ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

羽織を着るとき・・・

2006-11-11 22:26:47 | 着物・古布

以前は、私自身が着物の着方などについても、つい親の言うこととか
呉服屋さんの言うことを優先してしまって、
「羽織丈もっと長くしたい」と言っても背が低いんだから、とか
今どきの羽織はそんなに長くない、などといわれると、
そーかなーとあきらめていました。
年とともにだんだん図々しくなって…いえいえ自分の思いというものを
優先できるようになって、羽織も道中着も、長めにするようになりました。
私は羽織より道中着を着ることの方が回数的に多いのですが、
それは、かつて丈の短い羽織が嫌いで、少し長めで前を打ち合わせることで
裾つぼまりの形に近くなる道中着を好んでいたためで、
長羽織を着るようになっても、つい道中着に手が出ます。
もうひとつ、羽織をつい敬遠するのは「前」の色合わせです。

先日、こちらへもよくコメントを下さるかたのブログで、
羽織を着ると、前の部分にいろいろな色柄が来るので難しい、
というお話がありまして、そーなんですよねと、
思わずコメントさせて頂いてしまいました。
羽織によって狭められて見えるわずかな帯には、真ん中に帯締があり、
お若い方だと、帯揚げもちょっと見せたりします。
その上に羽織の紐が乗るわけで「着物・帯・羽織・帯締(帯揚)羽織紐」と
これだけのものが、30センチ四方くらいの中に集まるわけです。
しかも平らな布の集まりではなく、布と紐、という形の違いもあります。
これを調和よく着こなすのはなかなか…なんですよね。
元々私は基本的に「多色系」が苦手なので、余計自信がない…。
それもあって、ついつい道中着にハシってるという部分もあります。
ちょっといい着物のときは道行ですし。

上の写真は、羽織の白にあわせて紐も白、帯揚げがわずかに見えていますが
「白」っぽいですね。帯締は白と黄色のようです。
「無難」な組合せ…というところでしょうか。
また、この写真はかなり古いので、帯締や羽織の紐の太さも少し太めですね。
最近は、蝶々結びにできる長い羽織紐、というのもありますね。
若い方にはかわいくていいかもしれません。

いずれにしても、たくさんの色や柄が重なりますから、
ひとつハズしても、全体が崩れてしまう…なんていうと大げさなんですが、
とても難しいと思います。気楽に気に入ったものを、
で本来はいいと思うのですが、これがまた「真正面」で、
一番目立つところですからねぇ、と、また脅かしたりして。
正直、私もとても苦手なんです。
全部うまくあわせようとするとややこしくなるので、
私の場合は、どれかひとつ、たいがい羽織の紐なのですが、
色のないもの柄のないもの、つまりはモノトーン感覚のものにしてしまいます。
ほかのもののじゃまにならないように、と言うのが私の逃げ道。
元々いつも「羽織の紐って位置的にもジャマだよなぁ」と思っているんです。
またこの場所が上すぎたり下すぎたりしてもおかしい…。
何度か「さんご」を使ったようなものをしたことがありますが、
たまたまもらいもので、好きな形ではなかったこともあり、
結局「これはいい」とはなりませんでした。

考えてみれば、こんなに「前」がややこしいことになったのは、
せいぜいここ100年くらいのこと、なんですね。
つまり、まずは「羽織」は女性は着ていなかったわけで、
着たのは黒繻子衿のついたはんてんか、身分が高けりゃ「お被布」。
羽織の着初めは男モノ、そして女性用の羽織が多く作られるようになっても、
長い間「帯締」を使わない帯の締め方が主流だったわけです。
だから、今のようにわずかなスペースにいろんなものが…
ということではなかったわけですね。
着物の長い歴史の中で考えれば、ごくごく最近になっての組合せである上、
だんだん着られなくなってしまいましたから、
この部分が洗練されるには、まだ時間がかかるのかもしれません。
実は私、どんなものでもOKなように…と思って、
男物で金属製のものをみつけて買おうかと思ったんです。
ところが、男物のために大きくて長いんですね。
なきゃ自分で作るか…と、ただいま試行錯誤を繰り返しております。
当分、道中着だなこりゃ…。
ところで、最初の写真、実は着ている人はこのかた。





佐久間良子さんです。お若いですね。
この本は、著作権、大丈夫だったかなーと思うんですが、
もちろん著作権はこちらの本にございます。お借りしましたー。







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8 コメント

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Unknown (陽花)
2006-11-12 07:20:23
色の合わせ方私も苦手です。
でも、いままであまり考えず羽織に
合う色で羽織紐選んでいました。
私もやっぱり、道中着、道行コート派
です。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-11-12 11:14:39
陽花様
初めてお会いしたとき、羽織をお召しでしたけど
全部の色合わせが、すっごくステキでした。
あ~こういう風にきめればいいのかって、
そう思って拝見してました。
悩みだすと、キリありませんねぇ。
返信する
良い物が、あるじゃないですか! (萬屋千兵衛)
2006-11-12 16:42:31
>着物・帯・羽織・帯締(帯揚)羽織紐

これだけの物が寄り集まると、どんな無難な組み合わせにしようとも
それぞれの種類も限られますから、実際問題としては難しいですよね?

それなら逆に、むしろ視線を一点に釘付けさせた方が気にならないかと!
そこで登場するのが、萬屋千兵衛制作の黒無地帯留め!(爆)
喪服以外でしたら、どんな色柄の着付けにも目立ちますです!ハイ!(笑)

ご用命は、「こぎれ庵、和之介」へ、どうぞ!(爆)
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Unknown (さくらこ)
2006-11-12 17:48:27
羽織は羽尺でなく
小紋か古い着物から作ることが多いので
羽織紐を共布で作ります。
丸くけにしたり平紐にしたりはお好みで。
これで色と素材の増えすぎが1つ防げるので
組み合わせが少しは楽?
返信する
Unknown (麻の葉)
2006-11-12 23:28:34
羽織のことを考えると本当にめんどうになります~。
コートが簡単でいいな、と思ったり、
でも、折角考えた帯や帯締め帯揚げの色合わせが隠れてしまうのも悔しいし・・、と、悩む季節です。

でも、いろいろと工夫があるものなのですね。
とんぼ様の言われる男物の金属製の紐、というのは見たことが無いのですが、そういう無機質なものだとなんでもあいそうですね。入手されたら、是非また紹介して下さい。
それから、萬屋千兵衛、さくら様、はじまして。どうぞよろしくお願いいたします。
さくら様の、共布で紐を作るというのもいい考えですね。既にある羽織なら、やはり羽織と同系色が無難ということでしょうか。
千兵衛様の視線を一点にというのも妙案ですね!帯留めは陽花様のブログで拝見いたしました。シンプルなのに存在感があって、素敵な帯留めですね。
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Unknown (とんぼ)
2006-11-12 23:49:05
千兵衛窯元様
そう書くだろうと思って、この記事にした…
わけじゃないんですが、タイミングよかった!
ですねぇ。そういえばそーですよ。
HP待っててね、いっしょけんめ作ってるからね。

さくらこ様
そういうテもありましたねぇ。なるほど。
昔おびじめが丸ぐけ当たり前だった時代は、
また見た目の印象がちがったでしょうね。
新しいこと、いろいろ考えるのは楽しいですね。

麻の葉様
とてもかっこよかったんですよ。
左右からチェーンが伸びていて、真ん中に
細工物がついているんです。
たとえば、とんぼ玉とかガラスなんかで、
色のないものでもいいかもしれません。
私のは「珊瑚」で、しかも「血赤珊瑚」で
まっかっかだったんです。むずかしいですよね。
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羽織ひも (百福万福)
2006-11-13 11:18:23
そうですよね、悩みますよね。でも楽しいですね。

羽織紐は大きな色石のビーズやとんぼ玉、木や角などの自然素材でできたビーズなどで自作してたのですが、最近は使いやすい色の組み紐のものが増えつつありますね。

ビーズのお店に行くと、とても面白い素材のビーズや素敵なチェーンが沢山ありますね。御徒町のジュエリー金具の専門店(表参道の「コモキン」もおすすめ)にいけば凝ったチェーン・金具がいろいろとありますし、素人でも入れます。ビーズ細工は面倒でも、通すだけのもの、ワイヤーやチェーンをつかった羽織紐なら細いペンチがあれば簡単にできますから、是非お試しください。昔の男の人の提物や、懐中時計の鎖なんかも面白いですね。なかなかでてこないんですけども。デパートでよくやってる1000円均一のネックレスを解体して使ったりもしますよ。ばらばらに買うより安くつきます。




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Unknown (とんぼ)
2006-11-15 22:03:09
百福万福様
ビーズは今大流行ですが、ほんとに
自由にいろいろ作れますね。
とんぼ玉も、昔はなかなか手に入れにくかったもの
それがあちこちで眼にします。
便利な世の中ですね。専門店や問屋さんを
知っていると、ほんとに安上がり!
「解体」というのもテなわけですね。
私もなんか要らないネックレスとか、
さがしてみよう…、若い頃のおもちゃみたいなの
ありますわ、どっかに…。
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