ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

どこからどこへ・・和紙の旅

2005-12-20 02:18:17 | 昔の道具・暮らし

写真は「和紙」を使ったもの・・です。後ろの手つきの小物入れは
息子の通う活動ホームでの販売品、これにキャンディを入れたり、
お菓子をいれて、ちょっとしたプレゼントやお土産にしています。
手前の「結んであるもの」は和紙の箸置き、艶出しを重ね塗りしているので
ちょっとくらいの水気はOKです。一時期コッていくつも作った残りです。
真ん中の鶴は・・ブサイクですみません、この写真のために私が折りました。
全部和紙、色柄がきれいですね。それと丈夫です。
「鶴」は実は全部つながっています。一枚の紙から、5羽の鶴を折り出しました。
これは日本に古くからある折り紙の手法をアレンジしたものだそうです。
紙を切る時、ばらばらにしないでつながった部分を残しておくのです。
上の写真の場合だと、真ん中の鶴を折るための大きな正方形の2辺に、
4分の1の小さな正方形を一箇所ずつ切り離さずにつなげた形で紙をカット、
つまり切れ目を入れた状態で真ん中の鶴から折り始めます。
あとは小さな鶴を4個折る・・・実はやりにくいです。
なにしろ全部つながってますし、四苦八苦で折りました。
でも、時間かければ誰でも作れます。なぜか・・和紙は簡単にはちぎれないから。
かなりひっくり返し、ひつぱったりぶらさげたり、の状態になるのに切れません。
繊維が長いからなんですね。

和紙というのは本当に丈夫なものなんですね。
下の写真は、昨日お話しした「冊子柄」これは羽裏です。
一番「和とじの本」らしい図柄でしたので、これを載せました。
昨日お話しした「絵草紙」などは安いものは「漉きなおし」の紙で作りました。



さて「漉きなおし」とは・・。
元々和紙と言うのは「こうぞ・みつまた」とよく言いますが、木から作りました。
どうやって作るかの説明はまた長くなりますので、これまた機会ありましたら、
で本日省略です。とにかく、和紙と言うのは繊維が長いのです。
その長い繊維がからまって漉かれるわけですから破れくいのですね。
以前「紙の着物」のお話しを致しましたが、あそこでも書きましたように、
和紙は重ねて貼る、ということで布の役目も果たしました。
それくらい丈夫なものでしたから「再生」も可能だったのです。

江戸の町は「捨てるものがない」という暮らしをしていました。
もちろん最初からそうではありませんが、人口が急激に増えると当然ゴミも増える
それをどうするかを考えていくうちに、さまざまな工夫がリサイクル都市を
完成させていったわけです。もちろん今より暮らしが不便で貧しかったとか、
さまざまな資源や物質が今ほど豊かでなかったということもありますが、
さまざまな要因がからみあって、江戸の町は「ムダ」の極力少ない暮らしを
実践することになっていったのです。

「紙」もそのひとつ。まずは「本」とか「古い手紙」「不要な書類」・・
さまざまな「不要紙」が出ます。これを買う商売の人がいました。
「古紙買い」「反古紙買い」「紙屑買い」と呼ばれ、各家庭や寺子屋など
およそ紙ごみのでるところから、いらなくなった紙を買いました。
ちなみに「約束を反古(ほご)にする」の反古は、この不要になった紙や本のこと
つまり「約束をいらないものとして破棄する」ということですね。
さて、こうして集めた古紙は、漉きなおしをしました。
もともとが繊維と水でつくったもので、余分なものは入っていません。
もう一度とかして漉きなおすことが可能だったわけです。
但し、使い古しですから、どうやっても元のようにはなりません。
ですから「おとし紙(つまりトイレットペーパー)」など、
質がよくなくてもいいものに使いまわしたわけです。

また、和紙は重ねて張り合わせるとより一層丈夫になりましたから、
紙の着物でも書いたように「柿渋」を塗ることで、防水や虫除けの効果のある
利用価値のある紙にも再生できました。これは包装紙などに使われたそうです。
なにもせずそのまま使った場合もあります。「襖や屏風」の下貼り。
旧家から出た古い屏風が破れて中が見えたら、
昔の手紙が下貼りとして使われていた、なんていう話があります。
また、和紙をこよりのように拠り合わせたもので、むしろも編んで売ったそうで
これはつい最近知りました。「銭ゴザ」というのだそうです。

こんな風にして、紙はとことん使われました。
江戸のミゴトなリサイクルは、単にもったいないという気持ち、
自然からの恩恵であるという感謝、そういう耳に心地よい理由ばかりでは
ありませんが、行われていたこと自体には、今の私たちが学ぶべきことが
たっぷりとあるように思います。

コピーの仕損じの紙、メモに使ってるんですが、
メモばっかし増えてる・・・。

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4 コメント

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何時も、勉強させてもうてます (てっちゃん)
2005-12-20 23:09:27
とんぼさん、こんばんは、確か?ブログ開設二ヶ月ですよね、私が15日、貴方が19日、少し、ほんの少しだけ、私が先輩???。

何時も、いろんなお話、ほんと、勉強になります、ここで仕入れた(ねた)をさも自慢気に人に話したりして・・・

ごめんね。

和紙の着物の件、確かある対談で歌舞伎役者の雁次郎さんが昔、藤十朗が舞台で紙布の着物を着ていた・・・とあの頃やし江戸期でしゃろか?。

ほんま昔のお人は何かとお知恵がお有りやったんやね、私らも見習わな、あきませんな。
返信する
嬉しいことです。 (とんぼ)
2005-12-21 00:10:02
てっちゃん様

こんなお話しでよろしかったら、

どうぞネタにお使い下さい。



紙の着物については、11月2日に「繊維」という

お話しで書かせていただいてます。

その下のコメントへのお返事で、補足もあります。

お芝居では「貧しい役」とか「身分の低い武士」

と言った感じで使われたようですね。

「たまには紙ではのうて、木綿の着物もきたいもの」

という貧乏侍の言葉が残っているそうです。
返信する
Unknown (JJ)
2005-12-21 23:28:35
鶴すごいですね~!!

本当、お恥ずかしながら不器用で、つるも一苦労したりします・・・まさかつながってるつるなんて・・・(^^;)

以前素敵な和紙を発見したので、TBさせて頂きました~

でも、和紙といえば牛乳パックをこして作った和紙が印象的です☆結構楽しいです☆

返信する
TBありがとうございます! (とんぼ)
2005-12-22 01:00:02
金唐革紙、ほんと言いにくい名前ですが、

元になったのは中世ヨーロッパの「金唐革」ですね。

写真でしかみたことないんですが、

ほんとにミゴトなものですよね。

日本に入ってきたとき、「壁紙」を使う習慣が

なかったおかげで、これを切って小物にしました。

とても良かったけど、日本にはその技術がない、

そこで和紙を使って作り出したわけです。

日本人ってほんっとうにすごいです!

今度ワタシも日本の「金唐革紙」身に行きたいです。
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