ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

母の手紙…すてられまへん。

2014-08-30 20:28:04 | つれづれ

 

お尻を叩かれるように、私もまたあれこれゴソゴソとやっています。

2階に置きっぱなしてあった箱から出てきたものは、古い手紙でした。

思い出して見ると、これは母の葬儀のあとのゴタゴタした中で、

例によって「とりあえずこの箱に」…のもの。すっかり忘れておりました。

結婚して間もないころのものです。

もともと筆まめな母でしたが、このころ何を思ったか、筆書きに挑戦する…といいまして

「字を忘れないためと、字がヘタだから、少しでもうまくなるように」と。

ちなみにぼかしてありますがこんな感じの手紙です。

 

         

 

母は自分の字が好きではなかったようですが、私は柔らかいけど意志の強そうな母の字は

とても好きでした。練習のため…と、巻紙に、日記のように書いて送ってくれていたものです。

 

一枚、美しい透かしの入った巻紙の手紙がありまして、実は、母の筆書きのためにと、

私が見つけて送ったもの…なのに「もったいないからこれ一通だけにする」…なんやねーん、です。

ざっと目を通しましたら、一通に懐かしい「しきたり」のことが書いてありました。

「紐銭(ひもせん)」のことです。母は「言ってないかもしれないので、忘れないうちに」と、

書いてよこしたのですが、「紐銭」とは関西の風習で、赤ちゃんがお宮参りを済ませると、

当時は近所や親せきに、ご挨拶回りをしたそうです。

そのとき、迎えるこちらが用意するのが「紐銭」。今は普通の祝儀袋や、紐銭用の袋になっているそうですが、

母の時代は、半紙を折って中にお金を入れ、それを麻紐で縛って、端を長くのばし、

それを掛け着の紐、つまり赤ちゃんを抱っこしている人の背中にありますね、そこに結びつける…。

たくさん回るとたくさんぶら下がるのです。

そして男の子の額には「大」、女の子の額には「小」と墨で書いてあるのだとか。

(女が「小」て、なんやねん、ですが)。

母は「昔はものがなかったから半紙やったんかな、そやけど『麻紐』を使うのは、麻は丈夫やし、

それにあやかるようにぃて、そういう意味やで」と言いました。

更にさかのぼると、昔々はほんとに銭の穴に麻紐を通したものだったそうです。

紙幣でお祝いするほど裕福な時代でもなく、また穴の開いた銭は「先を見通す」と縁起が良かったのだとか。

その手紙によれば、翌日に父方の姪が、お宮参りの帰りに立ち寄るというので、

急いで「紐銭」を作ったという話でした。その赤ちゃん、今はお嫁に行って自身がおかあさんになってます。

長い年月が経ったのですねぇ。

 

関東の一部では、別のやり方らしいですが、同じようにお祝いをする風習があるそうです。

いずれにしても最近は、ぶら下げるのではなく手渡ししたり、時には先に届けたりするそうで。

来られるのも面倒、とか、いちいち結ぶのも…なんてことなのでしょうか。

付き合いも減ってきていますから、昔のように近所中回って、

背中が紐銭の鈴なり…なんてこともなくなっているのでしょうねぇ。

なんとなくさびしい話ではあります。

 

さて、手紙と一緒に出してきたもの、息子のロンパースです。

小さいですねぇ、2歳くらいかなぁ。

 

            

 

柄が変わってます。馬車と馬蹄。

 

       

 

これ、母のタイトスカートでした。

お気に入りで、よく白っぽい衿先のピンとしたシャツカラーのブラウスで

このスカートをはいてました。

さすがに傷みが出たとかでもらったものから、息子のロンパースを作ったわけです。

まだ小さかったので、ちょっとしたハギレでも、なにかできましたねぇ。

このころは手作りするのが楽しくて、母にもらったこんなのを縫い付けていました。

 

         

 

今じゃズボン作るのに、生地3倍くらいいりますし…いやいやそのまえに「やる気」が…。

母は私が嫁に行っても、まだセーターなど編んでくれたというのに、

親不孝、子不孝な私です。

 

また手がとまってしまい、本日の営業これまでっと、夕食の支度に入りました。

明日もまた続きだわぁ、今度は何がでてくるかしらん、ワクワク(それでえぇんかい)。


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