ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

祝・富岡…

2014-06-23 19:39:04 | 着物・古布

 

富岡製糸場が、予定通り世界遺産として承認されました。

そのこと自体はうれしいことです。私なんかは「シルク」ということで富士山のときよりうれしい!

ただねぇ…保存ということを考えれば、まだまだ問題は山積ですし、

きまったことでみんなが関心を持って、これからの保存ということにもそれが反映されたら、と思います。

富岡製糸場では、今後機械をまた動かして「糸取り」の工程を見られるようにする予定とか。

それはうれしいことですね。

 

まだ国産の繭は、ほんとに細々とつながっていますが、さぁそれならこれからどんどん「養蚕業」を…

とはいきませんよねぇ。いまならまだ「昔やっていた」という人も残っているでしょうけれど、

養蚕って、建物と道具があればいい…というものではありません。

まず「桑畑」から作らねばならないからです。

まぁ、この時代ですから「桑の葉の冷凍保存」も可能で、今「食品」としての桑の葉は、

そんなこともされていますが、やはり「蚕のえさ」としての桑は「鮮度」が一番だし、、

桑畑なくても、蚕が育てられる…なんてことには、なかなかならないと思います。

また、桑の木をそだてたとしても、近くで農薬など使っていたりすれば、それが蚕に影響します。

自然のものだけで暮らしていた時代とは、逆にできなくなっていること、もあるのですよね。

 

世界遺産になることは、素晴らしいとは思うのですが、自然の場所(富士山のような)なら、

周囲の環境破壊や、環境変化も気にしなければならないし、富士山の場合はゴミ問題とか…。

今度のように建物の場合は、今の時代なら「耐震」も考えなければならないし…。

お客さんがたくさん来るようになって、それはそれで地元の活性化には良いことなのだと思いますが、

きちんと維持していくには、それなりにまたクリアしていかなければならないことも多いと思います。

富岡製糸場は、元々「官営」から始まりましたが、民営になり、経営もいろいろ移り…

最終的には「片倉工業」という会社が、いわば最後を看取りました。確か昭和の60年くらい?

ただ、操業を停止した後も、会社はこの工場を壊さず、譲らず、保存してくれていたわけです。

木造ではありませんから、人が住まなくなったらすぐ崩壊…というわけではなかったでしょうが、

それでも、できるだけそのまま保存というのは、大変だったと思います。

今、片倉が市に寄贈した形で、市が維持していますが、そのためにもたくさんの人が

訪れてくれるといいと思っています。ただし落書きとか、煉瓦のかけらもっていこう、はナシで!

 

絹は一時期日本の輸出品目のトップだったのに、今や生糸のほとんどは輸入に頼る現実。

さみしいですよねぇ。

私の住む横浜には、古くから「シルク・センター」という建物があり、

学校に行っているころは、必ずどこかの学年で「社会科見学」として、行っていました。

正式には「シルク・センター国際貿易観光会館」です。

横浜は山下公園の端っこ、大桟橋の近くです。もちろん「かつての貿易」ということで、

そういうものがあるわけですが、今はそこの1、2階に「シルク博物館」があります。

久しぶりにちょっと検索してみたら…やっぱり作られてましたゆるキャラ…「まゆるん」という名前ですが、

繭に孵化した「蛾」を合わせた形…だそうで、繭に羽ついてるし…。ちなみにイラストではこちら

まだマイナーでして、まゆるん…で検索すると、よそ様のかわいらしい女の子のブログばかりが…ははは。

まぁ考えたら「お蚕さん」そのものは、ちーとグロテスクですし…繭だけだとだるまになっちゃうし…。

群馬県の有名な「蚕チョコ」は、以前からありますが、私いただいてもきっとたべられません…。

 

富岡には、ずっと前から行ってみたいと思いつつ、いまだに、です。

昔すぐそばまで行ったのに、時間の都合で行きませんでした。今でも惜しい…。

いつかきっとと思っていますが、最近のニュースで「世界遺産になるかも」と出たあたりから、

急にお客さんが増える…決まった日以降は更にすごいのですと。

喜ばしいとはおもうのですが、今の日本人って、なんかこう「わーっと騒いでおわり」みたいな…

そういうところがある気がしてなりません。

富士山もそうですけれど、なんか話題になると「それいけー」になる…。

継続が大切です。本当に維持していくためには、細く長く…ん~「中太くらいで長く?」、

ずっと残ってほしいものと思います。

さて、私はいつになったらいけるのかなぁ。そのときは…もちろん着物で!


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8 コメント

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Unknown (じじ)
2014-06-23 20:20:10
某テレビ局で現在の工場を取材してました。
創設時の話などしてたのですが、女工さんが腕を上げるために頑張ったとか
良い話というか内容ばかり。
でも、ふと「ああ 野麦峠」を思い出して違和感感じました。
集団就職で紡績工場に勤めた友人が糸埃で体壊し辞めたのと似てるなあ。
最近はなんでも「遺産登録」なんていうけどいかがなものか。
屋久杉も一時期根っこを踏まれ危機に。ゴミやトイレの問題とかあるし大変です。
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こんばんは (露草)
2014-06-23 20:33:51
静岡在住(と言っても西の端の浜松で富士山からは遠いですが。神奈川より遠いかも~)ですが、富士山、大変です。静岡・山梨両県にまたがってますし、文化もですが広大な自然もあるし、登山者の規制や入山料の問題だけじゃないのに、それだけでもまだ揉めてます( ̄▽ ̄;)

群馬にブログ友だちがいるので、富岡製糸場含めた「日本の絹の里巡り」したいんですけどね~


あ、蚕の餌はもうペレット状のものができてるみたいですよ。あの「はやぶさ」のJAXAでは、宇宙ステーションでの食用として、蚕の人工飼育の研究がされているそうです…

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Unknown (陽花)
2014-06-23 23:14:27
最近、世界遺産と違ってもニュースで取り上げ
られるとわ~っと押し寄せて入場制限される
事が多いですね。
何時間も並んで・・というのは無理なので、
ほとぼりが冷めたらいつかは・・・と思います。
返信する
世界遺産 (akkomam)
2014-06-24 05:56:00
自国に世界に誇れる遺産があるということは
素直に喜びたいと思いますね。
これからは日本のみならず世界から訪れて
くださる方が多くなり、日本を知っていただくことも
大切なことですし、国内でもいろいろ考えられて
いくことも大事だと思います。

わっと押し寄せる観光は作られたもの、
狭い日本のなかですから仕方がないことかも
しれませんね。

これから高齢化社会になってくると
元気な老人の旅先に選ばれたりしても、
知識を得る場所としても、いいと思います。

ただただ収入増にだけ興味が働かないように
地元にはしっかりとした対策をとって欲しいし、
何故えらばれたかをきちんと把握して
後世に正しく伝えてほしいと願っています。

私も是非行ってみたい!と思っています。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-24 08:06:32
じじ様

まぁ時も時…ということで、いいところを見せたのでしょうが…。
実は…というお話も多いのです。

まず、富岡は日本で初の本格的製糸工場で、
当初は「異国のもの」に対する警戒感、差別感などで、
女工が集まらず、結局士族の娘などが集められました。
元々が「官営」ですから、そういうことからも、はじめのころは
今でいうならエリートが集まった場所。
当時としては先進的な一週間に一度の休みや、長期休暇、
学習時間などもあり、退職後も地元に戻って、技術を生かした就職等、
あの時代にしては、たいへん近代的な、いわばあこがれの就職先。
後年民営になってからは、そのあたりがちょっと…もあったようです。

「野麦峠」のお話は岡谷という製糸場が舞台と言われています。
富岡以来、あちこちに続々と製糸場ができたわけですが、
何処も富岡の最初のような好条件ではなかったわけです。
でも、富岡がさわがれるようになって、あちこちで目にするのですが、
「製糸工場の女工イコール女郎のような劣悪な待遇」と、
そういうイメージばかりが先行しているが、実際にはそうではない…ということが書かれています。
確かに、野麦峠のお話はノンフィクションであり、
実際に大変な思いをして山を越え、過酷な条件で働いたという事実はありますが、
それがすべてではない…というのも事実です。
実際に製糸工場は、当時としては「いい仕事」であったわけで、
実家にいれば雑穀しか食べられず、きつい農作業が続く、
それより、こちらの方がマシ、という話が残っていることも事実です。
またそういう「企業」であるため、いまで言うなら「大手の企業・工場」ですから、
地元に公共施設や教育の面で、社会貢献している部分も多くあります。
まだ女工だった人が残っていますが、彼女たちは今度は
戦争という時期にかかっていますから、生産目的も、
暮らしの状態も違います。

私は富岡にはまだいっていませんが、明治から大正昭和と、
時代が移るにしたがって、さまざまな理由から労働の条件の変化や、
実際の暮らしぶりなど、それも含めての展示や説明が
あればいいなと思っています。
かつて日本を支えた女性たちのことですから。

世界遺産は、それに選ばれることによって、自然環境を大切にしたり、
古い文明などを見て、人が何をしてきたか、を考えたり…
そこからそれを大切にして後世に残す、というところは賛同できます。
ただ、おっしゃるとおり、すべての人がそういう考えではなく、
なかには物珍しさとか、はやりもののように思って意義を考えない人がいるのは確かですね。
選ばれるということは、責任も重くなるということですから、
見る側も、それなりに、と思うのですが…。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-24 08:16:09
露草様

我が家からは、遠く富士山が見えます。
子どものころから、いつも藤の見える暮らしでしたので、
ひょいと怒れる距離ではないけれど、
とても身近に思えます。えぇ登る気はしませんが…。
結局日本は狭いですから、ふもとのすぐそばまで、
商業施設がある…それゆえ「お客が来てくれたら」が、
どうしても出てきてしまうわけで、
エベレストなどのように、200万とか300万などの入山料を
取るわけにいきませんし…。
痛し痒しと思いますし、まぁ記事にも書きましたが、
それ行けやれ行け、がいずれおさまってくれたらなと
そんなことを思います。
今でも弾丸ツアーとか、ものすごい軽装登山とか、
ほんとにしょーもないヤカラがいますしねぇ。

あ、ペレット飼料知ってます。書きたりてませんですみません。
私、どうせやるなら「天然桑で」…とまぁ、そんなことも考えたわけです。ムリだっての。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-24 08:20:43
陽花様

私も最近それを思います。
情報が蔓延していますから、何かポンと出ると、
わーっと集まる…行列のできるナントカの類も。
お客商売のところは、それがいいのでしょうし、
そうであってほしいと思うのでしょうが、
それがいっときだったら、どうするのかと…。

自分で情報を探し、有名であるなしは条件のひとつとして、
自分で選ぶ足袋をしたいです。
正直、今の富岡は、行く気がしません。
ほとぼり冷めたら?二人で行きたいですねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-24 08:27:54
akkomam様

おっしゃるとおりだと思います。
わーっと集まるのがどうにも気になります。
決定した後のほうが大変なのですから、
選ばれた意義、というものを考えていくのが、
大事なことだと思います。

一時期「安近短」などということが言われ、
内容までもが「それなりに」なんて感じがしました。
旅は、大切な時間…と考えたいと思っています。
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