ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

晒の使い道

2007-11-24 21:36:51 | 着物・古布
写真はな~んの関係もなくてすみませんが、
今日、あんまりきれいでしたので、お月様の写真とって見ました。
はじけるのでカラーハーフ処理してあります。

連日の「格調高い」昔の下着談義で、たくさんのコメントをいただきまして、
ありがとうございます。
調子にのって…いえいえもう「下着」関係のお話しではありません。

昨日の「六尺」から「さらし」のお話しがでました。
実際の「褌」については、身分の高い人は「絹」だったそうですが…、
あっ、いやいやまた方向性が…。
えぇと、一般庶民は麻から木綿になっていったわけですが、
この「木綿の晒」は、今でも日常生活にはたいへん重宝に使われています。

さて、中でも一昔前なら、赤ちゃんは必ず「晒」のお世話になりました。
「おむつ」ですね、ただ、いきなり専用の新しい晒を使うようになったのは、
最近になってからで、昔は「着古しのゆかた」が柔らかさと吸水性で一番でした。
息子の時には、ただの晒ではなくエンボス加工だのジャガード織りだのと、
着古しのゆかたの柔らかさと吸水性を持たせた…とというのがありました。
それでも、母は息子が生まれる前に、何度も洗っていましたねぇ。

で、今日はオムツの話…じゃなくて、赤ちゃんに使うもうひとつの晒、です。
つまり「おぶいひも」のことなんです。
私が少し大きくなったころは、もう「おぶいひも」は形になったものが
売られていました。よくあったのは「赤紫や紺の別珍」のもの…。
でも、まだまだ「晒」で赤ちゃんをせおっているお母さんもたくさんいましたね。
皆さんは、自分の子供さんを「おんぶ」しましたか?
こんな姿のおかーちゃん、いましたねぇ、
銘仙のねんねこに、スカートに別珍のたび、そんでゲタ…。
サザエさんの漫画の初期のものには、こんなかっこうでタラちゃんおぶって
買い物に行くサザエさんが出てきます。


       


最近は「子供をおぶる」ということが減ってきていますねぇ、なかなか見ません。
子供が3人くらいだと、さすがに一人おぶって…というのを見るんですが、
二人くらいだと、まず前抱っこ、ですね。
最近は「スリング」というのが大人気、アレはカンタンに作れますし、
なかなかの優れものだと思います。
私の場合は、息子の体の障害と心臓病のために、
医師から「おんぶはできるだけさけるように」と言われていました。
それでずーっと「前抱っこ」せざるを得ませんでした。
ちょうど息子がうまれたころから「前抱っこ」というのが出てきまして、
友人が「前抱っこ用帯」というのを作ってくれまして、これがGOODでした!
その後、別バージョンも作って、6歳くらいまでずっと使いました。
こんな形です。スリングとは違った安定感があります。


  


さて、晒の話に戻りましょう。
そんな暮らしの中で、少しずつ短時間ならおぶっても大丈夫になったとき、
すでに息子の体は「赤ちゃん」ではなくなっておりまして、
別の友人が「別珍のおぶいひも」をくれたのですが、役に立ちませんでした。
それで、もらったおぶいひもを分解し、腰のところで紐を通す金具と、
赤ちゃんの頭を保護する「背板」だけを取り出しまして、
キルティングの布を使ってデカサイズのおぶいひもを作りました。
ひも位置を変えたり、別ベルトなどをつけて、前抱っこも兼用にしたのですが、
あとから考えたら「晒」でよかったんだわぁ…。
気がつかなかった、というより「もう昔のものだ」という感覚でしたから。

晒って、負ぶい紐にすると実はとても楽なんですね。
それを知ったのは息子が6年生になってから。
これも、たぶんブログの初期の頃に書いたと思うのですが、
修学旅行のとき「緊急避難用」に一人ひとつ作るようにと、
学校側から要請されて、旅行荷物に入れたんです。
つまり養護学校の生徒はほとんどが車イスですから、
万一、ホテル火災とか地震があったとき車イスは使えません。
そういう時は「おぶって逃げる」、これが一番なんですね。
そのために作らされたわけです。
晒は「幅」、というものがありますから「広げる」ことができます。
肩に食い込まないようにできるし、子供のお尻部分の晒を広げると、
すっぽり包めるので安定がいいんです。
昔、胸の大きいお母さんは、前で交差するのも「ひろげて」交差してました。
見事なミルクタンクをどーんと包んでたんです。
私は…必要ない状況だったのですが、肩の辺りから少し広げてました。

で、この「晒のおぶいひも」、現在は「防災用品」として、
常に息子の枕元近くにおいてあります。
先日、自治会の防災の件で民生委員の方が訪ねてきました。
「いざというとき助けがいる人」のチェックとか要望とか…。
そのときに「車イスはブロック塀が壊れて道路が瓦礫でふさがれたら
もう使えないので、これでおぶっていきます」と出したところ、
これは大人でも使えるのでちょっと作り方を教えてほしい、とメモしてました。
晒一反を長さの半分に折ってまわりをぐし縫い、更に半分に折った位置に
「目立つマーク」、これだけです。真ん中のマークを持って広げれば、
左右の長さがちゃんと同じになりますから。これをマークを一番上に出して
畳み込んで袋にでも入れておきます。これだけです。
寝たきりでなくとも、例えば足の弱いお年寄りとか足の遅い小さい子とか、
これがあったらおぶって逃げられます。
そして、避難所へついたら、昨日のせんべいさんのお話どおり、
「切って手ぬぐいにする」「包帯にする」…元「褌」よりは使いやすいかと?!

先日、ベビーカーが電車のドアにはさまって…という事故がありました。
昔の乳母車(こんな言葉知らない人もいますかねぇ)は大きくて頑丈でした。
それに比べれば、今のものは外出用など軽くて小さくて折りたためて…。
確かに便利だと思います。それに、世の中がそうなってきているのですから、
「ご乗車の際はベビーカーは折りたたんで…」というのは、
ある種時代錯誤かとも思います。
ただ、私は健康な子なら、外出して電車に乗るとか、
そういう時は「おぶる」のが一番ではないかとそんな風に思います。
両手も使えますし、階段やエスカレーターで危ない思いをすることもないし
いざというときはそのまま逃げられます。
おんぶは「泣いたとき困る」「かっこ悪い」なんでしょうかねぇ。

昔は電車のなかで赤ちゃんが泣くと、周りの人があやしたりしたもんだし、
子供は泣いて育つんだよ…みたいな大らかな空気でしたねぇ。
だいたい子供を運ぶそういう苦労って、わずか数年のことなんですけどねぇ。
ベビーカーの事故を耳にするたびに、もしそのまま命をおとすことがあったら、
「おんぶしておけばよかった」って後悔するんじゃないかと…しないか!
赤ちゃん抱いてハイヒール、赤ちゃん抱いてニューファッション、
そりゃあ子供がいたって自分が楽しんだりオシャレしたい気持ちは分かります。
ただねぇ、ほんの数年、がまんできないかなーと思っちゃうんですよね。
これってすでに「姑の意見?」

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5 コメント

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Unknown (陽花)
2007-11-24 23:12:07
うちは年子だったので、よくおぶいました。
とんぼ様のイラストそのままですよ!(笑)
上の子の1歳の誕生日前に九州に旅行に
行った時、おぶい紐にねんねこで写真が
残っているはずです。

最近、クリーンキャンペーンで、ご近所の
赤ちゃんのいる奥さんおんぶして出てこられて
いましたよ。こういう姿見るだけで嬉しい気分に
なりますね。
返信する
おんぶ (KOMA)
2007-11-25 00:30:58
おんぶしてる姿って本当に見なくなりました。
たま~に見かけることがあっても、たいていはお母さんの腰骨を跨がせてないので赤ちゃんの身体がだらんと伸びてて、いかにもただ背中に括りつけられてるだけ、なことが多いようで。。。
あれじゃあ重いだろうし、肩も凝るだろうになあ。。。と。。。(^^;

ベビーカーは私の目にも、なんとも危なっかしく見えます。便利なんでしょうけどね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-11-25 18:56:56
陽花様
昔はねんねこってよく見ましたよね。
私は父に背負われてる写真があります。
おとうさんもやってましたよね。
最近はママコートっていうんですか、
それでもおんぶしてるのを見るとホッとします。
「母の姿」ですねぇ。


KOMA様
いますねたまーに「くくりつけてるだけ」って、
教えるヒトがいないから?
ベビーカーは、私も使いましたが、
簡易型といわれるものほど、軽すぎて
あぶない気がしました。ちょっと強くぶつかったら
ふっとばされそうですもの。
昔のガッチリした乳母車って、ガードの意味も
あったんじゃないかと思います。
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ガードの意味が (KOMA)
2007-11-26 15:44:43
あったと思いますよ~。
昔の乳母車のあのガッチリとでっかい図体は、決して伊達や酔狂だけではなかったはずと思います。
それを覚えているせいもあるのでしょうか??
今時のベビーカーは、対象的に軽くてすっきりとコンパクトな造りである故に、不安定で、目立たず、しかも赤ちゃんの居る位置が低い、ということが気になって仕方ありません。
普通のときなら、まだそれでもいいんですけどね。。。
朝夕のラッシュ時とか、お祭り見物の人ごみの中でベビーカー押してるお母さんを見ると、人ごとながらもう心配で心配で(^^;
それこそ、こーゆー時くらいおんぶしてればいいのに、と思いますわ(^^;

ところで、「晒しのおぶい紐」 ですが、使い方がいまいちピンと来ません。
真ん中の目立つマークを背中に当てて、後は普通の紐と同じように使えば良いんでしょうか?

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Unknown (とんぼ)
2007-11-26 21:44:35
KOMA様
使いようだと思うんですが、あの低い位置で
街中ってのは、やっぱり気になりますよね。
夏なんかは、地面の照り返しで上より暑いそうです。
簡易型はあくまでちょっとそこまで、くらいとか、
そんなふうに使い分けたらいいと思うんですけどね。

晒の使い方ですが、そのとおりです。
要するに、あわてて真ん中がわからないと、
いざおぶったら片側のひもが短い、とか
そうならないための工夫ですね。
マークを相手の背中に当てて、
あとは普通におぶればいいんです。
一人だとちょっときついですが、誰かいれば、
おぶったときに晒を広げて、おぶわれているヒトの
お尻を包み込むようにしてあげると、
お互い安定して楽なんですよ。
晒は長いですから、大人でも十分おぶえますが、
やはり体格とかありますから、
一度実験しておくことですね。

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