して、能装束をじっくり眺めて、
ちょっとだけお土産を買って外に出ました。
さて急がないと「長じゅばん美術館」の見学予約時間に間に合いません。
ひさーしぶりの「カッションカッション」という織機の
音を聞きながら、タクシーの拾える通りまで、またせっせと歩きました。
長じゅばん美術館は「紫織庵」という、これも織成館と同じ、
裕福な商家の家を開放したもの、展示物もですが、
家や部屋の造り、庭を見るだけでも一見の価値があります。
場所は説明しにくいんですけどねぇ、二条城の右下1キロくらい?

元々は江戸時代後期の名医・荻野元凱という人が医院を開業するめに建てたもの、
大正15年に当時の豪商井上利助氏が、更にモダンな洋間を加えて
新築したものだそうで、洋間の床は全部寄木細工で、暖炉なんかもついてました。
廊下の戸にはめ込まれたガラスは、俗に言う「波打ちガラス」、
当時の技術では、今のようなゆがみのないまっ平らな板ガラスを作ることが
できなかったので、きずひとつないんですが面が波打っていて、
外の景色がゆらゆらとゆがんで見えます。
大正時代から一枚も割れていないのだそうで、係りの人に
バッグなどが当たらないように、気をつけてください、と言われて、
思わず一歩下がりましたよぉ。

こちらでは、現代の淡いばかりの長じゅばんではさびしいと
大正時代の、華やかな襦袢の「復刻版」を販売しています。
実は「予約」をいれる、というのは、結局順路にしたがって歩いていくのに、
係りの人がついてある場所から「商品説明と営業」にかわるわけです。
一人でじっくり庭や建物を眺めることもできるのですが、
そこを動くとそのかたが「おいでになる」わけですねぇ。
ほっといてほしーなーと思いつつ、説明に聞き入ってたあたしって…。

それにしても、本物のアンティーク長じゅばんや豪華な刺繍半衿などの展示、
復刻柄で作られた和装小物など、見るものがたくさんありました。
祇園祭のときに、家の屏風を表通りに向けて並べ、道行く人に見せる、
という行事は今でもありますが、ここではずっと家の中に飾りっぱなし。
ミゴトな屏風が、いくつも並んでいました。
驚いたのは、祇園祭のときに「山鉾」を眺めるための「家族専用鉾見台」が
二階から更に上についていたこと。いかに豪商であったか、ですね。
残念ながらここは「商品や展示物の撮影は禁止」、
やたらとカメラもかまえられず、とうとう写真はナシです。

じっと座って庭でも眺めたかったのですが、時間が気になり、
早めに出ました。あとは駅でラストのおみやげを買って新幹線に乗るだけ。
わがままバサマのおみやげを悩み、とりあえず葛きりなら文句は言わんだろと、
それを買い、駅構内に入って見つけたのが「伏見唐辛子」。
しし唐の大きいヤツです。たまーにものすごく辛いのにあたるんですけどね、
バサマの好物です。まさか駅のコンコースで野菜が買えるとは思いませんでした。
これで全て日程終了、春の京都、名残の八重桜と満開の花水木に送られて、
新幹線に乗り込みました。


さて、今回ウチのコになったもののご紹介です。
昨日のオジさんの帯は、明日以降に。
今日は「やゝさん」の染の丸帯と男物じゅばんです。
以前手に入れた「染の丸帯」は、
柄に惚れ込んで買いましたが、残念ながら使用はムリでした。
今回のは、いけます。経年のくすみや汚れはあるのですが、
アンティークとわかっていて締めるなら、モンダイないと思います。
帯はこちら、全体ではなく部分で写しました。
「遊び道具尽くし」、大人のお遊びですね。
まずは「投扇興」、柄が細かいのでシャープかけてハッキリ目にしました。
地色はもう少しくすんで、茶色系です。


   


重なった破れ地紙(扇子に貼る紙)の中に、上は投扇興とカルタ、
下は「羽子板尽くし」、羽子板(羽つき)のお話しはだいぶ前に書きました。
ちびとんぼが見られますこちらのページです。

次はこちら「貝あわせ」、


   


そしてこちらは「スゴロクと草紙」、


   


スゴロクと言っても、サイコロ振っていくつ進んで、ここで一回休み…ではなく、
今で言うところのバックギャモンです。ちなみに私はPCのあれで、
勝ったためしがありません、クヤシヒ…。
実は今回、検索して初めて知ったのですが「雙六」と「双六」、
最初から違うものなのだそうです。
私はてっきり「學校」と「学校」のように単に旧字を使うのを
やめたのだと思っていました。
平安時代に入ってきた最初のものは「雙六」、
コレが今で言うところのバックギャモンによく似たゲーム、
つまり、別々の陣地から出発して、持ち駒を全部反対側の陣地に移す、
そのとき相手の駒に飛び越されると、その駒は、はじかれて
外に出て動けなくなる…というあれです。
そしてこのときさいころを振って駒の進む数を決めたわけですが、
それを基にして、今度は絵スゴロクができました。こちらが「双六」、
昔の人は、ちゃんと字も使い分けていたのだそうです。知らんかった!
つまりこれは「雙六柄」となるわけですね。
ちなみに、どちらも「賭け事」として、世にはびこることとなり、
お上が何度も禁止令をだしたそうです。

お次はその「禁止令」も出ました「花札柄」の男物じゅばん。
地はあまり見かけない「チョコレート色」です。
お福ちゃんにちょっと羽織ってもらいました。


   


これは広幅、背縫いなしです。粋な柄、遊び上手な人が着たのでしょうかねぇ。
こちら左の下です。


           


残念ながら、こういう濃い色の宿命で、色ヤケや褪せがあります。
こちらは腰のところ、写真だとあまりはっきりしませんが、
上のほう、褪せてますね。実際はもっとはっきり白っぽいです。


     


脱がせようとしてふときがついたんですけれど、
これ、黒繻子の衿をかけて、半てんにしたら粋ですねぇ。
こんな感じ…またしても私物かいっ…!


            


骨董市に行って、古い着物や帯を見ていると、単に古臭いなーと思うものと、
これは残してほしい意匠だわ、と思うものといろいろです。
今回は、市の中であまり着物を着た若いひとを見ませんでした。
一番いい時期なんですけどねぇ。
着物が単なるブームにならないよう、願うばかりです。

明日はおまけ記事…ですかね。
とりあえず、ホテルから送った「洗濯物」もどっと帰宅?し、
連休中はお天気続きとか。お日様と一緒にシゴトにはげみましょう!
  

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3 コメント

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Unknown (とんぼ)
2008-04-28 13:09:22
陽花様
はい、そーなんです。
お天気だったら、遊様のところに行く前に、
陽花様をご案内したかった「町屋」の
小さな美術館もあったんですよー。
次回はいきましょうね。

この長じゅばんは、ほんとぜーたくですわ。
誂えでしょうね。


ゆん様
子供のころ、近くの銭湯の涼み台に
出るところがこのガラスでした。
ゆわゆわとゆがんでおもしろいですよね。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-04-28 05:44:30
おはようございます。
 素敵な中着・・もさることながら、大好きなのが「波うちガラス」。あのガラスの向こうってホントになんだか「別世界」で、いつまでもそこに佇んでしまいます!ひねる鍵の冷たさ、開け閉めするときの重い木のきしみと香り、真鍮の敷居のガラガラ、ガラスのしゃらしゃら、全部大好き!
 以前、あわら温泉で宿泊したお部屋のガラス戸がそうでした!感激したけど「子ざる3匹」がこわい!!「そっちは危ないよ~~~。」って声が裏返りましたわ
返信する
Unknown (陽花)
2008-04-27 21:51:33
あらぁ~天神さんだけかと思ったら
精力的に回られたのですね。
花札柄の長襦袢、こうして見せて頂くと
訪問着みたいに柄が合っていてスゴイ!と
思います。
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