ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

はかま・もんぺ・・・・かるぱん

2006-08-21 22:36:22 | 着物・古布

私の「かるぱん」第一号・・です。少し短め、すでにはきこんでヨレヨレです。

袴ともんぺは、和服の中では「ズボン」にあたるもの、
ただし、袴は男女ともはいていたものが、安土辺りで女性は脱いでしまい、
以来「男性用」、女性は稽古事などで女性用を履くだけでした。
明治にはいってからは、女学校の制服として使われ、
今でも卒業式などで使われるのは、その名残ですね。
もんぺのほうは、元々が東北地方の女性の労働着として多く使われていましたが、
第二次世界大戦中からは、女性の日常着になりました。
これは、当時男性には「国民服」が支給され、
女性には「もんぺ」を履くことがお国によって奨励されたからです。
戦時中は「贅沢は敵だ」・・と、女性が美しく着飾ることも禁止され、
やがて都会では空襲も増え、着物など着ていられませんでした。
もんぺに防空頭巾で外出せざるをえなくなっていったわけです。
私が若い頃には「もんぺには嫌な思い出やつらい思い出しかない」・・という
おばあちゃんが、けっこうおられました。
お気に入りの着物を泣く泣くもんぺに作り変えなければならなかった・・、
そんな時代があったこと、ついこの前のことなのです、忘れてはいけませんね。

さて、かるぱん・・こりゃ「造語」です。
かるさんをもじったモノ、かるさんは「軽衫」と書きます。
袴の中でも「野袴」と呼ばれるものです。
今日は、このかるぱん、つまり「かるさんもどき」について・・。
かるぱんは、私の勝手な創作で、正式な袴の縫い方からは大きく外れています。
どちらかといえば作り方は「もんぺ」に近く、ミシンでジャカジャカ・・です。
もんぺと言うのも、現代に近くなるほど「ウエストと足首はゴム」に
なってしまいましたが、本来は袴と同じように、
前紐と後ろ紐を結んで着用していました。

私は、たとえば着物で骨董市に行く(つまり京都です)と、
あちらでイトコがだしてくれる車に乗ったり、骨董市ではしゃがみこんだり、
決まった日にしかやりませんから天気の思わしくない日もありますし、
また、買い込んだ大きな荷物をぶら下げたりもします。
そんなわけで、同じ着物でも、動きが良くて、
特に腰から下のヨゴレに気を使わないもの・・と考えて、
このかるぱんを考えました。もんぺではちょっと「うつくしくない!?」
なにより私は、あの袴の脇からV字型に着物が見えるのが、大好きなのです。
どうして?といわれると・・こりゃもう「袴のV字フェチ?」ですかねぇ。
更に男物の袴のように、ちゃんと「腰板」がついているほうがかっこいい、
しかももんぺほどブカブカでないこと、そして股上が下すぎないこと、
裾つぼまりで、洋装で言うところの「ペグトップ」スタイルがいい!
足首はゴムじゃなくて細めのカフス・・。

とまぁ、いろいろ自分の「こうしたい」を並べて考えたのが、
「かるぱん」だったわけです。
実はとてもカンタンにできます。あっ正式じゃありませんからね。
原理は昔のもんぺと同じです。どう同じかといいますと、
もんぺと言うのはズボンで言う「わたり」、つまり「股のカーブ」ですね、
あの位置に、カーブをつける代わりに、マチ布を入れるのです。
お手持ちのズボン、パジャマでもかまいません、それを前後の縫い目に沿って
たたんでみてください。下の左の図のようになりますね。
カーブは人間の体の腰の正面(おへそのとこ)から、股を通って、
後ろの腰の中心まで続いています。このカーブを、直線で作ろうというわけです。





こちらはズボンともんぺの股部分を片足のみ持ち上げてみたところ、
実際やったら新体操みたいなカッコになりますが・・
わかりづらいので、色分けしてみました。
右足側半身をグリーン、左半身をピンク、もんぺの「マチ」は黄色。





この「マチ」の形と大きさを変えることで、ゆとりや股上の長さなどが
変えられるわけです。私のは単純な「正方形」です。
こちらが実物。





昔のもんぺの利点は、腰まわりにたっぷりあるゆとりと、
股上が長くなっていること・・・つまり、中に着物を着るわけですから
股が下のほうにないと、えーと・・ワンピースを着てズボンはく感じ。
股のところに、中に着ている着物がごろごろとして、つりあがりますね。
元々野良仕事のときは着物も短い丈のものでしたし、
男が馬乗り袴などを履くときは、着物を尻はしょりしてはきました。
それにしても、着物の腰から下の分が全部入るわけですから、
どうしても今のズボンのように細身でスマートというわけにはいきません。
それで、股が下のほうに来るように、腰周りもゆとりを持たせたわけです。
この「分量」がむずかしいところで、やたらゆったりだとラクなかわりに
ぶわぶわの「バルーンパンツ」になりますし、細身で股が下の方だと、
すごく短足の目立つ「ペンギンパンツ」になります。
こんな感じ・・・。





ですから、まず自分にとってかっこいいと思える寸法、
あるいは「目的」にあった形を決めます。
それでも、着物を中で短めに着付けて、
半幅もしくは細帯を締めるということを忘れないで「ゆとり」を持たせます。

実は私の場合は究極の選択・・着物のほうをかるさん用にカットしました。
もちろんポリのもの、腰から下に難点があって対丈にしようかと言うようなもの、
それをカットしたのです。それで、かるぱんは細身に作りました。
ヒザのあたりはゆとりがほしかったので、少し太めにし、
変わりに足首にカフスをつけるとき、内側外側の縫い目のところに
大き目のタックをとりました。
ちょっと斜めに向いたので、タックがわかりにくいですが、実物です。





私のこだわりは「Vのあき・腰板・細身・股上短め・裾カフス」です。
一応全部クリアしましたが、太っていると腰板はきついので、
次は腰板をなくすか、それまでにダイエットが間に合うか・・前だろなぁ・・。

長くなりましたので、明日は大ざっぱな作り方を書いて見ましょうか・・。
昔々私が子供の頃、たんぼや畑で作業していたおばあちゃんが、
すーっとそばの林の中などで、もんぺの後ろだけはずして前にあげ、
着物のうしろをちょいとつまんで、立ったまま「・・・」やっているのを
何度か見かけました。珍しいことではありませんでした。
「パ○ツ」をはいてなかったんですね。
別におどろくことじゃありません。江戸時代、京都では、辻のところに
「公衆トイレ」(ただの桶)があって、若い女性も着物をひろげてやりました。
「京おんな 立ってするのが 玉にキズ」という川柳があります。
あっ、とんぼはやりませんよ、ちゃんとトイレです!!










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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2021-07-15 20:30:08
苔様

コメントありがとうございます。
私の年代が、ギリギリわかることや、母から聞いたこと、というのがいろいろあります。
母は田舎の農家の娘でしたし、その親は明治の生まれで、祖母は一生着物で過ごした人です。
母から古い話をよく聞きました。何気なく聞いていましたが、いまになって
そういうことか…なんて感心することも多いです。
返信する
Unknown ()
2021-07-15 15:16:12
ありがとうございます
昔の袴での用の足し方については年配の方から聞いたりもしますが、女性の場合は実に貴重な説話なので参考になりました
とても貴重なお話なので助かります
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-03-11 18:10:18
梅ちゃん様

愚問だなどと、おっしゃらないでください。
私もいろいろ勉強になります。
何でもトライ、チャレンジ…です。
がんばって作ってみてくださいね。
返信する
トイレ心配無用 (梅ちゃん)
2015-03-11 01:00:10
ありがとうございました*\(^o^)/*
そうですね、
パジャマで試して見ます。最初から上手く行く筈無いですよね。
トイレの心配無い事で、益々作りたくなりました。
本当に愚問に真摯にコメント頂きありがとうございましたm(__)m
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-03-10 16:21:57
梅ちゃん様

これはですねぇ、何センチという書き方をすると、
それで基準になってしまう…ので書いてないんです。
それぞれ体型も足の長さも違うので、
まず一番楽なパジャマなどの寸法を基準にして、
「マイサイズ」を決めるのがいいわけです。
私は何本か作っていますが、前のはちときつかった…とか
もう少し細めにとかで、どんどん変えてしまっています。
もんぺは基本「ペンギンパンツ」が楽ですから、
パジャマのパンツをはいて、ウエストゴムをもんぺの上紐の位置とし、
その状態で「股」の分かれ目をどこにするか…
これで股上の位置が決まるわけです。
絶妙なバランス…は、自分が履いた動きやすい股上寸法、
ということで、なんとも言えないのです。
なにかいらない生地などで、大雑把に縫い合わせて、
自分にあったバランスを探してみてください。
それと、裾幅は、自分の好きなペグトップパンツの裾幅です。
カフスをつけるとかつけないとか、もんぺそのものの全体の形によっても
イメージに合わせて勝手に変えています。
今までの中で一番細いのは、裾幅16センチくらいです。

トイレは昔の人と同じようにやっていますよ。
もんぺや袴は、後ろ身頃に縫い付けてある紐だけを解いて、
後ろの部分だけを膝の下に巻き込むようにして便座にすわり用を足します。
床に着いたりして汚さないように気を付けなければなりませんが、別段大変なことはありません。
返信する
しつこくてすみませんm(__)m (梅ちゃん)
2015-03-10 06:33:06
全部読ませて頂きましたが、股上と股下の絶妙なバランスの寸法が知りたかったので教えて頂きたかったんです^_^;
幅も裾に向かい狭くなっており、裾幅で何センチ位か知りたかったです。
作り方はとても丁寧に書かれていて助かります。
余談ですが、紐だと旅行先のトイレで困りませんか(笑)
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-03-09 23:54:45
梅ちゃん様

私、自分のを作るときにも、あまりちゃんと
寸法を測らないのです。
もんぺは直線ですから、よけいにテキトウなんですよー。
この生地の後に続けて「作り方」書いています。
細かい寸法は書いてありませんが、
「こんな感じ」はありますのでご覧ください。
記事はこちらです。

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/15938bf58147c9f3e693d27fc01d9125

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/63f558e922143f3f4a4be1e5b8feb16b

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/cb0859327284eeb3a130cceb807c0676

返信する
寸法教えて下さい (梅ちゃん)
2015-03-09 21:33:51
ウールでモンペ作りましたが、ぶかぶかでカッコ悪いです。かるさんパンツ作りたいです。とんぼさんの寸法で良いので教えて下さい*\(^o^)/*
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Unknown (とんぼ)
2006-08-22 13:36:47
蜆子様

お茶会にもんぺと言うわけにはいきませんものねぇ。ご苦労お察し致します。私の「えーかげん和裁」で、何かお役にたつことがあるとよろしいのですが・・。



陽花様

冬はあったかいです。ただし下に何かはいてください。古いパジャマの下とか・・。私は暑がりなので平気なのですが、母は年のせいもあってか足首からヒザ辺りがスースーするといっておりました。ラクダの股引はく??だいじょーぶ、そんなこと誰にも言わないから・・ってここに書いちゃってどーする!!



キャット様

こちらでははじめまして。メールもありがとうございました。お楽しみいただければなによりです。今後ともよろしくお願い致します。
返信する
Unknown (キャット)
2006-08-22 00:24:07
はじめまして、キャットと申します。

長くなりましたので、お便りのほうにメールさせていただきました。

いつも楽しく拝見しております。

かるぱん、明日も楽しみです!



返信する
Unknown (陽花)
2006-08-21 23:37:47
とんぼ様と4月にお会いした時

かるさんが格好良かったので

無理を言って教えて頂き、作りましたが

作ってからは暑くて、いまだ穿く機会が

ないままです。

今年の冬は穿いてみようと思っています。
返信する
寸法もお願いいたします。 (蜆子)
2006-08-21 23:02:09
ほんと、もんぺは格好が不恰好で、さりとてと工夫もうまくいってませんでした。参考になります。

茶会に行くときは、まずは着物が大袈裟、訪問着など、もんぺの紐が帯の真ん中にはくる、着物をたくしてモンペの中にごろごろの着物が、

モンペはやめて、着物の上に、二部敷き着物を着てみました。暑い。



とんぼさん、着物に工夫があったのですね。目から鱗、でも茶会用の着物は、半幅の帯じゃない、なかなか工夫がつかない、

とんぼさん考えて下さいませ。
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