ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

久しぶりに着物話題

2019-12-04 22:58:26 | 着物・古布

 

少し前のことですが、着物の始末のことでのご相談がありました。なくなられたお母様の着物。

どんなものか見てほしいというので、伺いましたところ、けっこうオシャレなものもありましたが、

古着屋さんに頼んでも、テレビCMでやっているような○十万になるようなものはありませんでした。

とりあえず引き取ってもらえそうなもの、そうでないもの程度に分けました。

立ち会われた息子さんは、着物のことがまったくわからないとおっしゃって、

骨董のものを引き取ってもらうので、そのときに着物も…といわれました。

「骨董、古道具店は、着物を一緒に扱うところとそうでないところがある。

道具メインのお店だと、着物はおまけみたいなものになるから、高くは買い取ってくれないと思う」と、

そのアタリのお話しもしておきました。

昨日になって「すべて売り払った後に残った着物があるので、持って行きます」と連絡がありました。

それが今日届いたわけですが、思ったとおり「いいな」と思っていたものは、引き取られたらしく、

コレはダメだろね…がみんなきました。絽の着物や夏物はいいものもあるのですが、

古着の場合、今はどうしても単衣より袷、無地より柄物…が引き取られます。

それと「たぶん売れません」といっておいた「喪服系」は全部ここへきました。ははは。

使い道がありますから、私にとってはありがたいのですが、イマドキ喪服は新しいものでも着ないですからねぇ。

最初に拝見したとき「これはほしい」と思った銘仙が3枚あったのですが、状態のよくない「矢羽」は、

案の定引き取られず、私のところにきてくれました。ないですよ、今はこんな柄。

ウラはしっかり「紅絹裏」!そんなにひどい汚れはないようです。

 

          

 

「繰り回すのが当たり前」だった時代がはるかかなたに消えてしまって、

古着は「着られるか、着られないか」が基準になっていますから、汚れやシミがあればペケです。

もったいないですから利用できるものは使いたいと思っています。

 

ともあれ、まったく引き取られなかったウールものや、単衣など、これはこれで「お宝のヤマ」ですー。

ところで、着物とは別にビックリするものがありました。

古い留袖が入っていた、これまた年代モノの「たとう紙」です。どうやら手作りしたもののようです。

 

          

 

フチなども、紙を細く切ってくるんで貼り付けてあります。

和紙の2枚あわせ、もしくは間に薄い綿が入っているように見えます。

 

          

 

そして開けてびっくりなんとやら、これは古い書類の反古(ほご)をつかったもののようです。

裏向きにはられていましたので、フォトショで反転させてみました。

 

          

 

あまりにも達筆すぎてもまーったく読めません。

こういう感じでたくさんの文章が見えます。そしてたぶん「手習い」のあと、うん、じょーずだわ。

 

                   

 

表がすごいです。「文久元年」調べたら160年近く前、幕末のころです。

「出来」はこの場合「しゅったい」でしょうけれど、はてさて何があったのか。

 

                

 

もちろん、この時期に使われたものが長くとってあって、反古になったのでそれを使った…ということだと思います。

「反古」、おわかりでしょうけれど「約束が反古になった」のあの「反古」、書き損じや不要になった書き物のことです。

つなぎ合わせてここまで使う、昔の人のエコ感覚は、今こそ見習わなければ…なんて思いました。

それにしても和紙とは、ほんとに丈夫なもで、ヨレヨレにはなっているものの、目立ってこま切れにはなっていません。

和紙礼賛者の私「やっぱりねぇ」と、ちょっとうれしい発見でした。

 

喪服にまぎれて留袖が1枚ありました。なんと「両褄柄」それもかなり地味です。

ずっしりと重くしぼのしっかりしたちりめんです。ちりめんは伸び縮みしますので、わずかに変形もあります。

 

         

 

ジミすぎて寂しい留袖ですが、ほんの少しだけ、ちゃんと刺繍も入っています。

 

          

          

 

戦前ものと思いますが、柄付けはもっと古い…柄からいけば、こんなにジミ目でも、

紅絹が使われていることが多いのですが、裏はもう触るのも怖いようなうっすーい羽二重。

 

         

 

もしかしたら、古いものを大事にしておいて、縫い直したのかもしれません。

日本の歴史から行って、関東大震災や戦争を越えてきたもの。

お祝い着で、しかも高齢者向きのものです。

これを着て、孫や甥姪の結婚式に出たのでしょうか。

笑いながらこれを着て、晴れやかな日をすごしたの人、どんな人生を歩んだのでしょうか。

おめでたいものだからと、母から娘へと何代も伝わってきたのでしょうか。

そんなことを思ってしまいます。

 

たまたまここへきて、着物や帯を引き取ってくださいというお話しが続き、

久しぶりに玄関先から部屋の中、着物が積み上げられ、入れるべき段ボール箱を並べています。

つまり私はニマニマ、そしてウキウキの日々ということです。

倉庫代わりの家のリフォームが完成したら、これもみんなあちらに運びます。

あと1~2ヶ月の辛抱、ガマンして「詰め込まれていてね」と、言いました。

あぁ着物ってさわっているだけで、癒されるわぁぁ、という1日でした。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2019-12-05 07:11:12
戦争を経験してきた母達の時代はどんな小さな布でも綺麗に引き出しにしまっていましたね。

今年検定課題の松が・・・
いい図案、もっと早くに見られたらと残念です。
返信する
Unknown (サザエ)
2019-12-05 08:32:25
反故紙。。こんな素敵な紙なら、
竹籠を購入して、一閑張りでも(笑)
紐は古布を使って編んで作りますかね?
すみません。。思わず妄想です(;^_^A

しかし、良いですね~
着物に触ってるだけで幸せ~
わかります^^
返信する
着物好き (otyukun)
2019-12-05 16:40:11
拝見していて本当に着物がお好きなんだと改めて思いました。
今の工房を始める前、弱った母の古着を買い取って頂きましたが全部で五千円でした。
仕立てていない手描きの凝ったローケツの反物なども二、三点あったのですが。
今ならもっとうまく使いこなせたのにと、後の祭り。
古着をこれだけ喜んで活用される方は稀、貴重な存在です。
またご教示をお願い致します。
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Unknown (とんぼ)
2019-12-05 19:18:40
陽花様

裏のツギあてやら、小さな場所の手当てを見ると、
昔の人の手仕事をいとわない姿勢に驚きます。

こんな小さな柄なのに、オシャレな松ですよね。
さらさらっと描いたようで、みごとです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2019-12-05 19:22:16
サザエ様

すべてが和紙しかなかった時代の手仕事。
すごいなぁと思います。コピー用紙じゃこうはいきませんしね。

コレには紐はついていませんでしたが、作るとしたら、
やはり「こより」でしょうね。
いつも思うのですが、ものすごく古いたとう紙で、こよりの紐がついているもの、
真ん中がもうよれよれでひろがっていても切れません。
かえってそのこよりを止めてある部分の紙が、糊がはがれて
取れてしまう場合が多いです。
すごいものですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2019-12-05 19:25:16
otyukun様

ろうけつの反物…もったいなかったですねぇ!ため息出ますー。
古い着物を見るとすぐ「こんな半天いいな」とか、
これ帯にしたらかわいい、とか、なかなか出来もしないくせに、
そんなことばかり考えます。

いろいろご連絡遅れていてすみません。
近々させていただきますので…。
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