ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

毎日同じこと言ってもなんですが…

2007-06-17 18:27:39 | 着物・古布
西の方ではまた水不足が心配ですね。
ふつーに降ってふつーにあけてください、梅雨さまぁ~、です。

さて本日もそんなわけで「伸子日和」、いや日陰はないんですけどね。
今日も絽です。但し状態あまり良くないので、いいとこ取りで、
帯揚げ、半衿にしますかねぇ。柄はかわいいです。
色は元々褪めたような色目だったので、あまりひどい色褪せは感じません。
柄アップです。ちょっとぼけててすみません。
大きな桜の間に水の流れ、そしてまわりは撫子、笹、あやめ、
萩、もみじ、朝顔、桔梗、柳 …ともう、ありったけという感じですね。


     


こういう細かい柄でうめられていても、メインは大きな桜ですから、
ジミに見えてけっこうハデ…です。
でも、こんなところが何箇所か…。


          


わかりにくいですが「ツギアテ」です。
笹の葉のあたりから下→右の「かぎ裂き」を補修してあります。
こういうところが何箇所かあります。大切に着られていたんですね。
昔なら当たり前のことだったのでしょうけれど、
こうして大切に扱う…ということは、物がたくさんある現代でも、
必要な気持ちだと思います。なんて、毎度同じですが…。



さて、話は変わりますが、こちらにコメントを下さる萬屋千兵衛様、
私にとっては、さまざまなことで「師」と仰ぎ倒すおかたですが!
先日千様のブログで「なぜ刀は二本さすのか」というご質問がありまして、
千様がお答えになっておられました。
そこからちょっと思い出したことがありまして…。

刀については、千様にお任せするとして、
私の方は「それに付随するもの」のお話しです。
刀はもちろん当時は「実用品」ですが、武士の大切な道具になるにつれ、
装飾と言うものも盛んになりました。
本差、つまり大刀のことですが、それにつくものは「三所物(みところもの)」
といいまして、目貫・小柄・笄、の三つです。
戦が激しく、実際に太刀を使うことが多かった時代から、
世の中が平定されて江戸時代まで下がると、この三つについてはこまごまと
厳しいルールが決められました。まぁ、ルールについてのどうこうは
「うるさいものだった」というだけの話で今回は省略です。
この「三所物」のうちの「笄」、あれっ「笄」って女の人の髪飾りじゃなかった?
はい、そのお話しをしたかったんです。

笄(こうがい)というと、女性にとっては「櫛・簪・笄」と、
こちらはこちらで「三所物」のようなセット感覚のものですが、
それぞれにまた歴史があり、結局女性が髪を結うようになって、
セットで使われるようになったわけです。
その中の「笄」、こんな形…、


    


この笄は「中割れ」と呼ばれています。
今「笄」といわれれば、すぐ思い浮かべるのはこの形でしょう。
簪といわれれば、一本足もしくは二本足の、先に飾りのついたもの、ですね。
しかし、元々「笄」と言うのは女性が髪を結う前からあるもので、
今でいうところの簪のような形で、実は「頭を掻く」ための道具でした。
そんなためのもの…と思われるかもしれませんが、
昔は今のように「シャンプー」を気楽に毎日…なんてことはありませんでした。
平安時代は、髪を洗ったためにカゼをひいてそれが元で亡くなった、
なんていう、お気の毒な貴族もいたのです。
時代が下がっても「洗髪」はめったにするものではなく、
そのために「髪結い」では、まず汚れを取り、フケをしごき、
新しくにおいのよいびんつけ油を塗って、結い直しをしたのです。
うぅ~想像するだに「カユイ」…。
元々笄は今の簪のような形で根元に挿すもの、後年「根ざし」と呼ばれた
一本簪だったわけです。また、笄は武器にもなりました。
日本では平安から安土桃山近くまで、女性は髪を結わず「垂髪」でしたが、
たとえば沖縄、当時は琉球ですが、身分の高い女性のあの「束髪」の上の髷には
必ず先のとがった笄を挿します。朝鮮などでもそうですね。
これは女性の場合、護身用になったわけです。

時代が下がって女性が髪を結い始めてから、櫛、簪、笄が「装飾品」になり、
形も目的も変えていったわけですね。
女性の場合は「笄」と言うのは「先笄(さっこう)髷」といって、
装飾品である笄(ややこしいですが)に、髪を巻きつける形、
これが、髪型の基本のひとつとして考え出されてから、
髪を巻きつけるための「棒のような笄」の方が使いやすい、というわけで
「中割れ」というものが考え出され、それが「笄」の今の姿になったわけです。
結局は頭を掻くという目的はなくなり、全くの装飾になりました。
一方、武士が刀につける「笄」は、元々の目的をもったもので、
ちゃんと「簪」のような形が多いです。ややこしいですね。

ちなみに、本差(武士が腰に差す場合のメインの刀)の鍔には、
真ん中に刀身が入る穴、その両脇に「小柄」と「笄」をさす、
小さな穴がひとつずつ、合計三つの穴があります。
脇差は「笄」はさしますが「小柄」はさしませんから、穴は二つです。
つまりそんなふうに、やたら細かいルールがあったんですね。
刀の反りとか、腰に差したときに鞘の中の刀の「刃」が、
上を向くか下を向くか、とか、腰にさげるためのこしらえとか、
刀の歴史もいろいろあっておもしろいものです。
刀の鍔は、骨董市などでも見かけるのですが、
けっこう大きいものです。小さくてかわいらしいもの?を
探しているのですがねぇ…、何にするか…それは見つけてからのお楽しみ!

さて、本日のおまけ、裏庭の「もみじあおい」です。
がんばってグングン伸びています。


       


この前、いとこが「フキ」を全部始末してくれたのですが、
あれは「地下茎」、しかもおもいっきり「ジョーブ」…のため、
すでにもみじあおいの根元には…


       


きみたち、おいしく食べられるのは知ってるけどね、
やたら雑草あつかいしちゃ、申し訳ないのもわかってるけどね、
まるでじゅうたんのように広がらんでおくれ…!

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8 コメント

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Unknown (陽花)
2007-06-17 20:03:08
ほんの何十年か前までは今のように
蛇口をひねるとお湯が出るという時代
じゃなかったんですから、洗髪も大変
だったんですよね。子供の頃のシャンプーは
小さい袋に粉のシャンプー剤を使っていました。
今は便利でどれがいいのか分からないぐらい
シャンプー剤も豊富ですね。
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朝シャン (赤レンガ)
2007-06-17 21:21:30
そして、朝シャンしたのよと言わんばかりに、
作り物の鼻につく匂いさせてすれ違う娘ッ子の多いこと。
返信する
被れ ()
2007-06-17 23:23:50
笄(こうがい)
簪の先が鋭利なのは護身用
ドラマなどでは寝込みを襲う道具
かと思っていましたが 髪を掻く道具でしたか。
櫛の目が細かいものは虱取り用と聞いた事がありますが。
(見た事もあり)

シャンプー、リンスで被れます。
面の皮は厚いはずなのに・・・
額と首筋が赤くなります。
変なところに柔で敏感です。
小袋の粉シャンプー 懐かしいですね。
銀色の袋だったかな~
返信する
シャンプー (風の森)
2007-06-18 09:47:27
粉シャンプー、覚えています~!
銀色小袋に入った緑色のジェリー状のシャンプー剤もありましたよね。なんだか「おとうさんの匂い」がしましたが・・・。
子供の頃、シャンプーは週に2回程度でした。
大きな洗面器にぬるま湯のシャンプー液をこさえて、それで洗ってました。
すすぎは「上がり湯」を使いましたので、私の後はいつも「上がり湯」が在庫切れ。
「次に入る人のためにしておくこと」のいくつかを、祖母に教わりました。
今はシャワーがあって便利ですが、その反面、(スポーツジムのシャワールームなどで感じることですが)エチケットを知らない奥様方も多いで~す。すさまじきことなり。
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かゆいの (蜆子)
2007-06-18 17:55:21
笄がかゆいの飛んでけ~の時分のシャンプー材って、馬酔木を揉んでと聞いております。

道野辺の馬酔木は馬にくわれけり

という芭蕉の俳句がありますが、馬酔木ってシャンプーにもなりゃ、馬の餌にもなったようですね。

母親日本髪の飾り一式を持っていました。嫁入りに自分の髪を結ってきたとのこと。珊瑚珠のなんというのでしたっけ、いかにも頭をかけそうなのや、根占のところにつける珊瑚珠5つぐらい並んでるの、櫛、たしか笄もありました。どうしたのかな。
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Unknown (とんぼ)
2007-06-18 20:56:00
陽花様
私は子供のころ、銭湯だったので、
大きな桶で洗ってもらってました。
シャンプーは覚えてます。
いつも行ってた銭湯で売っていたのは
「レモンシャンプー」でした。
匂いしたのかなー、そこまでは記憶がありません。
いえで洗うときは、やっぱりお湯を沸かして、
みずでぬるめながらやってましたね。
便利な世の中になったもんです。


赤レンガ様
髪がいいにおいなんだから、
ほかはやめときゃいいのに、
いろんなもんつけるからヘンなにおいになっちゃう
と思ってるんですがねぇ。
ひがみかな?


惠様
かぶれは困りますねぇ。
私も、いっとき白髪染めがチョッと
ヒリつく時期があったんですが(更年期のとき)
薬局で「ベビー用」勧められて使ってました。
粉のシャンプー確か銀色だった気がします。
今はもうないでしょうねぇ。


風の森様
そうそう、ジェリー状のは、あとになってて
出てきた気がします。
自宅におふろができたのは中学になってから
だったんですが、銭湯でザバザバ使ってたから、
加減がわからなくて「一人で上がり湯使うなー」と
しかられましたねぇ。
あたりの抜け毛や、湯船に浮かんだゴミをとって
それからあがるのは当たり前でしたよね。


蜆子様
日本髪の飾り、花嫁一式も今でも
オークションにでますが、状態のいいものは
かなり高額になります。
状態のいいのが少ないですから。
もし見つかったら、大事にしてくださいね。
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Unknown (青め猫)
2007-06-19 02:30:29
ううう。。。。
じっくり読みたいのですが、もう睡眠薬を飲んでしまったので、眠気に勝てなくなってしまいました。
プーもあまり遅くまで起きていると怒られてしまうので、また明日じっくり拝見させていただきます。

おかっぱ頭の私、この笄を観てしまったら再び髪を長くしたくなりました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-06-19 19:37:16
青め猫様
どうぞいつでもいらしてください。
どこにコメントを残してくださっても、
ちゃんと拝見させていただきますから!
返信する

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