ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

卓上織り機

2014-01-24 19:13:54 | つれづれ

 

まだなんとなく寝不足状態なので、ぼちぼち程度に動いています。

ヤワになったもんです。

 

今日は、半襟のケースのなかを整理したり、手拭いのストックを整理したり、

あったかい部屋で、ぺたーっと座り込んで、ちまちまと。

で、そのケースの上にでーんと載っているのが「織り機」なわけです。

まだまだ練習用の毛糸の状態で、しかもセットはしたけど、数回「杼」を行ったり来たりさせただけ。

なーるほど、こうするわけねぇ…で、止まったままです。いつからだったかしらん…の状態。

 

本物の機(はた)は、とても買えませんので、原理だけでもこの目でみるために購入したものです。

今、編むことと織ることについての記事を書いているのですが、実は書き始めて何か月…。

どうにも進みません。なんでか…実際に日本で「機織り」が始まったころの、

正確な資料が見つからないため、です。別に専門家ではないのですから、そんなこと、

わからなくてもいいようなものなのですが、好奇心の強さには、我ながら困ったものです。

 

考えてみると、です。「マンガ はじめて物語」みたいなことなんですが…。

人間が直立歩行をし、火を征し、裸ではなくすごし…と、生活全般が少しずつ文化的になってきた…

その過程で「布」というものを、作って身にまとうようになったのは、いったいいつから?

「布」を作るということは、そのまえにまず、何かを組み合わせる、という作業が必要になります。

たとえば、水仙の葉っぱのように細くて長いものを、ただ横にに並べるだけでは、

その上に物を載せても、持ち上げたら隙間から落ちてしまいます。

でも、その細い葉を交互に組み合わせて「かご」のようにすることで、

初めて「巾の狭いものが、面積を持つ」ようになるわけですね。これが糸を織って布にする原理です。

 

先日、考古学関連の番組で、魚や動物の骨から作った針、を見ました。

針があるということは「縫う」という作業、つまり二枚のものを重ねて、針に通した糸をジグザグに通すことで、

二枚のものが一枚につながる…ということができたわけです。

つまり、何かから「繊維」をとることができるようになった、ということです。

ではその糸は最初から麻や木の皮からとった繊維だったか、

また「二枚」は最初から布だったか…

もしかしたら動物の皮だったかもしれませんし、丈夫な厚い葉っぱだったかも。

糸は、北の寒い地方、日本ではなく外国の・・・植物に恵まれず、狩猟生活をしていた民族は、

植物ではなく、しとめた動物の足などの「腱」を薄くはいで、それを乾かし、裂いて糸にしていました。

 

縄文式土器、は学校で習いました。

土器に「縄目」の模様があるので、そう呼ばれますが、この「縄目の模様」って何かというと、

荷物用の麻ひも、あれのようにより合わせたものの、短いものを、作った土器の表面に、

ころころと転がした模様です。

これでわかるのは、その当時「糸を撚り合わせる」ということにすでに気が付いていたということですね。

こんな風に考えていくと「そのままではただ細い一本だけれど、それをどうにか組み合わせると、

面積を持つものになる」ということは、単に「機織りの始まり」とは言えません。

 

繊維関係のものは、土器や石器のように、長く形を残すことは難しいものです。

それでもわずかばかり出土することもあります。

そのわずかに残ったものと、そのほかのものから、考古学者は「布はいつごろから、

どうやってできたか」を研究しているわけですねぇ。

 

繊維質のものは残りにくいものではありますが、たとえば土器の底面には、

たぶん滑り止めなどの目的で、何かを敷いて、そのうえで作業した…という跡が残っているそうです。

それは、たとえばクマザサのような大きな葉とか、竹を薄くしたものとか、それを組んだもの。

今でいうならマットですね。そのあとが付いているわけです。

これが、布のようなものの跡ではなく「ざる」のようなもの…ではないかというのが推測です。

 

さて今、私たちは「編む」ことと「織ること」をどう区別しているでしょうか。

単純にぱっと思い浮かべるのは「毛糸で何か作ることは編むという」、

これは一本の糸を、あみ針を使って「糸を絡み合わせる」動作で「面積」が生まれます。

織るほうは、たくさんの糸を並べて、そこに一本の緯糸を何度も何度もくぐらせて「面積」を出します。

でもね…です。

竹や蔓、アケビなどで作るザルや籠は?…これも「編む」ですねぇ。

長い一本のものを編んでいくわけではありません。でも、編む、と言います。

ではもっとしなやかで柔らかいけれど、太さのある藁などで作る「むしろ」は?…これも「編む」ですね。

では竹のように固くなく、藁のように柔らかい、でも藁よりはるかに細い糸を束ねて作る帯締めなどは?

これは「組む」といいますね。同じ絹糸を細いまま機織りにかけて糸を組み合わせていくものは?

ここでやっと「織る」になり、布ができます。

 

編むとか織るとかって、それぞれが別々にできたのではなく、用途によって違う素材をつかったものを、

「どうにかして形にする」ための動作、関係し合っているのだと思います。

なので、考古学者によっては、最初は「編む」、つまり土器の土台にする敷物みたいな感じですね、

それが始まり、いろいろな「面積を作ること」が考え出されて進み、やがて目的別に進歩した…

なので「編む」から「織る」までの間に「編み組む」という課程がある…と言っています。

 

機織り機は、遺跡から土の人形で出土しています。

この「機を織る」ということも、元々は垂直織機が先であろう、とも言われています。

機には「垂直織機」と「水平織機」がありますが、これは経糸が立っているか寝ているか、の違いです。

あぁだんだん長くなってきました。

こういうことのお話を書いていたのです。最初の部分はあらかた書いてしまいました。

 

私がこの「おもちゃ織り機」を買ったのは、実際に経糸と緯糸を組み合わせる動作を

自分てしてみたかったから。織り機というのは、原理は実に簡単なんですが、

これを考え出したこと、がすごいと思うわけです。

しょっちゅう「これは織りが甘くていいものではない」だの「柄の織り方が雑」だの、

いろんなことを勝手に言っていますが、細い細い糸を、何万回となくあっちへこっちへと通して、

一反の反物を作るのは、どれほど大変なことか…。

確かに今は機械が織ってくれるものがほとんどですが、あの機械のおおもとになったものは、

何千年も前の人たちなわけです。

私たちは今、たくさんの素材の、たくさんの織ったもの、編んだもの、組んだものに囲まれて

日々便利に暮らしていますが、それは、今そこにあって当たり前のものではないのだと、

そんなことを思ったわけです。ニンゲンってすごいよねって。

 

このことは、また改めて書こうと思っています。

とりあえず…今日のちまちまお片付けはこれまで…このおもちゃ織り機も使わなきゃ…いつだ?


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10 コメント

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わぁ~ (露草)
2014-01-24 22:42:59
たまたま今日、クラフトバンドの小物入れを作っていました。100円ショップ『セリア』のキットですがf(^^;
確かに織物と原理は同じですよね~

ウチにも懸賞で当たった卓上織り機がどこかにあったはず…箱に入ったままです_(^^;)ゞ

こういうお話、ほんとに楽しいですo(^-^)o続きも楽しみにしていますm(__)m

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Unknown ()
2014-01-24 23:19:38
・・・織り機・・・
自分が使ってみたいと思い
子供が小さい時にプレゼントをしたら
箱を開けた途端に壊してしまって・・・
(箱から無理して取り出したら引っ掛かって折れた)
木で出来たものではなかったので 直らず
陽の目を見ずに消えた悲しい想い出が・・・

道の駅などの機織り体験コーナーなどがあると
お金を払って 少しだけ織って楽しんでいます。

置く場所も織るあげる根性も無いから 
それで丁度良いのかと思う様にしている私です。

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Unknown (陽花)
2014-01-24 23:35:03
何年も前に旅行先でコースターを織った事があります。
見ているとトントンと簡単そうに見えたのですが、
実際織ってみると幅が揃わず悲惨な形になりました。
織物、編み物、組物どれも生活にあると便利なもの
ばかり、先人の知恵に感謝です。
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Unknown (柾女)
2014-01-25 04:49:17
高校生の頃、「暮らしの手帳」に手作りの織機の作り方が載っていて、
キャンパスの木枠に小さい釘を100本以上打って、タコ糸を渡し、
毛糸を緯糸に使って、お弁当箱入れの小さなバッグを作りました。

織物というより、むしろを編んだような・・・
でも、ホームスパンの風合いのようで今でも使える丈夫な布になりました。

織物のルーツ、縄文の竪穴式住居でもむしろを敷いたと思うので、麻布や芭蕉布みたいに草を編んだ(織った)んじゃないかな?
ルーツ探究の記事、楽しみです。

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Unknown (古布遊び)
2014-01-25 08:18:33
若いころ織に興味があってそこそこの織機を持っていましたが何十年と使わないでいたのですっかり錆ついてしまい家の建てかえの時に思い切って処分しました。

処分したらまたしたくなって、今度は小型の卓上を購入したのですが、結局なげたまま。。。
織は始めると結構時間と場所がいりますね。
いつになったらやれるんだろう!!!

織のお話、楽しく読ませていただきました。
ほんと、最初に考え出した人はすごいと思います~
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Unknown (とんぼ)
2014-01-25 18:26:05
露草様

最初の人は、織るも編むも一緒くたで、
ひたすらいいものやきれいなもの、便利なものを
作ろうとしただけなのでしょうね。
構成の人間である私が、あれこれ考えても、
どうなるものでもありませんが、
先人の知恵ノ「ハジマリ」を知りたいと、
つい思ってしまうのです。
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Unknown (とんぼ)
2014-01-25 18:27:25
惠様

本格的にはじめたら、またハマってしまいそうなので、
「サワリ」だけ…なんておもってるんですけどねぇ。
こういうことは、時間を忘れて、やってみたいです。
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Unknown (とんぼ)
2014-01-25 18:28:55
陽花様

機織のリポートなど見ると、まぁシャカシャカトントンと、
やっていますけれど、糸のハリ具合とか、
引き具合とか・・・たいへんなんでしょうねぇ。
でも、やってみたい私です。
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Unknown (とんぼ)
2014-01-25 18:49:15
柾女様

今ちょうど描いているところなんですが、
毛糸編みのように、一本の糸をナントカしていくのではない方法で、
「編む」ということをしています。
それが始まりといわれています。
どっちでもいいことだけど、おもしろいですね。
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Unknown (とんぼ)
2014-01-25 18:52:15
古布遊び様

あらら~、処分なさったんですか。
でも、ほんと場所とりますし、使わなきゃダメだし、
なかなか難しいものですよね。

この卓上は、半幅くらいの帯なら織れるので、
それをやってみたい…なぁんて妄想もありましたが、
ムリムリ…せいぜいマフラー、それも何年先か…です。
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