いただき物の着物です。
ライトの関係で(要はウデが悪いのですが)、実際より明るく写っています。
パッと見、藍染の紬?大島?…と思ったのですが、実は「染」でした。
明るいところで広げてみると、おくみ、肩など、なんとなく色目が違う気がしました。
濃淡の違いですが、ヤケてるようすでもなし。
ちょうどおくみ1枚分…みたいに「ここだけ」の様子なので、部分的な色あせでもなさそう。
細かく見ようとしても、なにしろほんとに微妙なので、最近の目の悪さもあってちょっと首をかしげ、
矯めつ眇めつ…いくらやっても結局色が違って見えることの原因はナゾ。
手触りのざらつき(微妙なんですこれがまた)が、紬のようで紬でない…あぁ染なんだわと、
玄関の日差しの中で見てやっと納得です。まぁ老眼、進んだかや?
というわけで、解いてみて「染め替え」た綸子、とわかりました。
ぱっとみて紬と思ったのは、いかにもの色柄だったことと、染が「盛り上がって」いたので、
それが紬のざらつきのように感じられたものでした。
いやいやこれは嬉しい「だまし」です。
染め替えの証拠?写真。
おもしろいことに、まずは黒で染めたような…そしてこれはきっと訪問着とか振袖とか、
絵羽柄のものだったらしいことが推測されました。
まずは、解いたとたんに見えた「元の柄」、着物の裏側です。細く見えているブルー部分が表。
よく見ると、右と左の地模様は同じなのにネガポジ状態ですね。
そして、大きな身頃部分に見えた「キラキラ」。写真では白いホコリみたいに見えていますが、
実際にはキラキラしています。これ、元の柄の金を散らした部分だと思います。
そこからしても、絵羽柄であることがわかるわけですが、ではなぜ、場所によってネガポジなのか。
たぶん、ですが、元の着物に部分的なダメージがあって、染めても目立つ…とか、そういうことがあって
わざわざそこは裏返して染めた…のではないかと思います。
黒に染めたものの上から、さらに糊置きの手法か型染めで、紬に見える柄を染めたと思われます。
黒だったら元々黒いものではなかったのか…とも思いましたが、
そもそも「黒く染める着物かそれ以外の和服」で、地模様のある綸子、となると…。
「喪」の関係では考えにくいです。喪服は地模様はもちろんありません。
また喪の襦袢は白だし、黒地の振袖や訪問着ならあり得ますが、
ならば「黒振袖」のように華やかなものなら綸子ではなくちりめんを使うと思いますし。
そうなると消去法でいって、これはやはり訪問着とか付け下げとか…。
結局は想像の域を出ませんが、これはりっぱな「繰り回し」の技です。
過日、年上の友人が「最近、いらない着物はありませんかという電話がある。
自分は出す気はないが、知り合いはテレビのMにつられて訪問着など数枚出したが、
こんなに安いの?という価格で驚いたと言っていた。古いウールや名もない紬の着物は、
引き取れないか、全部で〇百円にしかならないと言われたとか。
たとえ〇百円でも、引き取られた先で、また何かになれるならいいけれど、そういうものは
結局『売れないもの』として捨てられちゃうのよね」と。
そこがイヤなんです。今の「サステナブル」がどうのこうのと盛んに言われる時代、
使えなければ捨てる…というのは「しかたないよね」とそうなってしまう。
着物くらい、ハギレになっても使えるものはないのですから。
しばらく着物に手を付けていなかったので、ハサミの使い方までモタついたりして…
衰えはこんなところにも、なんてゾッとしていました。
更に2枚解いたので、またちとあらったり伸子張りしたりが始まるかな、というところです。
外に出て空気がかわったとたんにせき込むのが厄介ですが、それもだいぶ緩和されてきました。
なんとか本物の春が来るのに合わせて、体も動かせるようになりたいと思っています。
少し上向きになってきたということですね。
無理のないように頑張って下さいね。
ありがとうございます。
体調も気分も、だいぶアガってきたのですが、
例えば玄関から外に出ると、気温の変化でまた咳き込んだり…。
ヤワな自分にため息です。
着物を解くのも、毎回ちゃんとマスクはしますが、
ほこりがこわいので、今は二重マスク。
それでもなんでも、ちょっとずつ動きたいです。