コメントを下さるりのりの様は、和布で洋服をおつくりになられてます。
今回、お友達の「お道具類」と合わせて展示即売をなさいました。
遠くて行かれなかったのですが、たまたまブログの写真の「煙草盆」をチラ見して
一目ぼれ…それも写真ではずっと奥で、はっきり見えなかったのですが、
なんかしら「キタ」感じ?写真を送っていただいて即決しました。
骨董屋さんならもぉっとお高かったと思いますが、うれしい出会いでした。
横の彫り模様です。なかなかない意匠だと思います。しかも「赤」だしー。
さて、煙草盆とうのは、いわゆる「キセルできざみ」の時代には、
なくてはならないもの。まずライターなんてものがありませんから、
火をつけるための「火」が必要、これを「火入れ」といいます。
今「骨董品」の煙草盆を見ると、だいたいトップ写真のように、
セトモノの小さい鉢と、竹の筒、それの入った箱、のワンセットです。
キセルつきもありますが、昔キセルはアクセサリーですから、
自前のものを持ち歩いたわけで、こういうものにはあまりついてません。
現代の感覚でいうと、つい「鉢」が灰皿…と思ってしまうのですが、
これが火入れ、つまりライター代わりのミニミニ火鉢で、炭をおいたものです。
そして「竹筒」の方が「灰皿」、これは「灰吹き」または「灰落とし」といいます。
時代劇などで、キセルで煙草を吸っていて、この竹筒のところにキセルを
トンと軽くたたきつける場面がありますが、あれで吸い終わった煙草のカラを
竹筒の中に落としているわけです。
これは状態がいいので「火消し」のふたがついています。
こんな小さいもので足りるのかなと思いますが、
昔の煙草は「きざみ」で、これをキセルの先の小さいお皿部分、
ここを雁首(がんくび)といいますが、そこにきゅっきゅっと詰めて、
炭で火をつけたわけです。当然、量は一つまみですから一服はすぐ終わります。
よく「一服しよーか」というのは、実はほんとに短い休み時間のハズなんですね。
ですからヘビースモーカーは、火をつけては2~3回吸うとすぐ燃え尽きるから、
トンと捨てて、また詰め込んで火をつけて…を繰り返さなければならなかったわけです。
今の紙巻煙草は、ほんと、便利なものなんですね。
今の煙草ももちろん「きざみ」ですが、昔の煙草は「きざみ」というより「削り」、
何枚もの煙草の葉を重ねてきっちりまとめて、側面をかんなで削ったものです。
実物はこちら、←煙草入れとキセルもついでにご覧ください。
今の煙草はいわば「みじん切り」状態のきざみですが、
昔のものは「千切り」タイプで長さがあります。見づらいけどわかりますか?
さて、私の気に入ったこの煙草盆ですが、なんともいい柄が入っています。
骨董やさんやネットで見かけるものは、いわば普及品といった感じで、
普通の木製の箱が多く、どちらかというと「火入れ」が何焼き…といった感じです。
また凝っているものは、それこそ蒔絵だの螺鈿だのという、
飾っておくようなもの。私はその真ん中をずーーっと探していたのです。
横に彫刻がはいっているとか、竹がはってあるとか…。
それがなかなかなくて…今回「赤」というだけで反応してしまいました。
おまけに「刀の装具柄」ですよ…もぉ、思わず「よくきたねぇ」とナデコナデコ!
まずは「鍔(つば)」、鍔は刀の持ち手のストッパーの役目を果たします。
相手を突いたり刺したりしたときに、勢いで自分の手が前に滑らないためですね。
いわゆる実際の斬り合いの時というのは、どちらかというと殺すことより
「戦意喪失」させることの方が主なわけで、手や足の筋を切ることで、
相手はもう戦えなくなれば、それでよかったわけです。
相手をちょいと切って戦意喪失させたはいいけど、
滑って自分も手を切っちゃった、ボクも戦線離脱しまーす…ってワケにいきませんから。
時代劇などではバッタバッタと斬り殺していますが、
聞いたお話では、人間の体の脂肪分がついて、すぐに切れなくなるそうです。
なんかアブナイお話になってしまいました。
とにかく、この「鍔」は、最初は実用品でしたが、だんだん装飾も施され、
今、鍔だけでも何万とする骨董品が売られています。
ここでちょっとしってるだけの「刀」のお話。
「刀」には「太刀」と「打刀(うちがたな)」とよばれる二種類があり、
最初は「太刀」から始まっています。これまた詳しくはないのです。
こまかいことを言えば、刀の仕上がった形とか長さとか目的とか、
そりゃもぉいろいろ細かいことがありますが、すみません「知りません」のです。
知ってることだけ書いてみますと…
そうですね、平安時代の公達が刀を腰にしているところを思い浮かべてください。
腰の刀は下に向かってカーブしています。これが刀の「反り」ですが、
眉毛をさかさまにしたカタチです。。
そして、腰には紐でぶら下げられています。これが「太刀」。
そして江戸時代のちょんまげの侍の刀はというと、腰に差したとき上に向かってカーブ、
つまり眉毛と同じです。こちらが「打刀」ただし、太刀のほうがカーブがきつく、
打刀はあまりカーブがありません。打刀は腰の帯に差し込んで歩きます。
今度時代劇を見たら、床の間の「刀掛け」にかかった刀の様子を
よく見てみてください。江戸時代くらいだと、刀は反りを上にして、
つまり眉毛の形に、大小置かれているはずです。
太刀は反対に、反りを下にして飾ります。
太刀は腰にぶら下げるので、鍔の近くに二箇所、帯に下げる紐をつけるための
「足金具」という飾り金具がついています。
歩くとぶらんぶらんと動きます。この状態で「刃」は鞘の中で「下」を向いてます。
打刀は、腰の帯に差し、抜け落ちないように下げ緒というものを帯に絡めます。
この状態で「刃」は、鞘の中では「上」を向いています。
また「太刀」は「腰に佩く」と言い、打刀は「腰に帯びる」と言います。
さて、柄に戻りましょう。鍔のよこに見えているもの、
これは「はばき」(漢字が出ません、金偏に祖と書きます)と言います。
暴れん坊将軍サマの葵のご紋は、ここにあったと思います。
刀は刀身の持つ方の部分が少し細くなっていて、ここを「茎(なかご)」と
言いますが(名前なんかが彫ってあるところですね)
これにまず「はばき」をつけ、次に「切羽(せっぱ)」と言う薄い金属の板、
例えは悪いんですが、ボルトを締めるときの「ワッシャ」のようなものです。
これをはめこみ、鍔を通し、もう一枚「切羽」を入れて、柄(つか)をかぶせ
目貫(めぬき)、目釘ともいいますが、それでとめる…です。
この「はばき」は、刀の中ではジミーな存在ですが、
これがあるおかげで、刀が鍔ときちんと合体し、鞘の中でも刀身が、
鞘の内側をこすったりしないのです。
刀は分業ですから、はばきはその職人が、鍔はその職人が作ります。
この小さいのが「切羽」だと思います。
もうひとつ、鍔の下にある細長いもの。
これは最初「鞘」かと思ったのですが、右側に花のようなものがあります。
鍔の飾りと同じ飾りがついてますし、たぶん「笄(こうがい)」と思います。
笄は「櫛笄」といわれるように、髪を飾る道具でもありますが、
元々はこの刀の鍔から鞘に向けて通しておくもので、
反対側には小柄(こづか)をさします。
よく「三所物(みところもの)」というのですが、
「目貫・笄・小柄(こづか)」の三つをおソロにしたもの。
元々は別々の用途でおソロではなかったようですが、
装飾品としてのカタチが整ってくると、意匠をこらしたものが作られました。
上の「鍔」の写真を見ると、必ず「穴」が三つあります。
真ん中が刀用、その両脇が小柄と笄用の穴というわけです。
だいたい刀というものは武器であって、戦国時代は戦いの道具ですから、
小柄なども、戦の道具、アウトドアグッズです。小刀としていろいろ使われました。
では笄は…といいますと、これは「髪かき道具」です。
髷を結う暮らしであったり、それでなくとも洗髪がなかなかできない時代に、
更に兜かぶって、頭の中ムレムレ…そりゃ痒くもなりますよ。
アタマが痒いってストレスでしょー、そのための道具でした。
女性も髪を結うようになって、これが必要になったわけですが、
装飾としての笄は、左右おんなじ形のものになりました。
でも、あれも真ん中引っ張るとふたつに分かれてとんがったものが出てくるんですよ。
あー、なんかアタマかゆくなってきましたよ。
ここからはおまけ話です。
刀の拵え(こしらえ)からは、けっこういろいろな言葉が生まれています。
「切羽」と聞くとなんとなく…どこかで聞いたとお思いでしょうが、
あの「切羽詰まる」の語源です。切羽はワッシャーですから、
きっちりはまっています。だから身動きできない状態のこと。
「鍔競り合い」は文字通り、自分の刀の鍔と、相手の鍔ががっちり当たって
競り合う、そのくらいの均衡した力での押し合いということですね。
「鎬(しのぎ)を削る」というのもありますね。
「鎬」は刀の部分名称ですが、刀って包丁みたいに
一枚の平らなものではありませんで、切断面は「ダイヤ型」みたいな形です。
下が「刃」、上は刃がついておらず「峰」と言います。「峰打ち」はここでたたくこと。
この峰からまん中にかけての膨らんだ部分を「鎬(しのぎ)」といいます。
このでっぱりが削れてしまうほどの熱戦を繰り広げる…ということですね。
また「目貫(めぬき)」はさっき出ました「はばき」でしっかり鍔をつけた刀の
茎(手で持つところ)に、柄(つか)をかぶせ、これが動かないように
とめ具として差し込むもの、「目貫」または目釘。
これは、通常腰に帯刀したとき、よく見える位置にありますし、
刀がすっぽ抜けないためのダイジな部品ですから、
装飾品もかねて、さまざまな凝ったものがつけられました。
これは柄(つか)の裏表両方に飾るので二個一対、今でもオークションなどで出ます。
この「目貫」、つまりとても目立って華やかで、
しかも大切なポイントとなるところ、で「目貫(目抜き)通り」っていいますね。
「反りが合わない」は、刀というのは必ず専用の鞘を作ります。
これは刀一振りごとに微妙にサイズが違うし、鞘の中で刃に傷がつかないように
ぴったりとしたものをあつらえなければならないからです。
そこで、違う刀の鞘を使っても、反り具合があわなくて、
うまく収まらないことからきています。
おまけのさらにおまけばなし、
敵が近づいてきて、こちらも刀を抜く準備をする。
左手で鍔のそばを握り、親指で鍔をぐっと押すと、刀が少し前に出ます。
つまり「はばき」がちょこっとカオを覗かせる…
この状態を「鯉口を切る」と言います。
「鯉口」は、鞘の口の部分が鯉の口に似ているから…と言われています。
ついでに着物では、シゴトで袖が汚れないように、袖口の小さくすぼまった
上着、ひっぱりとかですね、あれの袖口も「鯉口」といい、
お祭りのときにはっぴの下に着る袖口のきっちりしたシャツも「鯉口シャツ」
つまりどれをとっても、あの「鯉」の丸い口を言うわけです。
なんか唇の厚い「チョーさん」を思い出すんですけど…。
さて、刀というものについて、私は時代小説から、
興味のあることだけを拾って調べたり、
写真を見たりしてきた程度の知識しかありません。
でも、ちょっとだけ覗いてみても、面白いものだと思います。
実は、刀なんぞという物騒なものでなくとも、たとえば「お釜」とか
「自在鉤」とか「わらじ」とか、ほんの小さな道具であっても、
日本人が長い時間をかけて工夫して、作り上げてきたもの。
歴史も意味もたくさんあるわけで、着物もおんなじなんです。
「知る」ということは「楽しい」ということにつながると、
私はいつもそう思いながら、いろんなことの「上っ面」だけを
拾っているんです。だから…「深いこと」は聞かないでねー…。
追記・・・先ほどまでにこられたかた、すみません、一番下に
記述に間違いないようにと、資料から抜粋した文を
貼り付けたまんま、アップしちまいました。ごめんなさい。
このごろ「記憶」だけで書くと、どっかしら間違えるのです。
そのため、資料で確かめて、心配な部分は貼り付けたりして
確認しております。これでもまちがえることがありますので
何かお気づきになったらお知らせください。
今回、お友達の「お道具類」と合わせて展示即売をなさいました。
遠くて行かれなかったのですが、たまたまブログの写真の「煙草盆」をチラ見して
一目ぼれ…それも写真ではずっと奥で、はっきり見えなかったのですが、
なんかしら「キタ」感じ?写真を送っていただいて即決しました。
骨董屋さんならもぉっとお高かったと思いますが、うれしい出会いでした。
横の彫り模様です。なかなかない意匠だと思います。しかも「赤」だしー。
さて、煙草盆とうのは、いわゆる「キセルできざみ」の時代には、
なくてはならないもの。まずライターなんてものがありませんから、
火をつけるための「火」が必要、これを「火入れ」といいます。
今「骨董品」の煙草盆を見ると、だいたいトップ写真のように、
セトモノの小さい鉢と、竹の筒、それの入った箱、のワンセットです。
キセルつきもありますが、昔キセルはアクセサリーですから、
自前のものを持ち歩いたわけで、こういうものにはあまりついてません。
現代の感覚でいうと、つい「鉢」が灰皿…と思ってしまうのですが、
これが火入れ、つまりライター代わりのミニミニ火鉢で、炭をおいたものです。
そして「竹筒」の方が「灰皿」、これは「灰吹き」または「灰落とし」といいます。
時代劇などで、キセルで煙草を吸っていて、この竹筒のところにキセルを
トンと軽くたたきつける場面がありますが、あれで吸い終わった煙草のカラを
竹筒の中に落としているわけです。
これは状態がいいので「火消し」のふたがついています。
こんな小さいもので足りるのかなと思いますが、
昔の煙草は「きざみ」で、これをキセルの先の小さいお皿部分、
ここを雁首(がんくび)といいますが、そこにきゅっきゅっと詰めて、
炭で火をつけたわけです。当然、量は一つまみですから一服はすぐ終わります。
よく「一服しよーか」というのは、実はほんとに短い休み時間のハズなんですね。
ですからヘビースモーカーは、火をつけては2~3回吸うとすぐ燃え尽きるから、
トンと捨てて、また詰め込んで火をつけて…を繰り返さなければならなかったわけです。
今の紙巻煙草は、ほんと、便利なものなんですね。
今の煙草ももちろん「きざみ」ですが、昔の煙草は「きざみ」というより「削り」、
何枚もの煙草の葉を重ねてきっちりまとめて、側面をかんなで削ったものです。
実物はこちら、←煙草入れとキセルもついでにご覧ください。
今の煙草はいわば「みじん切り」状態のきざみですが、
昔のものは「千切り」タイプで長さがあります。見づらいけどわかりますか?
さて、私の気に入ったこの煙草盆ですが、なんともいい柄が入っています。
骨董やさんやネットで見かけるものは、いわば普及品といった感じで、
普通の木製の箱が多く、どちらかというと「火入れ」が何焼き…といった感じです。
また凝っているものは、それこそ蒔絵だの螺鈿だのという、
飾っておくようなもの。私はその真ん中をずーーっと探していたのです。
横に彫刻がはいっているとか、竹がはってあるとか…。
それがなかなかなくて…今回「赤」というだけで反応してしまいました。
おまけに「刀の装具柄」ですよ…もぉ、思わず「よくきたねぇ」とナデコナデコ!
まずは「鍔(つば)」、鍔は刀の持ち手のストッパーの役目を果たします。
相手を突いたり刺したりしたときに、勢いで自分の手が前に滑らないためですね。
いわゆる実際の斬り合いの時というのは、どちらかというと殺すことより
「戦意喪失」させることの方が主なわけで、手や足の筋を切ることで、
相手はもう戦えなくなれば、それでよかったわけです。
相手をちょいと切って戦意喪失させたはいいけど、
滑って自分も手を切っちゃった、ボクも戦線離脱しまーす…ってワケにいきませんから。
時代劇などではバッタバッタと斬り殺していますが、
聞いたお話では、人間の体の脂肪分がついて、すぐに切れなくなるそうです。
なんかアブナイお話になってしまいました。
とにかく、この「鍔」は、最初は実用品でしたが、だんだん装飾も施され、
今、鍔だけでも何万とする骨董品が売られています。
ここでちょっとしってるだけの「刀」のお話。
「刀」には「太刀」と「打刀(うちがたな)」とよばれる二種類があり、
最初は「太刀」から始まっています。これまた詳しくはないのです。
こまかいことを言えば、刀の仕上がった形とか長さとか目的とか、
そりゃもぉいろいろ細かいことがありますが、すみません「知りません」のです。
知ってることだけ書いてみますと…
そうですね、平安時代の公達が刀を腰にしているところを思い浮かべてください。
腰の刀は下に向かってカーブしています。これが刀の「反り」ですが、
眉毛をさかさまにしたカタチです。。
そして、腰には紐でぶら下げられています。これが「太刀」。
そして江戸時代のちょんまげの侍の刀はというと、腰に差したとき上に向かってカーブ、
つまり眉毛と同じです。こちらが「打刀」ただし、太刀のほうがカーブがきつく、
打刀はあまりカーブがありません。打刀は腰の帯に差し込んで歩きます。
今度時代劇を見たら、床の間の「刀掛け」にかかった刀の様子を
よく見てみてください。江戸時代くらいだと、刀は反りを上にして、
つまり眉毛の形に、大小置かれているはずです。
太刀は反対に、反りを下にして飾ります。
太刀は腰にぶら下げるので、鍔の近くに二箇所、帯に下げる紐をつけるための
「足金具」という飾り金具がついています。
歩くとぶらんぶらんと動きます。この状態で「刃」は鞘の中で「下」を向いてます。
打刀は、腰の帯に差し、抜け落ちないように下げ緒というものを帯に絡めます。
この状態で「刃」は、鞘の中では「上」を向いています。
また「太刀」は「腰に佩く」と言い、打刀は「腰に帯びる」と言います。
さて、柄に戻りましょう。鍔のよこに見えているもの、
これは「はばき」(漢字が出ません、金偏に祖と書きます)と言います。
暴れん坊将軍サマの葵のご紋は、ここにあったと思います。
刀は刀身の持つ方の部分が少し細くなっていて、ここを「茎(なかご)」と
言いますが(名前なんかが彫ってあるところですね)
これにまず「はばき」をつけ、次に「切羽(せっぱ)」と言う薄い金属の板、
例えは悪いんですが、ボルトを締めるときの「ワッシャ」のようなものです。
これをはめこみ、鍔を通し、もう一枚「切羽」を入れて、柄(つか)をかぶせ
目貫(めぬき)、目釘ともいいますが、それでとめる…です。
この「はばき」は、刀の中ではジミーな存在ですが、
これがあるおかげで、刀が鍔ときちんと合体し、鞘の中でも刀身が、
鞘の内側をこすったりしないのです。
刀は分業ですから、はばきはその職人が、鍔はその職人が作ります。
この小さいのが「切羽」だと思います。
もうひとつ、鍔の下にある細長いもの。
これは最初「鞘」かと思ったのですが、右側に花のようなものがあります。
鍔の飾りと同じ飾りがついてますし、たぶん「笄(こうがい)」と思います。
笄は「櫛笄」といわれるように、髪を飾る道具でもありますが、
元々はこの刀の鍔から鞘に向けて通しておくもので、
反対側には小柄(こづか)をさします。
よく「三所物(みところもの)」というのですが、
「目貫・笄・小柄(こづか)」の三つをおソロにしたもの。
元々は別々の用途でおソロではなかったようですが、
装飾品としてのカタチが整ってくると、意匠をこらしたものが作られました。
上の「鍔」の写真を見ると、必ず「穴」が三つあります。
真ん中が刀用、その両脇が小柄と笄用の穴というわけです。
だいたい刀というものは武器であって、戦国時代は戦いの道具ですから、
小柄なども、戦の道具、アウトドアグッズです。小刀としていろいろ使われました。
では笄は…といいますと、これは「髪かき道具」です。
髷を結う暮らしであったり、それでなくとも洗髪がなかなかできない時代に、
更に兜かぶって、頭の中ムレムレ…そりゃ痒くもなりますよ。
アタマが痒いってストレスでしょー、そのための道具でした。
女性も髪を結うようになって、これが必要になったわけですが、
装飾としての笄は、左右おんなじ形のものになりました。
でも、あれも真ん中引っ張るとふたつに分かれてとんがったものが出てくるんですよ。
あー、なんかアタマかゆくなってきましたよ。
ここからはおまけ話です。
刀の拵え(こしらえ)からは、けっこういろいろな言葉が生まれています。
「切羽」と聞くとなんとなく…どこかで聞いたとお思いでしょうが、
あの「切羽詰まる」の語源です。切羽はワッシャーですから、
きっちりはまっています。だから身動きできない状態のこと。
「鍔競り合い」は文字通り、自分の刀の鍔と、相手の鍔ががっちり当たって
競り合う、そのくらいの均衡した力での押し合いということですね。
「鎬(しのぎ)を削る」というのもありますね。
「鎬」は刀の部分名称ですが、刀って包丁みたいに
一枚の平らなものではありませんで、切断面は「ダイヤ型」みたいな形です。
下が「刃」、上は刃がついておらず「峰」と言います。「峰打ち」はここでたたくこと。
この峰からまん中にかけての膨らんだ部分を「鎬(しのぎ)」といいます。
このでっぱりが削れてしまうほどの熱戦を繰り広げる…ということですね。
また「目貫(めぬき)」はさっき出ました「はばき」でしっかり鍔をつけた刀の
茎(手で持つところ)に、柄(つか)をかぶせ、これが動かないように
とめ具として差し込むもの、「目貫」または目釘。
これは、通常腰に帯刀したとき、よく見える位置にありますし、
刀がすっぽ抜けないためのダイジな部品ですから、
装飾品もかねて、さまざまな凝ったものがつけられました。
これは柄(つか)の裏表両方に飾るので二個一対、今でもオークションなどで出ます。
この「目貫」、つまりとても目立って華やかで、
しかも大切なポイントとなるところ、で「目貫(目抜き)通り」っていいますね。
「反りが合わない」は、刀というのは必ず専用の鞘を作ります。
これは刀一振りごとに微妙にサイズが違うし、鞘の中で刃に傷がつかないように
ぴったりとしたものをあつらえなければならないからです。
そこで、違う刀の鞘を使っても、反り具合があわなくて、
うまく収まらないことからきています。
おまけのさらにおまけばなし、
敵が近づいてきて、こちらも刀を抜く準備をする。
左手で鍔のそばを握り、親指で鍔をぐっと押すと、刀が少し前に出ます。
つまり「はばき」がちょこっとカオを覗かせる…
この状態を「鯉口を切る」と言います。
「鯉口」は、鞘の口の部分が鯉の口に似ているから…と言われています。
ついでに着物では、シゴトで袖が汚れないように、袖口の小さくすぼまった
上着、ひっぱりとかですね、あれの袖口も「鯉口」といい、
お祭りのときにはっぴの下に着る袖口のきっちりしたシャツも「鯉口シャツ」
つまりどれをとっても、あの「鯉」の丸い口を言うわけです。
なんか唇の厚い「チョーさん」を思い出すんですけど…。
さて、刀というものについて、私は時代小説から、
興味のあることだけを拾って調べたり、
写真を見たりしてきた程度の知識しかありません。
でも、ちょっとだけ覗いてみても、面白いものだと思います。
実は、刀なんぞという物騒なものでなくとも、たとえば「お釜」とか
「自在鉤」とか「わらじ」とか、ほんの小さな道具であっても、
日本人が長い時間をかけて工夫して、作り上げてきたもの。
歴史も意味もたくさんあるわけで、着物もおんなじなんです。
「知る」ということは「楽しい」ということにつながると、
私はいつもそう思いながら、いろんなことの「上っ面」だけを
拾っているんです。だから…「深いこと」は聞かないでねー…。
追記・・・先ほどまでにこられたかた、すみません、一番下に
記述に間違いないようにと、資料から抜粋した文を
貼り付けたまんま、アップしちまいました。ごめんなさい。
このごろ「記憶」だけで書くと、どっかしら間違えるのです。
そのため、資料で確かめて、心配な部分は貼り付けたりして
確認しております。これでもまちがえることがありますので
何かお気づきになったらお知らせください。
このたびは、ありがとうございました。
楽しい柄で、今日も磨いておりました。
刀にはあまり詳しくないのですが、
きれいなものには目がない…もので。
大切にいたしますので!
好奇心旺盛で生活を楽しんでいらっしゃる様子がブログから伝わっています。今回初めて手放した不安感から開放されました。それに良くお調べになりましたね。この煙草盆はきっと粋な女性のお好みだったのか?つかの模様が松・竹・梅でお祝いの・・・想像はつきませんが。
対の物なので私も楽しく眺めます。
お芝居の小道具として、ちょいと粋ですよね。
手つきのなんかを持ち上げて、火をつけたり、
カーンと火を落としたり。
刀剣はカタチがすきなんですが、
やたらとみられるものじゃありませんからねぇ。
いい展覧会やりますねぇ…。
たまたま今日の記事は、その「酒呑童子」を
やっつけたメンバーの坂田の金時。
伝説と、実物、面白いですね。
実際には、どんな風に使われたんでしょうか。
「敦盛」の羽裏を探しているのですが、
かつて一枚逃しています。
すんごーく高くなったから…。
あぁ敦盛さまぁ…?!
ほんとにこんな色のは珍しいです。
私は、今の父方の祖父が吸っていたのを、
かすかに覚えているのですが、
やっぱり煙草盆は覚えていないのです。
なんか四角い箱はあった気がするんですが。
かっこよかったんですけどね。
こちらこそ、いいものをありがとうございました。
パンツの方のアップは、もちっとお待ちください。
あっ「丈」、大丈夫でしたよー。
好奇心が強いだけだと思うんですが、
学校の勉強と違って、ここまでやらなきゃとか
これをやらなきゃ、がないからいいんですよね。
そのかわり「偏って」いるので、
イマドキのことが全然ワカンナイんです。
茶店の場面だと、招き猫型のものとかも置いてあったり。
刀剣や鍔柄も大好きです~。
それにしても、なんでもお詳しい!
東京国立博物館の刀剣の部屋には凝った細工の鍔などもあり、面白いです。
今から来年3月まで、酒呑童子を切ったという伝説の太刀で
国宝の「童子切安綱」の展示があるので、見に行こうかと。
前の記事、そうですね、笛がないですね。
馬や鎧の色も、それしか使えないからか・・・。^^;
昔はこういうのを使っていたんですね~
祖母がキセルで煙草を吸っていたらしいの
ですが、その頃は私は赤ちゃんで覚えて
いないのが残念です。よく母が木の火鉢の
所でコンコンと祖母が鳴らしていたと言って
いたのですけどね。
またお宝増えましたね。
赤いたばこ盆、珍しいものなのだろう・・・ぐらいしか思いませんで・・・へへ・・・
刀の鍔の柄なのはわかりますがその他、よくわからない部品がちょこちょこあってなんなんだろ・・・すべて謎が解けました。炭いれと灰落としも出品者の師匠のカリスマ呉服店員女史が教えてくれましたが今ひとつイメージがつかめなかったのですがこちらも納得できた次第。
それにしてもなんでもへー・・・とか思ってるだけでなくてなに?とかなんで?とか思ったことは調べて納得する姿勢を見習わないといけないですね。日々勉強なんですね・・・