ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

えーい「昔の単」、もーいっちょ!

2009-09-10 18:52:50 | 着物・古布
そういえばまだあった…と思い出しました。二年前にご紹介しています。こちら
以前の記事にも書いてますが、なんとサイズどんぴしゃなんです。
とりあえず、生洗いだけすんでいるので、このまま着られるんですが。
この時期は息子の体調次第ですので、いつでかけられることやら…です。
こんな大きな柄ですが、小紋の柄付けです。数えるほどしか柄がないんです。
こんなのも面白いですよね。
とんぼ部分のアップです。
青いとんぼは絞り、あとのとんぼは縫い取りで、羽の中「萩」です。
細かいとこまで凝ってますね。


       

 


まぁ「とんぼ」だからと衝動買いしたものですが、着るチャンスを作らねば。
しかーし…帯、どうするべ…です。
アンティークに現代帯を締めるときは、バランス考えないと合わないんですよね。
ただ色だけあっていても、だし、かといって、
100年お蔵に入ってました、みたいなのは重々しい…。
ちょっとだけクラシックな香りのするくらい…もってないって…。

この前のお話に通じることですが、今とにかく「大きな柄」というのが
あまりありません。確かにここまで大きいと、あわせるものも着るのにも
ちと工夫がいったりしますが、それだけ楽しみもあるということで…。
私くらいのチビには、本来こんな大柄は似合わないのですが、
数が少ないのと、柄の位置で着られる、と判断しました。
ほとんど無地みたいな感じです。着物ってフシギですよね。

最近の細かい小紋は、特別目立つ「演出」もないので、気負わず着られる、
全体に同じように柄が散っているので、少し離れてみた場合、
「柄」主体というより「色」主体の感覚で着られる、わけですが、
実はそれって、いってみれば「無難路線」です。
例えば夏のTシャツを買うとき、何を基準に選びますか?
まずは地色、次に柄、ですね。夏らしくハイビスカスの花がドーンとあるとか、
大きなロゴが胸に並んでるとか、ちょっとしゃれた街角風景が描かれているとか、
裾のほうにちょっとだけネコがいたり犬がいたりとか…。
洋服だと、そういうことを自分の好みに合わせて難なく選ぶと思います。
着物も実は同じで、いろんな条件のものを楽しんで着ていただきたいと思うのです。

ずいぶん前ですが、電車の中で見かけたお嬢さん、お稽古事の帰りという感じで、
いわゆる「レッスンバッグ」みたいなのを提げていました。
それはごくふつーの裂取模様だったと思いますが、それこそ印象に残らない…、
着ていた小紋が紺地に細かい柄、まぁありがちな柄…と思ってよくよく見たら、
その飛んでいる小さい柄が、楽器でした。小さいラッパとかたいことか。
合間にお花が飛んでいます。あっきっと何か楽器を習っているんだなーと、
そんなことを楽しく考えました。
花柄も幾何柄も、細かい柄もそれはそれで、いいものです。
ただそれ一辺倒になるのはさみしいですわ、
いろんなものを楽しんで着ていただきたいと思うのです。
なにしろ「若いうち」しか着られない色柄というのは、必ずありますから。
細かくても大柄でも、色や柄で冒険できるのは若いうち。
真っ黒な大島の裏に、鮮やかな朱の八掛をつけられるのも若いうち、
帯揚げ帯締めに、鮮やかな赤や紅を使えるのも若いうち…。
今は着物を着ているだけで、振り返られる時代ですが、
いーじゃありませんか、着物着たときは「目立ってナンボ」です。

いつもじろじろと見られるとんぼの旅姿、
ホテルまで会いにきてくれたいとこに撮ってもらったのですが、
「えーと、ジャマなものが写んないように」とごちゃごちゃやっているところ、
撮られました。デブが目立ちますが、もんぺ履くとみんなこんなですよー。
ちなみに、これは「ペグトップパンツ」を意識して、下を細く縫いましたが、
実際には普通どおり、下はもっとたっぷりしてカフスつきのほうが、
動きやすいです。あっ、ついでに丈もあと2センチ長く…。

            


ほんとはこっちを撮ってもらったのです。自分じゃ後ろが見えないもんで…。


        


この道中着も、何回かご紹介していますが「大柄」にはこんなものもある、のです。
コレが着物なら(ありえませんが)こんな大柄は、チビの私には着られません。
でも、道中着なら着られちゃうわけです。
私は「物語性」のある着方がすきなので、こんなものを着ますが、
これは、元々男物の襦袢です。質がよくて厚手の絹でしたので、
作り直してもらいました。夜桜の下、吉原通いの駕籠二丁です。

小紋は「細かい柄」、道行や道中着は「小紋柄か無地」…、
それは洋服で言えば、Tシャツはポイント柄、スカートはチェックとか無地、
というのと同じです、それはあくまで「スタンダード」、
でも全体にチェックのTシャツがあったら?裾に大きな花柄一つのスカートは?
色柄や組み合わせを考えたら、個性的な着方ができると思います。
要は「使い方」だと思うんです。

洋服だと「好みのタイプ」というのがあります。
「なんとかルック」とか「何々風」とか「ナントカタイプ」とか。
でも着物には「デザイン」そのものでの変化が乏しいのです。
どう着ようと、着物の形そのものはほぼ変わりません。
だからこそ、着物の地の部分をキャンバスだと思って、
「自分の絵」を描くつもりで着ると楽しいよ、なのです。

上の道中着は、黒に近い緑やグレーっぽい緑がベースなので、
着物は灰緑の江戸小紋、もんぺも灰緑系の細かーーーい竹柄。
どう見ても暗い、ので、帯だけは赤にしました。
ほんとは鮮やかな芥子色にしたかったのですが、手持ちにありませんで…。
この帯、普通の浴衣じゃ赤すぎてしめられません。
これで帯が黒や紫だったら…まんっまオバサン、
この形じゃヘタすりゃオジサン…ですからねぇ。

「大きな小紋をもっと着てぇ」といっていますが、
実はもっといろんな意味で「色で着る、柄で着る」を試してほしい
ということなのです。若いときは若い「お試し」しかできないんですから。
「渋いお試し」は、いずれイヤでもそれだけしかなくなるんですよー。

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12 コメント

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Unknown (とんぼ)
2009-09-11 15:19:00
ゆん様
「大人の女」…うぅっなんといいヒビキ!
中身と顔がよーちなもんで、うれしいですー。

今だって、洋服みたいに気負わずに好きなものを
着ればいいんですよ。
といっても、大きな柄がないんですけどね。
数え40、でもゆんさんは、イメージ的に
かわいらしいですから、まだまだぁ!
お互い、あかいものをうまく使える
おばーちゃんになりたいですね。
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Unknown (とんぼ)
2009-09-11 15:15:26
紘音様
お褒めいただいて、光栄です。
桜柄なので、春しか着られないのですが、
大概のかたに、特注で染めたのかと聞かれます。
男物襦袢だというと、お年を召したかたは
「ウチにないかしら」…。
ぜひ探して発掘してほしいものです。
物語は、気楽に考えてください。
たまに「こじつけ」だったりもする私です?!
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-09-11 15:11:39
otyukun様
みつけたときは、とんぼでしたからよけいに
おぉーっと思ったのですよ。
やはり位置づけですかねぇ。
左は、うまく散っているのでそうかなと
思ったのですが、素人には細かいことが
わかりませんで…。
こういう柄付けとか、大柄とかは、
もうアンティークしかないというのが
寂しいですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-09-11 15:05:02
武者子様
お元気で、かつお忙しそうで、なによりです。

後になって気が付くってのは、
世の常なんでしょうねぇ。
なんたって、言ってる私自身がそーなんですから。

テレビ、バッシング治療、同じですね。
いやほんとに、ふしぎとOKってのが
あるんですよね。
(それで壊してたのもあるけど…)
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-09-11 15:01:50
陽花様
今よりいろんなタイプの柄があった昔は、
もっと自由に楽しんでいたんでしょうね。
復刻しませんかねぇ、こんなの。

かるさん、ほめていただいてうれしいです!
もう少し、オナカをへこませないと…。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-09-11 14:58:22
sacco様
今はなかなかないんですよね、こういうの。
ジミでもハデでもない…フシギ柄です。
今、着るときなんですけどねぇ。

>街で見かけたらフラフラとついていってしまいそうです

ハメルーンの笛吹きおばさん…です。
ついてきてぇ~~!
返信する
Unknown (ゆん)
2009-09-11 07:49:25
おはようございます

 とんぼさん、つややかな地がとっても良く映って素敵です~~~落ち着いた色とつやを自然にまとえるのは、やっぱり大人の女性の魅力なんですね~~~

 大きなとんぼの小紋…うっとりします。昔の方って、小柄なのに、どど~~ん!と大きな柄ゆきのものをごく自然に着てらしたんだから(髪型に量感があったから?)、現代でも もっと気負わず面白い意匠やとりあわせができるはずですよね。
 数えで40!丁度、「若い色」だけでは苦しくなる・境目という感じです。赤いものを優しく活かせるおばちゃんになりたいです
返信する
ほわぁ (紘音)
2009-09-11 07:01:49
なんて素敵な道中着なんでしょ
こんなの着ている方はあんまり見ませんね
後姿を いまどき風に言うと「ガン見」してしまいそうです(笑)
「物語のある着方」してみたいんですが、それにはとんぼさんみたいに知識と教養が必要ですね
返信する
素敵なトンボ (otyukun)
2009-09-11 06:47:59
考えると凄い着物です。
今時、まず新品でこんな縫い取りの着物は存在しませんから。
それに絞りで起こしたトンボは多分位置付けに考えて染めてあると思えます。
柄がこれだけ離れて、柄が送りになっては仕立は不可能でしょう。
右胸にあるのがちっと違う様な気もしますが。
この大胆さは秀逸です。

小柄は放っておいても嫌みの無い着物になりますが、大柄は反物で見るより遥かに仕立映えがします。

もんぺ姿が決まっていますね。
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かるさんすてき。 (武者子)
2009-09-11 00:05:04
ご無沙汰しております。

んーーー、、、
たぶんお若い方がそのうち歳取ってみて、あーあの頃もっと『若いお試し』しときゃよかった、って初めて気が付くんですよね。
私がちょうど今そんな頃です。(笑)

そうそう、
昨日のインターホンのお話ですが、ウチのテレビが今、まさにそんな感じです。
ものすごく雑音が入るので、バン!!ってぶっ叩きます。(爆)
昭和の昔にあったようなそんな光景を、平成生まれの子どもらが我が家で再現してます、笑えます。(笑)
返信する
Unknown (陽花)
2009-09-10 21:06:03
こういう大きな柄の小紋は本当に見ませんね。
柄の大きさも小さすぎると遠目では目立たず
無地っぽく見えてしまいますし難しいですね。

いつものかるさんスタイルやっぱりよく
お似合いですね。
板についているというか、真似したくても
こうはなかなか決まらないですよ。
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うわあ~ (sacco)
2009-09-10 20:53:33
これくらい大きいトンボ柄、いいですねえ~♪
地色もちょうど今頃な感じで、青トンボや赤トンボがいいアクセントになっていて。
こんな感じの小紋こそ復刻して欲しいです。

そして道中着、後姿に引き寄せられます!
街で見かけたらフラフラとついていってしまいそうです(^_^;)
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