ここだけ見ると、お宮参りの「のしめ」に見えますが、全体に柄があります、。カマ柄の総柄ですね。
袖一枚分ですが、袖の縫い目を見ても大人用、男物のじゅばんだったと思います。
コレくらいの柄は着ましたからねぇ。
袖の長さからいくと、女性が着ていたようですから、繰り回したのでしょう。うそつきかもしれません。
私くらいの年なら着られるじゅばんですね。着たかったなぁ。
鷹は二種類、
雲取りの雲の黄色っぽい柄、これが表着なら、ここに金が使われるはすです。
色はジミですが、なかなかの豪華さです。
合間にたなびいているのは「几帳」ですね。几帳はこういった柄に使われるときは、
中にいろんな柄が描かれて華やかですが、実際の几帳はこんなに柄はありません。
几帳については最初の方の記事で書いていますので、簡単に。
几帳には、規格があって高さによって三尺几帳、四尺几帳と呼ばれました。
三尺は座っているとき体が隠れる程度、四尺は、たったとき少しアタマが見えるくらいです。
三尺は布を4枚、四尺は5枚下げます。垂れている紐は「野筋」とよばれるもので、
飾りだけでなく、下から布を巻き上げてこれを下で結びました。まぁ通風ができるということですね。
几帳が使われたのは、身分の高い人のお屋敷内ですが、かの時代の日本家屋は、
夏の暑さを避けるつくりになっていました。紫宸殿などの建物も、屋根が高く、軒が深く、
一部屋ずつが広くて壁が少ない…これは日差しをさえぎり、風通しを少しでもよくするため。
まだ障子や襖はありませんから、区切りとしては「御簾」「壁代(かべしろ)」などが使われました。
御簾は、ご存知ですね。いわば「品のいいスダレ」…まんまやん。
壁代は長押から下げる…えーと、御簾と同じような感じですが、布製でカーテンというか、のれんというか…。
全部混ぜたようなもの?つまり、几帳をそのまま大きくしたような、とこどころに切れ目のある布で、
長押から下まで覆う長さがあり、下の方に横棒がはいっています。
それが重しにもなって、カーテンや暖簾のようにヒラヒラはしないわけで、
几帳と同じように野筋がついていて、部分的に開けるときは、棒の入っているパートを棒を芯にして、
グルグルと下から巻き上げ、野筋で結ぶわけです。
これが壁代わりで、広い部屋を区切って使っていたわけですが、
その中で暮らすのに、几帳は更に「マイ・コーナー」をつくるための、いわばパーテーションがわり。
風よけでもあり、当時は特に女性は人に顔を見せないのが礼儀でしたから、
だれか入ってきても、いきなり顔が見えないように、几帳の中に座っていたわけです。
さて、この絵なんですが、またしても「名前」が間違っていまして、これは「誰袖と鷹」になっていました。
なんか、布がひらひらかかっていたら「誰袖」…じゃないでしょう。
鷹がシッカリつかまって止まっているのは、几帳の上の棒「手」といいますが、それです。
下の垂れ下がり具合、野筋があることなど、毎日着物の柄を見ていればわからなきゃねぇ、と思います。
あの「赤穂浪士が大名行列」だったところの、ヤ○オク部門です。やっぱりおんなじだーと、ちとがっかりしました。
さして問題にするようなことではない…という意見もあるかもしれませんが、
やはり、日本の柄には「名称」がついているものが多いのですから、ちゃんと覚えてほしいものだと思います。
さてもう一枚。コレは先日出した染見本の仲間…なんですが、小紋の着物用の見本です。
これでほぼ反幅です。なんとも大柄ですが…。洋風の鏡のようにも見えますが、
おそらく「大皿の柄」、襖の引き手…といった友人もいるのですが、なるほどそうとも見える…
どちらにしても「器物紋様」ですね。
中は季節の花と七宝、青海波、亀甲などの小紋柄。
小紋、とよぶより「総柄」というほうがピンと来る柄ですね。
とてもきれいですが、これ着物にしたら、相当目立ちますね。
この前のお話のように、ちょっと離れたらどんなもんでしょう。やってみました、これで5メートルくらいです。
濃い縁取りのお皿がS字型に並んでいますね。離れるとわかります。
上の赤い大きな花から、ずっと下のもう一つの赤い花の手前までで「ひと柄」です。豪華ですね。
コレでも上下はありませんから「小紋」なんですよ。昔はこんなのがあったんですよね。
これ、振袖にしたら、すごくステキだと思います。
昨年1月にご紹介した「総柄の振袖」、これを見ると、上の振袖も「アリ」だと思いませんか?
ま、私はどーせ振袖なんか着られないんだから…とひがんでみたりしていますが、
着物にしては着られません。もっとも見本ですから1mほどしかないのです。
なんっとか作り帯にできないかと(前はもうはめ込みで)、ためつすがめつ眺めています。
昨日今日と、ほんとに涼しくて、このまま秋になるみたいですね。
ほんとに嬉しいのですが、エアコンも入れないこの涼しさに、なんかどっと疲れが出てしまいそう。
皆様も夏のお疲れが出ませんように。
と言いつつ 以前お分け頂いた トラ柄の羽裏
まだ 出来上がってないのです
オシャレですよねぇ。
男の人なんて、袖の振りもないから
ほんと外からはほとんど見えないのに。
カッコいいですよねぇ。
お気に入りはもっているだけでシアワセなものです。
ゆっくりお使いください。