ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

豊かな暮らしであればこそ…

2015-01-25 18:51:15 | 着物・古布

 

頂きものの中にあった、胴裏や八掛の中の一束、紅絹ばかりまとめてありました。

紅絹はとにかく色移りするので、今はもうほとんど使われませんが、

一時期、裏と言えば紅絹…古着などでも、かなり地味な着物の裏が真っ赤…

というのを見かけます。何とも言えない「艶っぽさ」があって、私も実は好きなんですが…。

今も販売はわずかですがされています、けどタカイ…です。

 

さて、広げて見ました。もちろんまだ使えるきれいなものも少しありましたが、

どれも手を入れたものばかり。いやもう脱帽です。

なんか「手当」がしてあるなぁ、大事にしてたんだなぁ…

 

     

 

で、ひっくり返したら…

 

     

 

これでもまだ洗い張りして、たたんであったわけです。本当に細かい。

 

もちろん、みんながずっとこうしてきたわけではないのかもしれません。

ただ、この着物が作られて着られたのは、おそらく戦前・戦中・戦後…。

元々節約や繰り回しは、誰でもしてきたのが日本ですが、

特に昭和10年あたりからは「戦争」というものの影が、国内にもさしてきた時代。

そのころの本を見ると、ひたすら「これはこうして使いましょう」「これからはこんなものができます」

そんな繰り回しや、繕いのテクニック、アイデアがとても多いです。

お金はあっても生地がない、生地があっても糸がない…母は縫い余りの糸も大切にしていました。

これだけあったらボタンくらいつく…とか。それより短いものは、いつも縫い物の時に脇に置く、

古いタオルや手拭いに、チクチクチクッと縫って、いつの間にかそれが雑巾になっていたものです。

モノが豊すぎるくらい豊かな今の時代ではありますが、こういうものを見ると、

ここまでしようとはいわないけれど、暮らしの中にムダはないか…と、そんなことを思うのです。

この紅絹は、いくらなんでもまた着物には使えませんが、

何かしら「昔の人の暮らしの心のもちよう」みたいなことで、なにかにできたらなと思います。

 

もうひとつ、これも解いた状態で丸めて入っていました。

 

       

 

変わり織で「うね」があり、縞模様のように見える「色無地」です。

しっとり重さを感じるちりめんです。うまく色が出ていませんが、なんとなーく「薄緑」を感じる色。

大きな汚れやダメージはないので、以前からほしいと思っている「色喪」の無地に、

染めてもらおうかなぁと…。

よく見ると「色変わり・ヤケ」があります。上の白っぽいほうが元の色です。

 

       

 

この程度ですから、一度脱色してもらって、濃いめの抹茶とかグレーならいけるかなと。

紫系もいいんですが、それなら薄紫にしたい…けど、それだときっとまだらが出る…

とまぁ、勝手にあれこれ想像しています。

元々色喪は地模様のない、ただのちりめんにしたかったので、この織りの縞ならいいかな…です。

呉服屋さんが来週来ますので、見てもらって決めたいと思っています。

 

さて、今日はいただいたものの中の胴裏や八掛の整理ができました。

少し汚れのあるものは私が使い、まだ胴裏として使えるものは、和服ものをバザーにだしている

施設宛に送ります。どこかで誰かのお役にたってくれますように…です。

あぁ布を触ると、ほんっとに落ち着くぅぅぅ。


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6 コメント

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Unknown (とんぼ)
2015-01-26 17:09:20
古布遊び様

ほんと、ここまでくると「美しい」ですよね。
できればガラスでベタっと押し付けて、
額にでも…なんて思っています。
手仕事の何気ないすごさ、ですね。
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Unknown (とんぼ)
2015-01-26 17:07:59
梅ちゃん様

ほんの少しだと、お尻を縫いとめられないこともあります。
母は、雑巾なら縫いとめなくても、次の糸を少し手前から
縫い始めたらええねん、と言ってました。
時には一枚のぞうきんで白やら赤やらの
いろんな糸になって…
それでもちゃんと四角に十字とかバッテンに枠とか、
柄になってましたわ。

私も息子が学校のとき「新しい手拭いで」といわれて、
びっくりしました。
使いふるしたタオルの方が、水もよく吸うし、
余計な毛羽がもう取れていて、使いやすいのにねぇ。
白いタオルなんて、昔は酒屋さんとかでくれたものでしたが、
最近はなかなかもらえない…だから100均で、
みんな雑巾で買うようになったんですかねぇ。
なんだかなあです。
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Unknown (とんぼ)
2015-01-26 17:03:23
なな吉様

ほんとに使い込まれた絹は軽くてやわやわですねぇ。
お茶の道具(お茶碗)を包むのに、
とろけそうな古い絹をくださいと言われたことがありました。
絹はいつまでも優しいのですね。

半衿つけの糸、なるほど…ですね。
みえないところで節約、それでこそ着物びとです。
ちなみに私は、ほとんど色柄の半衿なので、
脱ぐとすぐ外してしまうのです。
そのため、半衿つけはいつも「しろも糸」です。
急いで引っ張ってもすぐ切れてくれますしね。
どこまで手抜きなんだか…です。
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Unknown (古布遊び)
2015-01-26 08:38:37
素晴らしい繕いですね~
こうなると美しい!!!

古い布団側などを手にするとあちこちに繕いがあって、大事に使ってきたんだなあと実感します。まわりまわって私の元にやってきたので、何とかうまく活かしたいと思うのですがねえ~
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アイデアいただきます (梅ちゃん)
2015-01-25 23:32:30
いつもボタン付けやまつり縫いで糸を無駄にしてました。お母様の手仕事見習わせていただきます*\(^o^)/*
雑巾わざわざミシンで作ってました。
そういえば最近学校では、新しいタオルで雑巾をと指定されてしまうんですよ。
時代が変わって、清潔、殺菌ばかりさわがれて古いタオルの雑巾は嫌われ者になってしまいました。勿体ないは死語になってしまうかもしれませんね。
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Unknown (なな吉)
2015-01-25 22:35:13
おそらく昭和初期のものが多い私の着物も繕いあとが見られるものがあります。
そういう部分を見ると手をかけて大切にされていたんだなあと思います。
そして胴裏はほとんど紅絹です(笑)
すっかり絹が軽くなって柔らかくなっているので触るだけで気持ちが癒されますね。

繰り回しといえるかどうかですが、私は半襟付けにつかう糸を何度も繰り返し使っています。
おかげで一見糸くずに見えるものが裁縫箱につまっているという状態です(笑)
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