ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

もう一日、戦争のお話を…

2010-08-15 23:46:53 | つれづれ
写真は「いただきもののナス」、採れたてです。とげチクチクでした。
おじさんは「今年は出来が悪くてヤケちゃっててねぇ」と言ってましたが、
なんのなんの、ツヤツヤでぴかぴか。
さっそく息子が好きなナスのミートソースを作りました。おいしかったです。
何の憂いもなくものが食べられる…しあわせですね。


さて…今日もまた「テレビ」を見ました…池上彰の戦争を考えるSP、
こういう番組をもっと前から…と思うのは「たられば」のお話ですし、
今だからできた番組ともいえますが…。

いろいろ書こうと思ったのですが、いつも長くなるばかりです。
できるだけ短く…(ムリだって)…ドリョクします。

言いたいことは、まず「戦争は始めてはいけない」です。
戦争の始まりは、必ず「理由」があります。
その理由で「論議」している段階で、収める努力をしなければなりません。
昨日「理不尽に戦いを仕掛けられたら、いけないといっても戦わねばならない」と
コメントをいただきました。私もそれはそうだと思います。
私だって、そんなことになったら息子を護るために、人を殺すかもしれません。
だからこそ「その前に」が大切なのだと思うのです。
どこの国のどんな人でも「始めてはいけない」ということを、
知らなければならないと思うのです。

池上さんはいろいろな「なんでこんなことを決めたの?こうなったの?」という場面で
「こういうときにこうしたほうがいいんじゃないか、と思う人たちもいたわけですよ」
とか「こうなるとこうなるのではないか、ということを考える人たちがいたんですね」
というような言い方をしました。ちっと歯切れが悪い言い方ですが。
それが、日本においては「軍令部」だったことがほとんどだったわけです。
戦争をやめる時期やきっかけは、何度もあったわけです。
そのときに「とめられなかった」のが、残念でなりません。
上に立つものの意識、倫理観、高潔さ、知識の高さ…そういうもので、
国ひとつの運命が変わるわけです。

もうひとつは、人の心というもの。
昨日お話した「色つきの悪夢」のなかで、
ドイツに支配されたパリ市民が蜂起したときの画像がありました。、
つまり、ドイツはパリを占拠していたわけですが、ロシア遠征に失敗するなど、
だんだん力が衰え、ついにフランスからも撤退しなければならない状況になりました。
そのとき「パリを保守せよ、できなければ徹底破壊して帰れ…」と命令が下ったわけです。
「イタチの最後っ屁」じゃあるまいし…。いや、失礼。
パリ市民とレジスタンスは、パリを護るため銃を持ち、
敢然とドイツ軍に立ち向かったわけです。
ビルの窓から普通の市民が銃を撃ち、道端に斃れたドイツ兵の体から武器弾薬を略奪し…
そうやってパリを守り通した…今でも8月25日にはパリ解放記念式典が行われています。

ドイツ兵を攻撃し、殺しあう…ドイツに支配され、蹂躙された彼らにとっては、
当然のこと…だったと、そういうことになるのだと思いますし、
支配の始まりから終わり、その間のパリ市民のたいへんな苦しみを考えれば、
敵に対する憎しみや恨みは「やっぱ人殺しはいけないよ」なんてことで、
済まされることではないんですよね。
番組では放映されませんでしたが、このパリが開放された後、
「リンチ」が行われました。ドイツに情報を流していた人たちなどです。
中で、占領時代にドイツ兵の恩恵を受けていた女性たち、付き合っていた女性たちが、
街の通りに引きずり出されたというニュースフィルムが残っています。
彼女たちは通りを埋め尽くす人たちの中で座らされ、髪をばさばさと切られ、
丸坊主にされ、何か荷車みたいなものに並んで載せられて「市中引き回し」をされました。
悲痛に泣く女性、何か言い返す女性、下をを向く女性、毅然として胸を張る女性、
いろいろでしたが、とてもとても悲しい場面でした。

それがいいことかわるいことか、その前に…です。
人の心って、こんなふうなことを引き起こすものだということです。
日本人が、敵兵が上陸してきたらこれで戦うんだと、
竹槍持って「やーっ!」と訓練していたのも本当のことです。
そんなもので勝てると思います?竹槍突き出す前に、銃弾貫通してますよ。
でも、そのときは本気でその訓練をしていたのです。当然だと思ってやっていたわけです。
もちろん中には「バカバカしい」「これじゃ負けるわ」と思っている人もいたと思います。
しかし、それを一言でも口に出したり、適当に訓練していたら、
「お前は非国民だ」と、名指しされました。そうなると、村八分です。
疑問や反発はねじ伏せて、ひたすら一緒にやらなきゃならなかった…。
成人男子でも、病気などで徴兵を免れれば、それは一家の恥、男の恥でした。
一言でも天皇批判や戦争批判をすれば、警察に引っ張られました。
そんな風にまず「それが正しいと思い込んでしまう」そして
「まちがっていると思っていても言えない」
「違うことを言う人を弾圧する」…人の心の悲しさ恐ろしさです。

池上さんの番組中、内戦後15年目のサラエボのリポートがありました。
子供を殺された母親は、自分の息子の写真をいまだに見ることができずにいました。
「受け入れられない」のです。
そして「本当は生きていたくないけれど、息子の無念を思って生きるのが使命だ、
だから死ねないのだ」と言いました。
また当時、物資の運搬や補給のために、地下に洞窟を掘り、線路を通したのですが、
その穴を自宅の床下に掘った老人は「こういうことを、ちゃんと若い人に
伝えていかないと、わからなくなるから」と言いました。

人の一生は長くたって100年、ちゃんとものごとを伝えられる年月といったら、
長くても40年50年でしょう。その経験をした人が、一人もいなくなったら、
自分の気持ちとして伝えられる人がいなくなります。
今の日本、すでにその終わりの時期にさしかかっています。
当時10歳の人も75歳です。大人に近い年齢で経験した人は、80前後です。
10年たったら銃を持って実際に戦ったり、爆弾の中を進軍した経験者はいなくなります
幸いにも画像や写真、音、文章、そういったものは残っており、技術は発達しています。
「残された物」「残してくれた物」をきちんと理解して、伝えていかねばなりません。

サラエボで戦死した人たちのお墓があります。
内戦だったため、遺体を墓地の作れるような町の外に運び出すことができなかったので、
墓地はみんなまとめてある場所に作られました。
それがかつてオリンピックで使われたサブ・グランドでした。
平和の象徴の五輪マークのついた記念塔のそばです。悲しい現実です。

武道館が戦死者の遺体安置所になったり、甲子園のグランドが戦死者の墓地になったり、
そんなことって考えられません。
そんなことが現実にならないように、子供のころから、きちんといろんなお話を
するべきだと思います。まず日本から、そして世界へ発信することで、
世の中の「こうなったら戦争しかないよな」と考えるひとをとめる力を養い広める…。
それでなければ恒久平和なんて永久にこないのだと思います。

あぁ結局長くなりました、すみません。更にまだ続けて…
手持ちの絵本です。アマゾンさんではこちら。

戦争を考える絵本のひとつとしてご紹介します。

世界で一番の贈りもの
マイケル モーパーゴ
評論社

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第一次世界大戦後のイギリスが舞台になっています。
イギリス人の青年が、がらくたショップで古いデスクをみつけて買い取ります。
こわれた部分を修理していると手紙が出てきます。
それは戦時中に、あるイギリス兵士が奥さんに宛てた手紙でした。
ちゃんと届けられて開封されていました。
大切な手紙とわかって、青年はその住所を尋ねあてますが、
その家は火事で焼けていて、住んでいた老婆は、ホームに入っていました。
更に尋ねて届けると…というお話し。あら、思わせぶりですね、
少しボケていた老女は、彼を夫と間違えてお帰りなさい、と言う…
そんなお話なのですが、その手紙の内容が「敵国同士のイギリスとドイツの兵隊が、
クリスマスの一夜だけ、銃を置いて聖夜を祝った」というお話なのです。
戦争という狂気の中でも、人は人でいられる…そんなホッとする絵本です。



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2 コメント

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Unknown (あひる)
2010-08-16 10:41:55
本当に、戦争は起こさせないことが大切ですね。

国を守る、家族を守る気持ちがあるのなら、戦争を起こさない努力をしてほしいし、自分もするべきだと思ってます。

どう努力していいのか、わからないのが実情ですが・・・;
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-08-16 18:17:17
あひる様

池上彰さんも言ってました。
「戦争は始まると、いろんなしがらみで
終わらせることがなかなかできないものだ」って。
始めないことがダイジなんですよね。
機会があったら話題にしたり、
お子様には小さいときから絵本などで、
お話をしてあげてください。
戦争関係の絵本もたくさんあります。
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