少し前のことですが、着物の始末のことでのご相談がありました。なくなられたお母様の着物。
どんなものか見てほしいというので、伺いましたところ、けっこうオシャレなものもありましたが、
古着屋さんに頼んでも、テレビCMでやっているような○十万になるようなものはありませんでした。
とりあえず引き取ってもらえそうなもの、そうでないもの程度に分けました。
立ち会われた息子さんは、着物のことがまったくわからないとおっしゃって、
骨董のものを引き取ってもらうので、そのときに着物も…といわれました。
「骨董、古道具店は、着物を一緒に扱うところとそうでないところがある。
道具メインのお店だと、着物はおまけみたいなものになるから、高くは買い取ってくれないと思う」と、
そのアタリのお話しもしておきました。
昨日になって「すべて売り払った後に残った着物があるので、持って行きます」と連絡がありました。
それが今日届いたわけですが、思ったとおり「いいな」と思っていたものは、引き取られたらしく、
コレはダメだろね…がみんなきました。絽の着物や夏物はいいものもあるのですが、
古着の場合、今はどうしても単衣より袷、無地より柄物…が引き取られます。
それと「たぶん売れません」といっておいた「喪服系」は全部ここへきました。ははは。
使い道がありますから、私にとってはありがたいのですが、イマドキ喪服は新しいものでも着ないですからねぇ。
最初に拝見したとき「これはほしい」と思った銘仙が3枚あったのですが、状態のよくない「矢羽」は、
案の定引き取られず、私のところにきてくれました。ないですよ、今はこんな柄。
ウラはしっかり「紅絹裏」!そんなにひどい汚れはないようです。
「繰り回すのが当たり前」だった時代がはるかかなたに消えてしまって、
古着は「着られるか、着られないか」が基準になっていますから、汚れやシミがあればペケです。
もったいないですから利用できるものは使いたいと思っています。
ともあれ、まったく引き取られなかったウールものや、単衣など、これはこれで「お宝のヤマ」ですー。
ところで、着物とは別にビックリするものがありました。
古い留袖が入っていた、これまた年代モノの「たとう紙」です。どうやら手作りしたもののようです。
フチなども、紙を細く切ってくるんで貼り付けてあります。
和紙の2枚あわせ、もしくは間に薄い綿が入っているように見えます。
そして開けてびっくりなんとやら、これは古い書類の反古(ほご)をつかったもののようです。
裏向きにはられていましたので、フォトショで反転させてみました。
あまりにも達筆すぎてもまーったく読めません。
こういう感じでたくさんの文章が見えます。そしてたぶん「手習い」のあと、うん、じょーずだわ。
表がすごいです。「文久元年」調べたら160年近く前、幕末のころです。
「出来」はこの場合「しゅったい」でしょうけれど、はてさて何があったのか。
もちろん、この時期に使われたものが長くとってあって、反古になったのでそれを使った…ということだと思います。
「反古」、おわかりでしょうけれど「約束が反古になった」のあの「反古」、書き損じや不要になった書き物のことです。
つなぎ合わせてここまで使う、昔の人のエコ感覚は、今こそ見習わなければ…なんて思いました。
それにしても和紙とは、ほんとに丈夫なもで、ヨレヨレにはなっているものの、目立ってこま切れにはなっていません。
和紙礼賛者の私「やっぱりねぇ」と、ちょっとうれしい発見でした。
喪服にまぎれて留袖が1枚ありました。なんと「両褄柄」それもかなり地味です。
ずっしりと重くしぼのしっかりしたちりめんです。ちりめんは伸び縮みしますので、わずかに変形もあります。
ジミすぎて寂しい留袖ですが、ほんの少しだけ、ちゃんと刺繍も入っています。
戦前ものと思いますが、柄付けはもっと古い…柄からいけば、こんなにジミ目でも、
紅絹が使われていることが多いのですが、裏はもう触るのも怖いようなうっすーい羽二重。
もしかしたら、古いものを大事にしておいて、縫い直したのかもしれません。
日本の歴史から行って、関東大震災や戦争を越えてきたもの。
お祝い着で、しかも高齢者向きのものです。
これを着て、孫や甥姪の結婚式に出たのでしょうか。
笑いながらこれを着て、晴れやかな日をすごしたの人、どんな人生を歩んだのでしょうか。
おめでたいものだからと、母から娘へと何代も伝わってきたのでしょうか。
そんなことを思ってしまいます。
たまたまここへきて、着物や帯を引き取ってくださいというお話しが続き、
久しぶりに玄関先から部屋の中、着物が積み上げられ、入れるべき段ボール箱を並べています。
つまり私はニマニマ、そしてウキウキの日々ということです。
倉庫代わりの家のリフォームが完成したら、これもみんなあちらに運びます。
あと1~2ヶ月の辛抱、ガマンして「詰め込まれていてね」と、言いました。
あぁ着物ってさわっているだけで、癒されるわぁぁ、という1日でした。
今年検定課題の松が・・・
いい図案、もっと早くに見られたらと残念です。
竹籠を購入して、一閑張りでも(笑)
紐は古布を使って編んで作りますかね?
すみません。。思わず妄想です(;^_^A
しかし、良いですね~
着物に触ってるだけで幸せ~
わかります^^
今の工房を始める前、弱った母の古着を買い取って頂きましたが全部で五千円でした。
仕立てていない手描きの凝ったローケツの反物なども二、三点あったのですが。
今ならもっとうまく使いこなせたのにと、後の祭り。
古着をこれだけ喜んで活用される方は稀、貴重な存在です。
またご教示をお願い致します。
裏のツギあてやら、小さな場所の手当てを見ると、
昔の人の手仕事をいとわない姿勢に驚きます。
こんな小さな柄なのに、オシャレな松ですよね。
さらさらっと描いたようで、みごとです。
すべてが和紙しかなかった時代の手仕事。
すごいなぁと思います。コピー用紙じゃこうはいきませんしね。
コレには紐はついていませんでしたが、作るとしたら、
やはり「こより」でしょうね。
いつも思うのですが、ものすごく古いたとう紙で、こよりの紐がついているもの、
真ん中がもうよれよれでひろがっていても切れません。
かえってそのこよりを止めてある部分の紙が、糊がはがれて
取れてしまう場合が多いです。
すごいものですね。
ろうけつの反物…もったいなかったですねぇ!ため息出ますー。
古い着物を見るとすぐ「こんな半天いいな」とか、
これ帯にしたらかわいい、とか、なかなか出来もしないくせに、
そんなことばかり考えます。
いろいろご連絡遅れていてすみません。
近々させていただきますので…。