少し前ですが、知り合いの方からいろいろ頂いた…という記事を揚げました。
その中に「帯」がいくつかあったのですが、この帯、柄だけ見て「あっ単帯だ、すっきりしてていいなぁ」と。
ほかにも頂きものがいろいろあって整理していたものですから、ひょいとしまいこんだままにしていました。
しばらくたって出しましたら…あららっこれ「組紐の帯だ!」と気づきました。
箱の中に一緒に入っていたんです、これが。
帯の中の柄と一緒、そして帯の幅がかわる斜めのところを見ると「あっほんとに組紐だ…」。
組みがわかるように、ちっと明るい目にしてあります。実際の色は、トップのように濃いです。
組紐の帯って、最近紹介されているのを見ます。袋帯などは、ちょっと見ただけでは織りみたいです。
組みひもって少し大きく広げて考えてみると「編む」要素ももっているんですよね。
編み物の基本は、編み針で一本の糸をあっちへやったりこっちへやったり…。
組ひもは糸が一本ではありませんが、糸の巻いてあるコマを規則どおり右へ左へ…と動かすことで、
模様が組みあがっていくわけです。糸を交互に動かして柄を出すのは「織り」の要素でもあります。
とても繊細で、すごい「手わざ」だと思います。
元々は唐から伝来した「仏教具」、つまり数珠の紐とか、経文の巻物などを縛りとめるものとか…。
当然、一部の高貴な人たちだけのものだったわけですが、その後「武具、馬具の道具」として
広く使われるようになった…といわれています。
甲冑の様々なパーツをつなぎ合わせたり、縛って固定したりするなど。
江戸に入り平和な時代になっても、甲冑を持ち、手入れすることは武士のたしなみでしたし、
刀の下げ緒や、太刀の飾りなどにはかかせないものでした。
また、茶道具や衣服(羽織の紐など)にも、多用途に使われていました。
それが明治に入って「武士」が廃止となり、廃刀令も出て、武具としての用途が激減しました。
しかし、同時に帯の締め方などもかわって「帯締め」がいるようになり、
組ひもは、服飾の方に活路を見出したわけです。
つまり和服というジャンルの中では「帯締め」は新顔なわけですね。
それでも、いまやダイジなアクセント、帯締め一本で、着姿全体の雰囲気までかわりますからねぇ。
よく、着物一枚帯三本…といいます。それで行くなら帯一本帯締め…5本ほしーなぁ!
組ひもで帯にするには、横に広く並べた糸を動かしていくのだと思いますが、
これもまた、たいへんな作業ですよね。
おそろいの帯締めを使ってみたら…と置いてみました。いいもんですねぇ。シャープです。
この帯、たたまれていまして、折り跡がかなり強く付いているところがあります。
どうしたらとれるかなぁと考えています。
単ですから、紬などにさらりと締めたいところですが、柄は少なくてもちょーっとだけ派手かなぁ。
これで地色が黒の帯がほしい、いやグリーンもいいかも…なんて「妄想」バクレツ中です。
さてこの帯、いかがいたしましょうぞ…。
見学させて頂いた事があります。
帯締めを組むだけで青息吐息の私には、玉数の
多さと幅を出す為に力を入れられない打ち込み
方、なんと言っても長さも相当なもの、これを
機械じゃなく手で組み上げるとは・・・と
驚いたものです。
貴重な物が手に入ってよかったですね。
いつも陽花様の組紐を拝見しているだけでも、
一目一目たいへんな作業だと思っています。
これを帯に…というのは、もう想像付きません。
ちょっと赤い色ですが、柄もスツキリしているし、
やっぱり締めたいなと思っています。