男の子の着物、よくあるのは「鷹」や「兜」「若武者」などですが、これは珍しい金時さん。
もちろん手描きです。特注でしょうねぇ。
童謡では「けだもの集めてすもうのけいこ」…ですが、本日は「小動物大会?」
ウサギさんとお猿さん、はっけよいよい…。
自分も力がはいって、ギュッと口を結んでいます。月代はちょっと剃ってあるけど
前髪を束ねてちょこっと横に流しているのが子供らしいですね。
お猿さん顔真っ赤、あ、元から赤いか…ウサギ年だし、今回はウサギさん応援!
足元の柿らしきものは、勝ったほうへのご褒美でしょうか。
図柄的に金太郎の「幼児のときから体が大きい」とか、そういうイメージを表すために
あえて小さい動物をもってきたのかもしれませんね。
顔つきはちょっとおじさんっぽいけど、なんともいえない表情です。
普通きんたろさんの腹掛けは「○金」ですがこれは…弁慶格子、当然「豪傑」のイメージでしょう。
長くたすきがけみたいに見える腹掛けの紐の緑が、とてもきれいです。
金太郎は「坂田金時」の子供のころの話…というのが説話ですが、実際にはいろんな話の組み合わせ。
実在したであろうと言われているのは、「藤原道長」の部下の「公時」という人です。
山姥と雷神の子とか、赤竜から授かったとか、その出生の逸話もいろいろです。
いずれにしても「怪力無双」の男児が、やがてそれを認められて出世した…というのは
ほんとうのことではないかな、なんて思っています。
図柄と地の境界も、アタマの上は「雲取り」、地面の下は木立、とちゃんと気を使ってますねぇ。
羽二重もウラまできちんといいものですし、背守りはありませんが、ついていたと思われる
線があります。裕福な家の跡取りっ子のものだったのかもしれませんね。
紋は「○に四方木瓜」、「きうり」じゃなくて「もっこう」、元は「か紋」と呼ばれました。
これ、字がありません。穴かんむりに「果」と書きます。
「か」とは木の上でなくて、地面や建物の下などに作られる鳥の巣のこと。
「木瓜」が「きうり」と読めることから、胡瓜の輪切りの面とも言われますが、紋の歴史によれば、
最初の「か紋」は「種」ではなく、巣の中に卵がたくさんある図、つまり子孫繁栄を意味するものだったとか。
まぁ胡瓜であっても「種」はあるわけですけれど、中国の官服に使われていたころは鳥の巣、
日本に渡って平安時代、この柄は「御簾などのてっぺんの縁取り布」に使われました。
つまり「有職文様」だったわけですね。
この縁取り布を帽額(もこう)と言ったため、「もこうの柄」から「もっこう」と転じた…といわれています。
ややこしい話じゃ…。周りが四つではなく五つなのが「織田信長」の紋ですね。
白地部分は黄変やシミもあるのですが、柄は珍しいですよねぇ。
心の中の「天使サマ」が「これは珍しいから、このままとっておきましょうね」とささやき、
一方で「悪魔クン」が「こんなの帯にしたらいいよねぇ。背中にきんたろさん、かっこいいよぉ」とささやく…。
どうすればいいのぉぉぉ、と言いながら、ウラに合わせる黒繻子を探してるアタシって…。
あぁぁぁぁ悩むぅぅぅぅ。
掛け軸みたいにしてもいいですよね。あ、帯でしばらく楽しんでからでもいいか・・。
売れちゃったのねぇ・・・と思ったら、とんぼさんでしたか!?
金太郎さんのお顔が良いですし、おサルとウサギの描かれ方も柔らかくて自然で良いですよねぇ。
是非是非、帯に仕立てて活躍させてあげてください~!!
残しておきたい気持ちと帯にと
思う気持ち、どちらの声が勝?
んでしょう。
見ているこちらも迷います。
帯にした場合には、お太鼓に金太郎さんと動物たちが収まる感じなのでしょうね。
。。。息子さんの肌がけのカバーは駄目でしょうか?
いくつになっても子供は子供って事で。
嫌がられるか^^;
残念ながら「薄すぎ」でした。
最終的には掛け軸なんかいいですねぇ。
とりあえず「保存」組にいれました。
これが男物羽織りの羽裏だったら
どれだけ高くなったかと思います。
のしめだったので、全くあがりませんでした。
幸運でしょぉ。
ただ、とても薄い羽二重です。
加工はムリだといわれてしまいましたー。
ほんとに珍しい柄で悩んだのですが、
あまりの薄さに加工をあきらめました。
このまま飾ってもかわいいですしね。
残念ながら、羽二重が薄すぎて、
角の部分などもたないだろうと…。
言われてみればです。
それにしてもこんな柄の肌がけカバーなんて
もったいなくて息子には使えませんわ。
手描きのこういう柄はもうでないでしょうからねぇ。