ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

マンガチック役者絵はぎれ

2012-07-27 18:22:47 | 着物・古布

 

役者絵の羽裏は時々見かけます。

たいがいは、江戸時代の「錦絵」タイプとか、現代の役者さんの似顔絵とか…

リアルなものが多いのですが、これは「絵はマンガっぽく、セリフいり」…。

残念ながら、歌舞伎のセリフは少ししか知りませんので、これも全部はわかりません。 

お芝居好きの方なら「あぁあの場面の、あのセリフ」と、すぐに思い当たられるでしょう。

これは私でもわかりました。吉良さんが浅野さんをイジメる場面「鮒じゃ鮒じゃ鮒侍じゃ」のあれ。

スキャンなのでちと、色が合いません。実際は薄~いモスグリーンの地です。

 

     

 

こちらは、遊蕩三昧で「ダメ家老演技中」の大石さんが、討ち入りの手紙を読んでいるのを、

遊女になったおかるさんが「ラブレター」と勘違いし、鏡に写して読もうとしたのをみつかって…の場面。

実際には、かなーり離れていて、しかも字は左右逆になるし…それで読めたらスパイになれる…。

 

     

 

おかる勘平のお話し中心…のような感じもしますが、討ち入り部分もあります。

 

     

 

後はもう場面はなんとなくわかるものの、やはりこういう字は読めません。

とりあえずご覧ください、全体像。

 

        

 

眼の辺りの描き方は、いかにも舞台化粧なんですが、なんだかどれもマンガっぽくて、かわいい?

なかなか凝った羽裏だと思います。ハギレだったのですが、一緒に入っていたはぎれの端っこの形…

これ、洋服の身頃の形です。きっとブラウスかなんか作ったんでしょうね。

それともスーツの裏にした?いずれにしても、完成品を見てみたかったです。

 

       

 

ハギレとしては、袖二枚分しか残っていません。バッグの中袋にして、あけると見える…なんてのがいいかもです。

作り帯なら、別布足してぎりぎり…ですかね。         

いずれにしても、こういう芝居関係の文字は、大体が「謡」部分がおおいもので、

まんまのセリフは珍しいかと思います。

 

 

おまけ話ですが…「セリフ」を漢字で書くと「台詞」、なんで「だいし」がセリフ?…

これは元々は「せりふ」という言葉の語源が「競り言ふ(せりいう)」、お互いに掛け合いで言うことですね。

喧嘩のこととも言われています。、これが「せりふ」という言葉になり、それが使われるのが「舞台詞(ぶたいことば)」。

この舞台詞、の「台詞」だけ、とったものといわれています。

また「科白」という当て字もあります。あまりみないのですが、小説などでは出てきます。

これは中国語。中国も京劇など、演劇は盛んでしたから「科」はしぐさ、白はせりふ…の意味。

これが日本の舞台用語に当てはめられたというわけです。

もうひとつ「ト書き」という、台本で使われる文があります。

 

花子「○○でしょう」

太郎「そうかなあ」

トここで、花子は手にしていたカップをテーブルにさりげなく置く…

 

なぁんて感じで、「ト書き」というのは、役者の芝居の動作のポイントをあらわすもの。

これは江戸時代の歌舞伎の台本が元だそうです。

せりふの合間に書かれたこの動作を表すのに、必ず「ト○○する」のように、

ト、を入れてあるそうです。これは「ここからはセリフじゃないよ」ということをわかりやすくするため、だとか。

 

演劇の世界には、独特の「業界用語」がたくさんありますね。

たとえば最近では素人さんでも知っている「バミる」…これは舞台で役者が立つ位置とか、

道具を置く位置とか、大事な場所をよく見えるようにテープを張ったりすること。「これバミっといて」とか。

「ハケる」は、人間の場合は「退場」、道具はどけること、「わらう」は、片付けること。

「そこ、わらって」といわれて「がはは」とやったら、クビです。

 

さて、サッカーの予選は、男女ともに初戦勝利!いや、よぅやりました。

台本のない世界ですから、最後までひやひやしてました。

いよいよ明日は開会式、こちらは台本どおりつつがなく進行しますように。

 

 


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6 コメント

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なるほど! (べにお)
2012-07-27 19:08:44
競り言ふで、舞台詞で、台詞ですかぁ! なるほど。
科白になると中国語、だなんて。
いやはや、いつものことながらとんぼさんの博識ぶりにはびっくり。
ずっと芝居作りをやってた私ですが、まったく知りませんでした。
言葉って面白いですね~♪
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Unknown (陽花)
2012-07-28 00:06:26
業界用語なんてまったく分かりませんから
即クビ間違い無しです。

子供の頃学芸会などでト書きあったような
記憶が・・・

開会式の演出も楽しみです。
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すっごい! (りら)
2012-07-28 02:56:43
どれほどの「忠臣蔵」ファンが作ったんだろう?ですねぇ。
こういう洒落っ気が日本から無くなっていくのだ寂しいです。

セリフのお話、さすがはとんぼさん!!
いつものことながら、勉強させていただきました。
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Unknown (とんぼ)
2012-07-28 19:06:28
べにお様

「科白」のほうは、よく「犯人」に刑事が、
「よくそんな白々しい科白がでるなぁ」
なんて感じで、使われます。
漢字は奥が深いし、日本語って面白いですよね。


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Unknown (とんぼ)
2012-07-28 19:09:42
陽花様

それぞれ職場には、いろんな業界用語ってのがありますね。
私も「即、クビ」のくちですわ。

開会式、なかなかでしたね。
イギリスの昔の農村風景、私すきなので見とれました。
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Unknown (とんぼ)
2012-07-28 19:12:28
りら様

ほんとに「どれだけ好きやねん」ですよね。
これを裏につけて、優越感にひたっていたのでしょうかねぇ。

セリフのお話は、昔国語の先生にそんな話を聞いたことがあったんですよ。
大人になって推理小説読んでで「科白」がでてきて、
どう違うの…なんてね。好奇心ばっかしです。
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