ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

雨ばーっかし・・

2006-08-09 20:28:10 | 着物・古布

台風だということはわかっていますが、なんて長い雨・雨・あめぇ・・。
たいがい台風一過で、ばーっと晴れるものですが、
どうもそれも望めないような、なんかへんですね。
友人は、先週から沖縄に行っていて、足止めくっちゃいました。
明日は無事で帰ってきてねー・・です。

今日はとりあえずあやうく捨ててしまいそうになったハギレを一枚。
残念ながら「正絹」ではありません。まん丸の鶴さん、転がっているのは
松ぼっくり、バックは大きな「松の葉」です。
ハガキ2枚くらいの大きさしかなくて、紙の間に挟まっていたのです。
たぶん、重しして伸ばしたつもり・・です。なんで忘れるかなぁ。

さて今日は、上のハギレとは関係のない「お洗濯」のお話し。
あんまり雨ばっかりなので、洗濯できない恨みが・・ってわけじゃありません。
イマドキ着る普段着物といえば「麻・木綿」ですね。
麻も越後上布などは、いまや高級品ですが・・。
夏着物でタイヘンなのが「お手入れ」、汗がねぇ・・。
まぁ袷であったとしても、人間は汗をかくようにできていますから、
真冬の着物でも「汗」は気をつけるべきものですが、
夏場はもう、私なんぞダラダラとガマの油のごとく流れ果てます。
汗はそのほとんどが水分ですが、わずかにはいっている成分、
これが曲者で「シミ」の原因になります。
時間が経過すると「黄変」して輪ジミになってしまう・・。
そのまましまったりすると、そこからカビが生えたりして、
他の着物まで被害にあいます。手入れはしっかりしましょう。

まずは季節を問わず、着物は脱いだら吊るして温度と湿気を取ります。
吊るしておけばいいというものでもありません。適度に・・。
ホコリもたかりますし、重めちりめんなどは伸びたりしちゃいます。
たたむ前に「シミ・ヨゴレ」の検査をしますが、
つい汗は「脇」、泥はねは裾・・と、そこにしか目が行かなかったりしますが、
おなか周りも汗はかきます。着物より襦袢ですね。
泥はねは、自分の泥はねもですが、雨の日の外出などは、
ひとからはねかけられる場合もあります。ひとまわり、しっかり見てください。
特に色が濃い、柄の細かい小紋などは、わかりにくいので明るいところで。

さて、ここからが問題なんですね。今回は「夏物」についてお話しします。
「汗」はまず湿気を飛ばすこと。そのあとは、汗を取ってしまうことです。
洗えるものなら、洗ってしまうのが一番です。
最近はいい洗剤も出ていますが、基本的には水洗いだけでいいのです。
洗うときは、まぁその着物の「自分ランク」によりますが・・、
つまり自分の中では「ザブザブ洗ってジャカジャカ着て」・・という、
ほんとの普段着なら、洗濯機でガラガラでもかまいません。
ちょっと外出着にも着るし・・というなら、手洗いをオススメします。
よく「ウールセーターの洗い方」なんていうのがありますね。
基本的にアレと同じです。やさしく扱うこと。
脱水機にかけるときも、遠心力で脱水槽の壁に押し付けられることを考慮して、
きちんと形を整えて脱水・・ですね。

次に干す作業、干すということは、乾いたあとのことも考えて干します。
つまり、よけいなシワやラインがなるべくつかないように干すこと。
着物を干すとき、本当は昔のようにさお竹一本に袖から通して
大きくひろげて干せると一番いいのですが、
最近は、さお竹(ステンレス製ですが、とりあえず昔ながらの呼び名で)より、
角ハンガーなどに干すことが多くなり、さおを一本丸々使える・・
ということが難しい場合もあります。
干す場所がないときはそれでもしかたありませんが・・。
着物ハンガーで、袖をいっぱいに広げられるタイプがあれば、
それでぶら下げるのがいいのですが、ハンガーが風でグルグル回るとこまるので
その辺の注意が必要ですね。
着物は広げて干せれば早く乾きますが、衿周りは布が重なっていますから、
表が乾いても中が湿っている場合もあります。季節とか、天気、湿度、
晴れていても何時ごろから干したか・・など、気にしてください。

次に、心配でちょっと洗えないわ・・というものは、
シーズンが終わったら、専門家に任せましょう。
ただし「汗ジミ」になってしまったものは、丸洗いでは落ちません。
染み抜きをしてもらう必要があります。
そういう「シミ」にしないためには、まず脱いで干している間に、
固く絞った濡れタオルで、脇や腰のまわりなど、汗をたたいてとっておきます。
色の濃いものなどは色落ちなど気をつけてください、
しつこくやってて、そこだけ色が薄くなっちゃったりしますから。

着物を洗ったとき、糊付けというものをします。
ゆかたや木綿の着物など、パリッとして気持ちのいいものですが、
実は「糊」と言うのはハリをつけるためだけのものではありません。
いわば、着物をガードするためのものでもあります。
糊がついていると、汗も汚れも糊につきます。
これを洗うことで、糊と一緒にヨゴレを落とせるからです。
糊の利いていない着物のヨゴレ防止の応急処置として、
市販の「ガード」があります。防水スプレーでもいいし、
スプレー糊でもかまいません。脇のあたりだけシューッとやっていくと、
ヨゴレ落ちが良くなります。ただし、なるべく早く洗えるものであること、
それから高級な着物は、かえってそういうものがシミになることがありますから、
やたらとしないこと。最近では、着物や帯をあつらえたとき、
呉服屋さんのほうから「ガードかけておきますか」と言ってくれます。
防水だけでなく、ヨゴレにくくもなりますから、しておいて損はありません。

着物を干すとき、特に色の濃いものはヒヤケに注意してください。
「ヤケ」と言うのは、「ガスヤケ」と「ヒヤケ」があります。
ガスやけ、と言うのはタンスの中に長いこと入れっぱなした着物などで、
たたんだ形の外側のフチ、たとえば袖口からずっ袂にそって、とか
一番上になっていた部分とかが焼けて色があせてしまうもの。
これはタンスにの中にこもった気体が原因、といわれます。
ヒヤケは文字通り、おてんとさまによるものですが、蛍光灯でもそうなります。
呉服売り場のショーケースに反物ではいっているものなどで、
日がな一日蛍光灯にてらされているものなどもヤケがでます。
洗濯して干すときも、直射日光でジリジリということのないように、
裏向けて干すとか、屋根のあるところに干すとか、気をつけてください。

今日は、着物のベテランさんには、言わずもがなのお話でしたが、
着物のメンテと言うのは昔と同じようにできない部分がたくさんあります。
明日はまた、そんなお話をして見ましょう。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は涼しい・・でも台風! | トップ | めんてなんす »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2006-08-09 21:44:29
雨続きですか・・・

奈良はここ何日も雨が降らずカラカラです。

台風で少しはおしめりでもと期待していたんですが

上手くいかないものですね。

着物の洗濯といえば、娘が夏祭りに着たけど洗って

干すところが無いからと持ってきました。

畳んでネットに入れてガラガラと洗濯機で・・・

うちのベランダ、屋根が低くて浴衣の裾がするんじゃないかと心配しましたが何とか干せました。

衿などはパンパンとよく叩いておくと後が楽ですね。

返信する
まん丸鶴さん (蜆子)
2006-08-09 21:54:32
北陸雨なしです。日本も広いですね。



まん丸鶴さん、当地の結婚式には茶菓子として箱入りの鶴亀のあんこのお菓子あるのですが、その鶴がまん丸、そっくりです。

写真のほうが気になってしまって。



汗じみをどうにかしてといわれることありますが、経年のしみはとれませんね。

着物を着る人には、取り扱い、汚れとり、しみぬきなどをレクチャーして欲しいですね。あんまり面倒なことをいうと買う気失せるかもと、なんにも言わないのは困ったこと、今では、若い人の親でも知識ありませんもの。売る人には、最低そこまでの面倒をみてほしい。
返信する
洗えるって気持ちいい! (雪花)
2006-08-09 23:31:42
夏は麻とか木綿とか洗える素材が、気が傷まなくていいですよね。雨降ってもへいちゃらだし



柔らかもので一度失敗したことがあります。

固く絞ったタオルをレンジで熱々にして叩くと、柔らかものでも大丈夫・・・と森荷葉の本に書いてあったので、綸子の着物の汗染みにやってみたら、水染みに

若いときの着物で派手だったので、ちょうどいいや、と染め替えに出しました。



絹のうっとりするような肌触りや、柔らかく光を放つ感じが、大好きなのですが、やっぱり気を使いますね。

ドラマとか見てて、「ああ~、すそに土が」とか「うう~、化粧がつく」とか、余計な心配してます
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-08-10 00:57:10
陽花様

ほんとに最近は着物を干すだけの場所

探すのタイヘンですよね。

昔は高い物干しがあって、母が「さんまた」で、

手の届かない上まで上げてました。

上のほうでゆかたが翻ってましたよね。

エリヤ裾など、パンパンたたいてましたっけ。

懐かしい風景です。



蜆子様

汗ジミは作らないようにするしかありませんね。

結局プロにたのまなければなりません。

古着を扱っていると、ほかはなんともないのに

「脇」だけが汗ジミ・・ってのがあります。惜しい!

ヨゴレなどについて、また書きますね。



雪花様

熱々でたたく・・いや怖いですー。

たとえばちりめんの色の濃いものなど、

水とお湯では、色落ちがぜんぜん違うんですよ。

それと単純に「水」といっても、

本当は「蒸留水」が一番いいんです。

水道水にはいろいろ入ってますから、

そういう成分が、シミの元になる場合もあるんです。

やっぱり絹はたいへんです。でもいいんですよねぇ。

私もドラマなんか見ていて「あっ水の中はいって」

「あっ泥の中でころんで」とか、ヒヤヒヤ。

「あれは化繊きっと化繊」と言い聞かせてます。

返信する
Unknown (百福)
2006-08-10 12:36:36
知人の披露宴パーティに参加した折。熱帯夜でした。戸外で歓談できるようになっていて、お客の中に絽の友禅に刺繍の訪問着をお召しの女性がおられました。とても見事なもの。帯も素晴らしいものでした。ところが、白地。背・脇、帯の胴にも、見事に黄色い汗じみがでてます。みるところ、補正も汗取りもつけておられない。ああ・・こんなのそのまま着ますかぁ。この素晴らしいものに、またしみが増えるのかと思うと、なんとも惜しくて、可哀相で。ため息がでました。でも、早く悉皆にもっていってえ~!なんて言えません。ほんと、心臓に悪いです。でも、汗じみつけたまま着ている人は結構おられます。最近では、夏にタレモノを着てる人はみないようにしてます(笑)。



古いものはさておき、呉服屋さんは、お売りになった着物のお手入れをちゃんとするように、季節の変わり目にでもお手入れのご案内葉書を送ったらどうかと思いますね。そうすれば気がつくでしょうにと思う次第です。







返信する
Unknown (とんぼ)
2006-08-10 16:01:00
百福様

せっかくの着物、大切にしたいですよね。「まぁステキなお召し物、この脇アタリの黄色い「ぼかし」がまたおしゃれぇ・・」とかって?!もったいないですねぇ。「夏のタレモノ」「ぼかしのアセ染め」はいけません。呉服屋さん、昔はマメでしたよね。母のところなんか、ハガキきたりお店に立ち寄ったりすると「そろそろあの小紋は娘さんもきられますねぇ」とか、いろいろ言っててくれたり・・。そういうお付き合いができなくなりましたね。
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事